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竹中工務店

天心聖教伊勢礼拝堂

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設計担当者の想い

足立 裕己竹中工務店 大阪本店 設計部

鈴鹿山脈と養老山地を望む丘陵地に、里山の礼拝堂をデザインしました。甲賀石・尾鷲(おわせ)檜・員弁(いなべ)川の砂利・菰野(こもの)石など、近場で手に入る材料を積極的に活用し、身体に触れる部分には木を使用することを意識しました。柔らかな自然光に包まれて、木の葉の揺れる音や虫の鳴き声が反響する祈りの空間を目指しました。

プロジェクト概要

建築地 三重県いなべ市大安町石槫東1860-5
建築主 (宗)天心聖教
設計施工 竹中工務店
建築面積 955㎡
延床面積 921㎡
構造/階数 RC,S/F2
工期 2011.11~2012.9

里山に溶け込む礼拝堂

40年以上前にセルフビルド同然で建てられた、日本家屋の旧礼拝堂のイメージを継承し、林と畑と民家の散在する里山の風景に違和感なく馴染む礼拝堂をデザインしました。
切妻屋根と片流れ屋根を使い分けることで、主空間の礼拝堂を外観からも認識させるルーフスケープデザインとしています。聖域までの奥行きを大切にするため、敷地の奥に建物を配置して、円弧のアプローチで前庭と建物を緩やかに結びました。

地域素材を用いたアプローチ

甲賀石の塀は閉鎖的にならない高さまで積み、その間口を聖域への入り口としました。
員弁川の砂利を使用した洗い出しのアプローチは緩やかな登り坂とし、エントランスに近付くにつれて尾鷲檜の天井が低くなるようにしています。林の横を通るアプローチは、なるべくこの地域で調達できる材料を用いてつくるように心掛けました。アプローチの横には大理石でできた御手洗(みたらし)があり、手を清めてから建物の中に入ります。

光と風を取り込む礼拝堂

鉄骨でつくられた屋根は、高窓部で断面200mm×25mmの極小のプレート柱によって支えられ、設備機器の全く無い曲面の布天井が浮遊したディテールとしています。壁には吸音を兼ねた木製リブの収納を全面に配して、各種設備機器を納めました。
空調はアンダーフロア空調として、ベンチの下に吹き出し口を配置しました。床から出た気流はベンチの座面の下を通ってから室内に抜けるディテールとしています。

人の肌になじむ素材と色

床の磁器質タイル、壁の薄塗材、天井の塗装は全て同じ色合いで統一し、窓から入る柔らかな光の中に溶け込み、ブロンズレリーフやベンチに意識を向けるカラースキームとしました。
身体に触れるベンチやカウンター、収納には木を使い、素朴で温かみのあるつくりとしました。掃き出し窓と引き戸を積極的に採用して、木の葉の揺れる音や虫の鳴き声が室内に反響する建物を目指しました。

主張しないディテール

手を清める御手洗の吐水口は、特注形状の硫化いぶし仕上とし、面台に組み込んだセンサーで水が流れる仕様にしました(写真左上)。エントランスの格子扉は鍛鉄風の塗装を施し、重量感と開放性を兼ね備えた扉としました(同左下)。アプローチの尾鷲檜の天井は雇い実接ぎ(やといざねつぎ*)部分で円弧の目地を調整し、整形の板を無理なく納めるディテールとしました(同右上)。礼拝堂の壁面は25mm×25mmの木製リブを配置して、大空間の壁面を細かく分節することを意図しました。
* 雇い実接ぎ=板の幅方向をつなぐことを「接ぎ」といい、接ぎ合わせ面となる両木端の共通位置に板厚の約3分の1幅の実溝と呼ばれる溝を切り、溝に合わせて別に実(堅木の桟)をつくってこれを挟み接合する方法。