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竹中工務店

ミルボン中央研究所(増)

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設計担当者の想い

大平 卓磨竹中工務店 大阪本店 設計部

研究所を使いながらの増築という複雑なプログラムでしたが、建築主とともに念願の竣工を迎えることができました。敷地環境を読み取り、周囲と呼応した存在感のある建築が実現できたと考えています。

プロジェクト概要

建築地 大阪市都島区善源寺町2-3-35
建築主 (株)ミルボン
設計施工 竹中工務店
建築面積 1,178㎡ (増築部のみ)
延床面積 2,488㎡ (増築部のみ)
構造/階数 SRC/F3
工期 2013.3~2013.12

墨は五彩を兼ねる

ヘアケア化粧品メーカーの研究所の増築です。設計に当たり、黒髪の繊細なカラーリングに挑戦する建築主の「墨は五彩を兼ねる」という言葉に着目しました。

増築した建築のたたずまいは、研究室やカラーリングを評価する諸室など各機能に分解された複数のボリュームが、ダイナミックな出入りを持ちながら積層しています。モノトーンで統合した微妙な「色彩」「素材」の質感の違いが、ボリューム構成を際立たせています。夕刻に、西日を受けた大小の陰影が浮かび上がることで、彫りの深い豊かな表情を形成します。

美髪の樹のある中庭

「櫛(くし)は美しい髪づくりの原点」。日本では古くから、「最高の櫛」はつげの木でつくられてきました。建築主により“美髪の樹”と名付けられた大きなつげの木のある中庭が、来館者を迎えます。

中庭への意識を阻害しないように、シンプルでプレーンな天井面を実現しました。中庭をめぐる研究エリアの構成によって、空間の奥行きを演出し、光や自然を感じられる研究所を目指しました。

閉じながらもつながる

建物中央の中庭が、井戸のような閉鎖的な空間とならないように、西面に“風穴”を設けました。これにより、周辺との連続性を感じられるとともに、中庭と風穴や屋上庭園がつながり、外部空間を立体的に内包したような建築をつくり出しました。

髪の研究所ならでは

当研究所で扱う主な対象は繊細な毛髪であるため、研究内容と連動するよう、プランニングや設備計画に配慮しました。極度に振動を嫌う電子顕微鏡室は1階へ、遮音性の必要なホールや電子天秤を主に使う研究エリアはRCの耐震壁で守るように計画しています。特に実験室は、低気流型の染み出し空調を採用し、実験機器の振動やドラフトを抑制しています。

「集中」と「発散」

「集中」することが必要な下階の研究・実験エリアでは、内向的で光の安定した中庭を中心に構成する一方で、3階のワークプレイスは開放的な空間を意図しました。屋上庭園を介し、外部と内部が積極的に交わり合う空間が研究員の五感を刺激し、外で働くこともできる「発散」の場を提供しています。

「中庭」と「屋上庭園」という2つの外部空間を併せ持つことで、「集中」と「発散」の場の両立を可能としています。

小さな「風景」の連続

建築地は集合住宅や職住一体の長屋に囲まれています。周辺環境の制約のなかで、都市との接点をつむぐように、開口部の位置を決めました。限定された小さな開口部や視線の高さを制御した地窓により、都市とつながりながら中庭をめぐるシークエンスを形成しています。郊外ではなく都市に建つ研究所ならではの特性を生かしたいと考えました。