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竹中工務店

山武市しらはたこども園

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設計担当者の想い

佐藤 琢竹中工務店 東京本店 設計部

どこにいても子どもたちの声が聞こえる、一体感のある遊戯室、思わず駆け上がりたくなる屋上への階段。そんなイメージを手掛かりに、津波避難施設という機能を超えて、先生たちにとっては使いやすく、子どもたちにとっては心踊るこども園を目指しました。

プロジェクト概要

建築地 千葉県山武市白幡1919
建築主 山武市
設計施工 竹中工務店
建築面積 2,932㎡
延床面積 2,612㎡
構造/階数 RC,S/F2
工期 2012.7~2013.3

田園風景の中のこども園

九十九里の田園風景の中、0歳から5歳までの園児たち200人が集うこども園です。東日本大震災を受けて、山武市は、沿岸の4つの幼稚園と保育所を海岸から離れた敷地に移転・統合することを決定しました。早期に事業を完了すべく実施された設計施工コンペを経て、この春開園しました。

円弧を描く大屋根の中心に、2層吹き抜けの遊戯室を配し、屋上を津波からの避難スペースとしました。日頃から子どもたちの活動の場となる立体的な回遊動線が、非常時には避難経路として機能します。

子どもたちを守る屋上広場

移転の最大の目的である津波防災への対応は、コンペの重要な評価項目でした。技術研究所での津波シミュレーションに基づき、地上6.3mの遊戯室屋上に園児と職員全員が避難できるスペースを確保しました。

1階を津波が通り抜けることを想定したRCの構造体は、「津波避難ビル等に係るガイドライン(内閣府)」に沿って浮力や引き波に対する健全性を検証しました。

園の中心となる遊戯室

回廊に囲まれた遊戯室は、さまざまな方向から出入りができる園の中心です。扉を開け放つと、エントランスホールから中庭、遊戯室を介して敷地の外まで視線が抜けていきます。

地元産業活性化の取り組みとして、2階の手すりには特産のサンブスギ(※)を使用しました。独特の赤味を生かして、温かみのあるインテリアを実現しました。

※サンブスギ: 千葉県で生まれた優良な性質を多く持つ挿し木スギの一品種(クローン)で、250年以上前から山武林業地において挿し木造林の技術とともに受け継がれてきたもの。その他のスギ(山武杉、さんぶ杉など)と区別している(千葉県のホームページより)。

風が抜ける保育室

回廊の周りに保育室を配し、伸びやかな勾配屋根を架けました。子どものスケールに合わせて低く抑えた外周部の軒庇が夏の日差しを遮り、回廊側の高窓からは柔らかな自然光が降り注ぎます。

回廊側の建具には通風のための格子戸を組み込みました。園庭側の地窓を開けると、お昼寝をする子どもたちの上を床面に沿って風が抜けていきます。

既存樹木を生かした園庭

敷地の外周部に残る常緑樹林を保存活用し、内側に地域の植生に配慮した落葉樹を添えました。新植樹には、子どもたちが四季の変化や実りを発見できるよう、果樹やどんぐりのなる木を選定しました。

建設残土を利用した築山には滑り台や階段を組み合わせ、ランドスケープと一体の遊具としました。

園児が喜ぶアートワーク

アーティストの長谷川 仁氏とコラボレーションして、園の各所に子どもたちを迎えるサインを散りばめました。保育室入口のクラスサインは、扉を動かすと果物の中身が現れる仕掛けになっています。 屋上広場に描かれた模様は、山武市特産のいちごがモチーフです。先生の掛け声を合図に、大きないちごの上を子どもたちが走り回ります。