2000年11月16日

関西大学工学部第1実験棟で「曳屋免震改修工法」を実施
〜部屋の中では仕事が可能な状態で、建物ごと8メートル動かした後、免震装置を設置〜

株式会社 竹中工務店

(株)竹中工務店(本社:大阪市、社長:竹中統一)では、吹田市の関西大学千里山キャンパスで、既存建物である工学部第1実験棟(鉄筋コンクリート造4階建て、総重量約2,000トン、16.4×29.1m、高さ13.6m)を、そのまま西側に約8m移動させ、免震装置を組込むという「曳屋免震改修工法」を実施します。工事中、建物は通常の機能を生かしたままで、使用中の状態での免震改修工法を実現しています。
この工学部第1実験棟は、1973年に竣工し、旧基準で建てられているため耐震補強されることになり、この機会にキャンパス整備のため、建物を移動させることとなったものです。
移動に当たっての曳屋は、11月16・17日の2日間・15時間で行います。なお免震装置の据付は、12月中旬から1月中旬に行う予定です。
これまでの既存建物免震化工事で、曳屋をしたケースは何例かありますが、今回のように建物を使用しながら8mも移動させるのはわが国初のケースとなります。


◆曳屋免震改修工法の施工手順

(1)山留め及び杭工事
建物を移動する敷地に周囲地盤の崩壊を防ぐための山留めH鋼杭を打設。移設位置に新設杭44本を打設する。


 
(2)掘削工事
1階土間スラブを解体し、梁補強を行って構造スラブを新設する。移設部及び既存建物の下部を既存杭補強を行いながら掘削する。

 
(3)基礎躯体及び既存杭切断工事
既存杭廻りを除く新設基礎を構築。
仮受け架台を設置し、既存杭を切断、その後に既存杭廻りの基礎を構築する。


 
(4)曳屋工事
転動装置を設置して仮受け架台を撤去する。 移動路盤上を50トンの推進油圧ジャッキ8台で約8m移動。ジャッキのストロークは20cm、伸長に要する時間は約5分。移動後ジャッキを盛替え、これを繰返す。

 
(5)免震化工事
仮受け架台を架設し、転動装置撤去後、免震装置である積層ゴム支承(径600mm、7ケ所)、滑り支承(径450〜130mm、11ケ所)、オイルダンパー(4ケ所)を既存基礎下に組込み、隙間をコンクリートで充填し、仮受け架台を撤去する。

 
(6)完了
残りの擁壁を構築し、建物廻りをエキスパンション金物にて閉鎖する。

◆耐震改修工法の現状

'95年の阪神淡路大震災を契機に、現行の耐震基準に適合しない既存建物改修を促進するため、「建築物の耐震改修に関する法律」が施行され、一定規模以上の既存不適格建築物には耐震診断・耐震改修が義務づけられています。また、文部省管轄の学校施設についても、耐震診断に加え、耐震補強に対する補助金制度が設けられています。 鉄筋コンクリート建築物の耐震改修法には、柱や壁を補強したり、耐震間柱や筋かいを新設するなどの他に免震による改修方法があります。
免震とは、建物下部に設置した免震装置により、地震力が地盤から建物に伝わりにくくする方法です。今回採用した免震装置は、薄層ゴムと鋼板を交互に挟んだ「積層ゴム支承」、支持面で自由に滑らせる「滑り支承」、減衰機能を持つ「ダンパー」で構成されています。
建物の機能を停止せず、大地震に耐える建物にリニューアルする技術としては、「耐震・制振補強工法」「免震改修工法」があります。当社ではいずれの場合にも、建物利用者の居住・執務環境に考慮し、低振動・低騒音・低粉塵の工法を採用しています。
既存の建物を使用しながら免震装置を組込む工法の当社の実績としては、姫路信用金庫本店(姫路市)があり、また東京ダイヤビルで現在施工中です。なお今回の曳屋免震改修工法は、当社では初の工法となります。



◆関西大学工学部第1実験棟の建築概要

建築地 吹田市千里山東3−874
建築主 学校法人 関西大学
建物規模 地上4階建て(最高高さ13.6m)
構造種別 鉄筋コンクリート造
延床面積 1,271.1 m
建築面積 384.5 m
工 期 2000年6月〜2001年4月



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