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竹中工務店

永野病院

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設計担当者の想い

髙山 淳二竹中工務店 九州支店 設計部

当プロジェクトは、療養型111床の病院を700m程度離れた新しい土地へ移転するという計画でした。敷地は小学校や住宅が建ち並ぶ閑静な郊外の住宅地で、博多の森と呼ばれる丘陵地の裾に位置しています。そこで、「周辺の住宅群に対する圧迫感を軽減しながら良好な環境を形成する」という建築の在り方を建築主と共有し、基本方針としました。その実現のために建物の低層化を図り、病棟の中心に中庭を配し、アクティビティーが視覚化される親密な療養環境を目指しました。

プロジェクト概要

建築地 福岡市博多区浦田1-31-1
建築主 (医)永野病院
設計施工 竹中工務店
建築面積 1,256㎡
延床面積 4,257㎡
構造/階数 RC/B1,F4
工期 2011.12~2013.1

周辺環境に配慮した外観

敷地の高低差を利用した半地下形式で高さを抑え、また階高を抑えるためフラットスラブを採用し、更に4階部分をセットバックさせることで3階建ての印象となるよう配慮するなど、住宅が建ち並ぶ周辺環境になじむたたずまいとしました。道路に面した1階部分は、スレンダーな柱による開放的なピロティとし、街への連続感を生み出しています。

病室と周辺住宅群の距離が近いため、視線緩和に配慮した縦長窓のデザインとし、残りの壁を扁平(へんぺい)柱とすることで、柱型の無い病室を形成する合理的な構造計画としました。

開放感のある中庭

低層化を実現するため、敷地を平面的に広く使うことによって、病棟を2フロアで構成しました。その病棟の中心に十分な採光と自然換気を促す中庭を配置し、ロの字型の回廊形式の病棟プランとしました。見上げると、緑化された屋上スペースの気配を感じることができ、適度な開放感と心地良いスケール感を持つ中庭としました。

動きが見える病棟

中庭に面した病棟の中心にスタッフステーションを配置し、各病室へのアクセスを良くするとともに、各所から中庭を介してスタッフステーションが視認できる構成としました。上下階の患者さんやスタッフの動きが見え、スタッフにとって働きやすいワークスペースとなり、患者さんやその家族にとって安心感につながることを意図しました。

中庭とつながる食堂

中庭と同一フロアにに食堂を設け、気候が穏やかな季節には窓を開けることができ、風が流れる気持ちの良い空間としました。外部である中庭をインテリアとして取り込むことを意図し、開口部はフルハイトサッシとすることで、開放感を持たせています。各種イベントの際には食堂と一体的な利用が可能な計画としました。

回復意欲を喚起するテラス

最上階にはリハビリを行う機能訓練室を設け、再生木のデッキを敷いたリハビリテラスと連続する形でプランニングしました。見晴らしの良いテラスには緑化スペースと菜園があり、さまざまなコミュニケーションの場を用意するなど、患者さんの回復意欲を喚起する仕掛けとなっています。

開放的な外来待合

外来待合は自然光が入る明るい空間とし、緑を感じる設えとしました。この待合空間が敷地内に設けた緑地と一体化することで、街の風景として閉塞感の無い親しみやすい表情の建物となりました。

夕刻には、内部のあかりが優しく街を灯し、高齢化が進む地域医療の拠点として、この街に安心感を付与することを意図しました。