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「竹中環境シンポジウム2011」が開催されました

リリース
2011年7月7日
株式会社竹中工務店

竹中工務店(社長:竹中統一)は、全従業員を対象に“東日本大震災を受けて、今、私たちが提案・提言できること”の募集を行い、部門を横断する各チームから計166件の提案・提言が出されました。7月6日に行われた本年度の「環境シンポジウム2011」は、その中から際立った視点の提案・提言を発表、紹介するとともにパネルディスカッションにて発案者と社外有識者を含む社内外パネラーとの討議を通じて内容を深めました。
今回の提案・提言に対する社外有識者の方々の貴重なご意見を踏まえ、当社の取り組みに役立てていきます。

当日の実施状況

環境シンポジウムの前半では、東日本大震災復興構想会議検討部会の委員を務められている京都造形芸術大学教授の竹村真一氏をお迎えして、基調講演をして頂き、後半に今回の提案・提言の発表とパネルディスカッションを行いました。
シンポジウムは、お客様を含む社外有識者の方々約50名を招き、7月6日、東京本店2階ホールを主会場とし、7本支店とタイ竹中をTV会議システムで結んで開催しました。
社内選考された15件(※)について各提案の代表者による熱心なプレゼンテーションが行われ、社外パネラーの(※1)小泉雅生氏、(※2)伊香賀俊治氏、(※3)三浦展氏と当社副社長2人の計5人により5件を選択し内容を深める充実した討議が行われました。

※1 小泉雅生氏:首都大学東京教授/建築家
※2 伊香賀俊治氏:慶応義塾大学教授
※3 三浦展氏:カルチャースタディーズ研究所主宰/消費社会研究家、マーケティング・アナリスト
基調講演の様子、パネルディスカッションの様子

社内外パネラーに選ばれ討議した5件の提案・提言とパネラーのコメントは次の通りです。

Tsunami Damping Flutters
人の命を守る新しい考え方の防潮堤の提案

西岡 浩是・成山 由典(タイ竹中)

防潮堤は常に自然の破壊的な力にさらされているため、長期的な防護を提供するには不断の保守を必要としてきた。しかし、今回の東日本大震災を受けて、世界一と言われた防潮堤までもが津波の力に破壊されてしまい、津波に対する防潮堤による防備の方法については、なす術がないのが現状である。
そこで、従来とは違った新しい防潮堤のあり方を提案したい。考え方としては、津波の波の力・量を全て受け入れ、耐えるのではなく、波の力を受け流し、弱めるといった考え方に発想の転換をしてみる。 既存の防潮堤よりも、沖合に配置することで景観を乱すことなく波の力を弱め、まちを守るものになる。波力発電を組み合わせることでエネルギーの生産が可能になるほか、漁礁として機能することでまちの漁業産業を復興する足掛かりともなる。

<コメント:小泉雅生氏>
自然の破壊力を受け流すという柔構造の発想で提案され、防災に対するパラダイムシフトの可能性がある。どのくらいの期間とコストで実現できるかという課題はあるが、視点と発想が素晴らしい。

こどもと築く復興まちづくり
被災地のこどもが復興に関与する「こども復興参画カリキュラム」の導入を提言する

岡田 暁子(東京本店 営業部)

全てを失った人々。一見、元気そうなこどもたちも被災者。20年スパンの復興の「主役」たちに元気を与え、成長を促す仕組みを提言する。
復興まちづくりは単なるハコづくりではなく、人々のくらしや希望を取り戻し、継続することが大事である。こどもたちを長期の復興に参画させながら多様な成長を促す「こども復興参画カリキュラム」の被災地学校等への導入を提案する。
自治体が「仮想クライアント」になり各学校にテーマに応じて検討を依頼し、「こども研究員」からの提案を反映した復興事業を実行する仕組みである。運営は「まちづくり学習」の先進自治体がペアリング支援する。また、国は総合特区等の導入で、大学や企業、NPOもそれぞれの専門性に応じて支援する。

<コメント:伊香賀俊治氏>
復興は段階的に10~30年の長期にわたるもの。次世代を担う子供たちの教育に都市計画、建築、行政のプロが関わり、社会貢献できるという仕組みが大変良かった。

LIFE rail
鉄道沿線に自転車網を整備し、災害時にも冗長的に機能する都市インフラを構築する

吉本 一規(大阪本店 設計部)

ハードなインフラに頼りすぎるあまり、災害時にもろさを露呈する現代社会。都市が粘り強く災害に応答するためには、より柔軟なインフラの創造が求められる。
鉄道沿線に配された自転車のネットワークは、リニアなコミュニティを形成し、災害への社会的な抵抗力を醸成する。災害時には、ここが物資の輸送・供給の拠点となるだけでなく、自然エネルギーを利用したエコシェルターとなり、避難者を受け入れる。

<コメント:三浦展氏>
有るものをうまく使うこと、隙間に何かをつくることに価値を見出すという私の持論に合致している。また一般市民がなじめる空間を提案している点が気に入りました。

Re-Branding JAPAN 「防災大国・災害支援国 日本」の確立
世界の持続的発展を支援する防災ポテンシャル創造型のまちづくり

東村 壮裕・木村 祐太(プロジェクト開発推進本部)

毎年、自然災害により全世界で約2億人が被災し、経済損失は1000億ドル超となるなど、自然災害による被害軽減は国際社会の重要な課題となっている。
日本は東日本大震災により多大な被害を受け、また同時に世界中から様々な形での支援を受けた。今後、日本は世界への「恩返し」として、防災や被災地支援により、世界の持続的発展を支える「新しい支援の形」を世界に向けて提案する。
①全世界の防災力を高める支援システムの構築
②防災ポテンシャル創造型のまちづくり

<コメント:渡邊暉生氏>
東日本大震災で全世界から支援を受けた我が国にとって、民間が国・地方自治体と協力して、全世界の防災力を高める支援体制とまちづくりを行う構想が必要だと再認識した。
世界の持続的発展を考えたこの発想そのものを高く評価した。

森と海のあいだ
津波で流された地域を21世紀型自然共生群として再考する提案

北原 祥三(東京本店 設計部)

3.11の震災によって、20世紀型の都市システムは破錠した。ここでは失ったものを再生するのではなく、この場所に残った力(森・海・人の営み) を紡ぎ合せることで、新たな人と自然の柔らかな関係性を生み出すことを目指した。具体的には、森と海のあいだの関係性を示す【5つのレイヤー】を重ねる事 で21世紀の新しい里山風景を生み出す仕組みを提案する。

5つのレイヤー】

  • memorial line
    3つの等高線(震災以前の海岸線、震災後の海岸線、震災時津波到達線)を結ぶ
  • emergency route
    等高線に対して垂直に伸びる避難動線と津波の力を最小限にする建物配置
  • biodiversity tone
    生態系の多様性を高める海岸推移帯
  • carbon neutral
    自然エネルギーを最大限活用したエネルギーシステム
  • community cell
    生態系と共存するセミラティス型のコミュニティ生成

<コメント:門川清行氏>
防波堤により津波をねじ伏せるのではなく、自然の力を受け入れるとともに、津波被害の記憶を継承し美しい景観を生み出す。阪神淡路大震災後の神戸地区とは異なった都市再生の提案として次の3代にも伝えていくものと感じた。