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竹中工務店

大阪木材仲買会館

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設計担当者の想い

建築主の「木の殿堂をつくりたい」という想いに応えるための、特別な取り組みでした。近年の社会的要請でもある、都市部における木材利用の新たなモデル創出を目指し、社内外の関係者と密に連携することで実現することができました。

白波瀬 智幸竹中工務店 大阪本店 設計部

興津 俊宏竹中工務店 大阪本店 設計部

プロジェクト概要

建築地 大阪市西区南堀江4-18-10
建築主 大阪木材仲買協同組合
設計施工 竹中工務店
建築面積 438㎡
延床面積 1,032㎡
構造/階数 W,RC/F3
工期 2012.7~2013.3

桜を囲う木製ファサード

当プロジェクトは、大阪木材仲買協同組合が持つ会館(事務所兼展示スペース)の建替です。敷地は長堀や堀江など歴史的に大阪の材木場として栄えた地域の一画にあります。設計プロポーザルでは「木材をふんだんに使用した、木の殿堂として社会にアピールできる建築」が求められました。そこで、内外部ともに木を五感で感じられる建築を目指しました。

既存の2本の桜の大木を囲うように建物はを配置し、木架構・木製建具・軒天から成る木製ファサードが敷地一杯に開かれ、街並みに最大限木質材料が現れるデザインとしました。

ダイナミックな木架構

敷地は防火地域で、建物を耐火建築物としなければならない制約があったため、当社が開発した構造・仕上げともに木材を用いた1時間耐火の集成材「燃エンウッド®」を採用することで、木の表情や香りを生かした木造の空間を実現しました。

上階2フロアをダイナミックなL字型の木架構とし、耐火集成材の柱・梁を積極的に見せることを意識しました。また、南西側の街に開いた開口部はすべて木製建具とし、内部の用途に合わせて粗密を付けた縦桟を設けることで、街と人に適度な距離感を持たせるとともに、森の木立のような空間を意図しました。

人と木に優しい機能的な軒庇

日本建築の手法に倣い、軒庇と木製建具を併用して、雨による腐朽対策及び日射による経年変化対策を図るとともに、各階の木部のメンテナンスを軒庇から容易にできる構成としました。

また、この軒庇はワーカーのリフレッシュ空間などにも利用され、街と人と建物を緩やかにつなぐ中間領域としても機能するように意図しました。

木のショールーム

木が生まれて再度土に戻るまでの循環の中で見せる様々な表情を仕上げとして用い、建物全体が木のショールームとしても機能することを意図しました。

軒庇部分を活用した明快な避難計画と、仕上げ木材の燃焼実験結果を用いた避難安全検証により、防災面での安全を確保しています。それにより内装制限を緩和し、天然木の香りにあふれる空間を実現しました。

木を守るボリュームデザイン

1階をRCの基壇とし、地震や津波による浸水時の耐性を高めるとともに、隣地と近接する部分は隣の建物の火災による延焼から木材を守るために、耐震要素も兼ねたRCの壁で構成しました。木の適性を考えて、使い分けをしたボリュームデザインとしました。

都市の中の森をつくる

都市部での木材利用は、衰退した日本の林業の活性化に寄与するとともに、建物の利用者だけでなく街にも安らぎを与え、これからの「人と木と都市の関わり方」を示す手掛かりになると考えます。当建物は、都市密集地域において“コンクリートと鉄の街”を“木の森”に変えるビルディングモデルを追求しました。