環境配慮建築の歴史の中で、昭和初期の実験住宅である聴竹居を設計した藤井厚二氏(以下敬称略)の存在を忘れることはできません。20世紀初頭、欧米を模範とした近代化路線に日本全体が邁進する中で、彼は日本の気候・風土に適応した住宅のあり方を実証するため、大山崎の豊かな緑の中に5棟におよぶ実験住宅を次々と建てました。聴竹居はその集大成であり、和洋の生活様式の統合とともに日本の自然との調和を目指した、近代住宅建築の代表作です。そこには気候・風土と共生するためのさまざまな工夫が施されています。
藤井はこの住宅において環境工学を基礎とした設計方法論を展開しました。欧米諸国・都市の気候データを並べ、日本の気候との比較を行った上で、主に温熱環境について人間が快適である状態を明らかにし、それを獲得するための日本の住宅における基本的な考え方を、科学的に裏付けようとしました。
藤井が聴竹居を通じて提唱したのは、日本の気候・風土そして時代のライフスタイルに適合した住宅です。具体的には
1. 科学的アプローチを駆使したパッシブな建築計画とデザイン
2. 自然素材の利用
3. 洋風と和風を統合したデザイン
です。
 
   
所 在 地 :京都府
構造規模 :木造平屋建
延床面積 :本屋 / 173m2、閑室/ 44m2(竣工時)
 下閑室/ 33m2
竣  工 :1928年(本屋・閑室)1930年頃(下閑室)


配置図