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2001年8月30日

検証された屋上緑化のヒートアイランド緩和効果

~風を生むアクロス福岡ステップガーデン~

株式会社 竹中工務店

屋上緑化がヒートアイランド現象の緩和に効果的であることが、アクロス福岡ステップガーデンの温熱環境実測調査(*)によって確認されました。
調査は、(株)竹中工務店(本社:大阪市、社長:竹中統一)が、九州大学、日本工業大学と共同で2000年9月に行ったもので、風速、温度、湿度や放射量等を測定して屋上緑化が建物及び周辺の温熱環境にどのように影響しているかを総合的に検証する中で明らかとなりました。


(*)アクロス福岡ステップガーデンの温熱環境実測調査:

アクロス福岡は福岡市内の中心部にある 1995年竣工の地上14階、地下4階、高さ60mの建物で、南面が階段状の屋上庭園となっており、その形状からステップガーデンと呼ばれている。13層からなるステップガーデンは、横幅が120m~98m(階によって異なる)、奥行きが6mで、76種類37,000本の樹木が植えられており、樹木の高さは1.7~1.9mの低木となっている。建物の南側には約100m×250mの公園が広がっている。温熱環境の測定はステップガ-デンを対象に行われ、最上階、10階、6階、5階に長短波放射計、超音波3次元風速温度計、シンチロメータなどの測定機器を設置してデータを収集した。



■ 風が生まれる

最上階、10階、5階に三次元風速温度計を設置して得られたデータの分析によると、ステップガーデンでは夜間に吹き降ろしの風、昼間には吹き上げの風が吹きましたが、風の角度は約30度でステップガ-デンの傾斜34.5度とほぼ等しく、傾斜に沿った風が吹くことが分かりました。風の弱い夜間に吹き降ろしの風が生まれるのは、植栽の表面の温度が放射冷却によって低下し、それに伴い近傍の空気が冷やされて生じた冷気がステップガーデンを降りるといった、盆地や斜面における冷気流の現象が起きているためと推測されます。この冷気流によって、熱帯夜の都心に涼しい風を送り込む効果が期待されます。


冷気流発生の概念図




■ 15度も違うコンクリートと緑の表面温度

赤外放射温度計でコンクリートと植栽の緑の表面温度を計測したところ、日中にはコンクリート表面温度が50度以上まで上がりましたが、緑の表面では38度と15度も低くなっていました。緑の表面は夕方以降に急激な温度低下が見られ、5日間の計測を通じて夜間は気温と同等か気温より低い状態であったことが確認されました。建物正面から撮影した熱画像をみると、建物を覆った植栽の表面温度が、コンクリート面に比べ低いことが確認できます。



熱画像(昼と夕方の温度変化)




■ 緑化は周辺の空気の温度上昇を抑制

コンクリート面では、日が当たると表面温度が上がって周辺の空気を温め(顕熱効果)、植栽面では蒸発散により多量の熱を消費するため、周辺の空気の温度上昇を抑制します(潜熱効果)。これは、ちょうど、庭に打ち水をすると気化熱で大量の熱を消費するためにひんやり感じられるのと同じ現象です。熱収支の測定(渦相関法、シンチレーション法、ボーエン比法等により顕熱流束や潜熱流束を測定する)では、夜間においては、表面温度の低いステップガーデンの緑が空気を冷やし、日中においては植物の蒸散による熱の消費で周囲の空気温度の上昇を抑える効果があることが分かります。建物への伝導熱流束も1日を通じて小さい値をとっていることから、植栽の土壌やコンクリートなどを伝っての建物への熱貫流も小さく抑えられていることが証明され、結果的に冷房負荷も低減していることが推測できます。


表面温度の変化
 


■ 今後の展開

今回の調査は、大規模屋上緑化のシンボル的存在であるアクロス福岡ステップガーデンを対象として、信頼性の高い計測評価手法を構築してデータの収集に努め分析を行ったものです。調査の結果、屋上緑化にヒートアイランド緩和効果が実証されたことから、今後の屋上緑化プロジェクトは普及に向け弾みがつくと期待されます。
今後も当社は実証調査を継続する計画で、アクロス福岡では本年夏にも更なる検証のため調査を実施しましたが、これらの成果を建物の最適な屋上緑化の立案等に活用していく予定です。




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