本文へジャンプ
  • お問い合わせ
  • english
  • sitemap

鋸(のこ)

鋸(のこぎり)は木材を切断する道具で、略して俗に「のこ」ともいいます。 木材を繊維の方向に沿って切断するときに使う鋸を「縦挽き」と呼び、 木材を繊維の方向と直角に切断するときに使う鋸を「横挽き」と呼びます。

鋸(のこ)

鋸の機能と構造

縦挽鋸と横挽鋸の違いは鋸歯の歯形にあります。
縦挽きは繊維と平行に木材を掘る作業の連続であり、そのため、縦挽鋸の目は、鑿(のみ)の刃を縦に並べたような形をしています。
横挽鋸の目は、繊維を切断するために、小刀状の歯がならんでいます。 これらの歯は、交互に向き合っており、二辺には、ナゲシと呼ばれる切刃がつき、さらに先端も削ってあります。

さらに横挽目で先端を落していない歯をイバラメ(茨目)といい、斜め方向に挽くのに使用します。
また、挽いていくうちに、鋸身が材に締めつけられて挽きにくくなることを防ぐために、鋸歯の歯先は一枚ずつ左右に外側に振り分け、鋸身の厚さより歯先間の幅を広げてあります。これをアサリを出すといいます。

通常、アサリの幅は鋸身の厚さの1.5から1.8倍程度までで、硬材を挽く時は少なめに、水分を含んだ生木や軟材などでは多めに調整します。
鋸の柄には一般にヒノキやキリを使用します。 柄のすげかたは、まっすぐすげる場合(直柄)と斜めにすげる場合とがあります。いずれも縦に見た時に、鋸身の背と柄の中心線が一直線になるようにすげる必要があります。柄に藤やタコ糸を巻くことで滑り止めにすることもあります。

縦挽鋸の目

縦挽鋸の目

横挽鋸の目

横挽鋸の目

茨目

茨目

鋸の種類

縦挽鋸はガガリ(鑼)ともいい、横挽鋸はヒキギリ(挽切)とも呼びます。 全体の形を見ると、鑼の背はやや反り気味、柄も反り気味に付いています。 挽切の背はややむくれていて、柄は少し下がり気味についています。 鑼の柄は斜めにすげることもあります。

また、鋸は元来片刃でしたが、明治以降縦挽と横挽を一本にした両刃鋸もあらわれました。

この他、大工仕事用の鋸には、荒仕事や斜め挽きに使う穴挽鋸、大割用の挽割鋸、精密加工の胴付鋸、溝を挽く畔挽鋸、鴨居挽鋸、曲線を挽く廻し挽鋸など多くの種類があります。

杣仕事用には前挽鋸、手曲り鋸、腰鋸、雁頭鋸などがあります。

鑼(ガガリ)

挽切(ヒキキリ)

両刃鋸

鋸のかたち

ががり

大工が木取り、大割用に使うので刃渡り約45センチメートルと大きい。

ががり

両刃鋸

鋸身の両側に縦挽目、横挽目をつけた鋸で刃渡り約24センチメートル位がよく使われる。明治30年頃から全国的に普及した。

両刃鋸

胴付き鋸

小細工の組手加工に使うため、鋸身が薄く片側を背金で補強してある。

胴付き鋸

挽廻し鋸

板材の曲線を持った貫通部を設ける時に使うため、鋸身は狭い。

挽廻し鋸

手長鋸

伐木用の鋸である。近年は、主役の座をチェーンソーに譲っている。

手長鋸

手曲鋸

主に明治になって使われた伐木用の鋸である。

手曲鋸

挽切鋸

通称「キリ」といわれる。片刃の横挽き鋸の代表である。

挽切鋸

穴びき鋸

大工仕事では、丸太の端を切り落としたりする荒仕事に使う。板の接合面の摺合わせにも用い、水漏れを防ぐ必要のあるところに使う。

穴びき鋸

鴨居挽鋸

鴨居や敷居の溝を加工するのに使う。柱の背割にも使う。刃渡り約10センチメートルと小さい。

鴨居挽鋸

前挽き大鋸

製材に使われた鋸で、単に前挽きといわれ、桃山時代末期に開発された。 大きな鋸身は約5キログラムにもなり、重量を利用して切った。

前挽き大鋸

使い方

鋸のかたちの違いは、作業での鋸の動かし方の違いに関係があります。 縦挽き鋸は材の上に乗って右足を後に退き、鋸を45度くらいにたてて尻手上がりに挽きます。

横挽き鋸は材の横に立って左足で材を押え、右手で柄の尻手を握り左手で付け根を軽く握り、鋸をねかせ気味に尻手下がりに挽きます。 この違いが背の反りや柄の付きかたの違いになります。 力の入れかたは、両方とも同じで引く時にだけ力を入れ、 向こうへもっていくときには浮かすように軽くもっていきます。

縦挽きの姿勢

横挽きの姿勢

歴史的背景

古代エジプトでは、すでに銅や青銅の鋸が使われたと報告されています。 エジプトの第4王朝、第6王朝の墓の壁画にも描かれていることから見て、金属を使う頃には存在した道具であると言えます。
中国でも青銅器の鋸が使われ、漢代には鉄製の鋸が使われていました。

一方、日本では青銅の木工具は出ていませんが、古墳時代には鉄を使った道具がありました。
その1つとして金蔵山古墳から鋸状の道具が出ています。 しかし、現在の鋸に近いかたちの道具としては、中世の木の葉形鋸になります。
文献では、平安時代の古辞書にはノホギリと呼ぶものがあり、これに鋸という文字が使われています。

歴史的背景

木の葉形鋸

鋸の焼入れ

鋸は鑿や鉋と違い、鋼を叩き延ばした板に鋸の目を刻んで作ります。
よく切れるようにするためにはある程度の硬さが刃先に必要です。 そのために、形を整えた鋸を再度加熱して急速に冷やすという焼入れ工程が入ります。 薄く延ばした鋼を急速に冷やすと割れやすいので、古くは砂で冷やす砂焼入れという方法が用いられていました。しかし、品質が安定しないため、鋸鍛冶は苦労したといわれています。

その後、油を用い、刃先に粘りと硬さを生み出す油焼入れが考案されます。 これを発明したのは江戸末期に会津若松で活躍した中屋重左エ門といわれています。 会津若松は道具の産地とも言われるくらい栄えた所でしたが、現在では、その面影はみられなくなりました。

鍛造

焼入

せんがけ