本文へジャンプ
竹中工務店

アシックス本社東館

  • t
  • t
  • t
  • t
  • t
  • t
  • t

設計担当者の想い

t

日野 宏二竹中工務店設計部

スポーツアパレルメーカー本社への、企業ミュージアムと開発部門の執務スペースの増築計画です。
知的創造空間の実現に向け、内外部空間の連続と自然通風・採光の積極的な導入により、身体を心地よく刺激し、豊かなコミュニケーションが触発されるワークプレイスを目指しました。
また、地域と共生するスポーツ関連企業のアイデンティティの表象として、アクティビティを外部に表出し、シンプルで飾らない「建築的身体」を表現する建築を目指しました。。

プロジェクト概要

建築地 兵庫県神戸市中央区港島中町
建築主 株式会社 アシックス
設計・監理 竹中工務店
建築面積 863㎡
延床面積 4,087㎡
構造/階数 S,SRC/F6
工期 2008.5~2009.3

「健全な身体」としての建築

神戸ポートアイランドに本社を置くアシックスは、創業60周年記念事業の一環として本社東館を増築しました。
1・2階を企業博物館、3~5階を開発部のワークプレイスとしたこの建物は、創業者である故鬼塚喜八郎会長の創業哲学「健全な身体に健全な精神があれかし」を具現化し、その精神を継承する建築であることを意図しています。設計に当たっては、「健全な身体」を表現するデザインと「健全な精神」を育む知的創造空間の創出をテーマとしました。

「知の回廊」の完結

外観を特徴付けるルーバーは、室内へ直接差し込む日射を遮り、窓周りの熱負荷を軽減すると同時に、その上面で光を反射させ建物の奥まで自然光を導き、明るく快適な執務空間を実現して省エネルギー効果を高めています。

このルーバーは複数の直線部材で構成されていますが、先端部材のみ曲げ加工とすることで半径180mの緩やかな円弧が感じられるように工夫しています。1985年に竣工した既存の本社屋は、中央に大空間「アシックスアトリウム」を抱いた特徴ある形態をしています。増築によってアトリウムの開放性とまちへの連続性を損なわないよう、透明性の高い建築であるべきだと考えました。同時に、既存社屋を含めた各部門のレイアウトを改変し、部門間のネットワークを改善することで、本社全体のワークプレイスを再編しました。アトリウムを囲む「知の回廊」が築後25年を経て完結し、新しい知的創造型のワークプレイスが生まれました。

コミュニケーションの誘発

増築棟に入居する開発部は、商品開発の中心であり、創造力が求められる部門です。知的創造性を高めるワークプレイスを目指し、ワークプレイスプロデュース本部と協業し、「コミュニケーションの誘発」「集中とリラックス」といった知的創造をサポートする諸要素を、「知の回廊」を中心としたサーキュレーション(回遊性)のあるワンルームオフィスとして組み立てました。
3~5階を貫通するコミュニケーション階段や東・南面に設けたリフレッシュバルコニーは、上下階のコミュニケーションを誘発すると共にアクティビティをまちに向かって開いており、「地域に開かれた企業」のシンボルとしての想いも込めています。

オフィスに自然の風を

緑豊かな周辺環境と、低層オフィスの利点を生かし、建物外周部に開閉可能な窓を配置しました。南北の避難階段頂部には開口部を設け、階段シャフトを利用した風の煙突「ウインドチムニー」を、技術研究所との協業により導入しました。竣工後も、利用者へのアンケート調査や換気測定を実施しており、より良い使い方を建築主と共に更に考えていく予定です。

外装計画

コンセプトである「健全な身体」を表現するものとして、建築の身体部分、つまり構造・設備の骨格を隠すことなく表現する「スケルトンデザイン」に取り組みました。特にオフィス天井については、模型・施工図・モックアップに至るまで、入念なデザイン検証を行いました。他プロジェクトへ、今後展開していく可能性があるアウトップットになったと思っています。

外装計画

各部ディテールについては、水平方向の透明性を重視し、シンプルなデザインと素材の限定を意識しました。フレーム(骨格)・ディテールにおいてコンセプトを一貫して踏襲することで、全体として強いメッセージを持った建築とすることを考えました。