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<東京本店新社屋に採用した技術 No.4>
サステナブルビルを目指した設備の工夫
建築デザインと融合した設備計画により省エネルギーと快適性を実現

2004年7月22日
株式会社竹中工務店

(株)竹中工務店東京本店新社屋は、建築デザインと設備及び構造を融合させて開放的で機能的かつフレキシブルな執務空間を実現するため、各種の技術開発を行いました。工事は、7月22日現在、躯体工事・外装工事を完了し、設備工事・内装工事の段階です。この新社屋への様々な取り組みのうち、今回は、サステナブルビルを目指した設備の工夫にスポットを当て、主要技術をご紹介します。各種の技術を導入することにより、東京本店新社屋はCO2排出量及び1次エネルギー消費量を、従来の一般的なビルの約半分にすることが出来ました。



■ 設備計画を建築デザインや構造と融合

耐震性を高める座屈補剛ブレースを建物外壁部分に設置していますが、同時にそこを空調機スペースとしても活用した「高機能外壁」を採用しています。耐震性の向上を図る“ハの字”型のブレース下部に空調機を設置するので、別途機械室を設けるのに比べ大幅なスペースの有効利用になります。なお、空調機は外壁と一体化されており、外気を取り込むことが出来る「ハイブリッド空調システム」として活用しています。
また天井は、高さを統一した梁下に沿って、空調ダクトと照明器具を取り付ける「新天井システム」を採用しました。各フロアを10エリアに分けてきめ細かな空調を行っています。

<構成技術①高機能外壁から自然風をオフィスに!「ハイブリッド空調」を採用>
オフィスビルでは、従来あまり考慮されてこなかった自然の風を直接オフィスに導入し、空調に活用しています。空調機の運転モードは、外気温と湿度を検知して自動的に、①低温送風モード、②自然通風モード、③自然風・低温風併用モード、④外気冷房モードの4つから選択されます。自然通風モードは、外気温が15℃~26℃を目安に、空調機を停止させ自然換気を行います。自然風・低温風併用モードは、自然通風を補完する形で空調機を運転するものです。外気冷房モードは、取り込んだ外気を除湿した後に、空調機の送風機能を使って室内に送ります。

<構成技術②新天井システムに「段ボール・ダクト」を採用>
空調ダクトの材料として、段ボールを採用しました。段ボールは、両面にアルミ箔を貼って耐火性能を高めています。環境に配慮し80%以上古紙を利用し、一般の金属ダクトに比べて、約6割のコストで設置することができます。段ボールは、幅115cmのロールで7,000mを使用しました。このように、恒久的な建築物のダクトの材料として段ボールを利用するのは、日本では初めてのことです。


■ メインとなる空調システム

CO2排出量及び石油等の1次エネルギー消費量の半減、イニシャル及びランニングコストの低減、スペースの有効利用などを図った、環境負荷低減型のコストパフォーマンスに優れた「新空調システム」を開発、採用しました。

<構成技術 低温水利用の「新空調システム」> 「新空調システム」は、通常よりも低い温度レベルを利用することによって、全体的な空調効率の向上とコスト削減を図ったものです。3.5℃の冷水を建物内で循環させ、各送風機からの吹き出しを11℃で行うもので、従来空調のそれぞれ7℃、16℃と比べて低温なのが特徴です。「新空調システム」は①低温水蓄熱、②大温度差搬送、③低温送風の3要素で構成されています。蓄熱には、3℃の水で蓄熱する低温水蓄熱と、当社が開発したシャーベット状の氷で蓄熱するCLISとを併用しています。これらの蓄熱は、電気料金が安価な夜間電力を利用して行います。大温度差搬送は、通常5℃差の冷水でビル内を循環させるところを9.5℃差の大温度差で循環させ、搬送効率を上げたものです。低温送風では、各エリアに配置された空調機から、11℃(通常は16℃)の空気が室内に送られます。なお、暖房時は、ペリメータゾーンに40℃の高温の空気(通常は30℃)が送られます。
このように各所に大温度差を利用することにより、蓄熱槽スペースの削減、送水配管直径の縮小、送水用ポンプ出力の低減、空調機出力の低減、空調機のコンパクト化、送風ファンの小型化、ダクトサイズの縮小化など多くのメリットを享受することができます。これらは、イニシャルコストの削減だけでなく、ランニングコストの低減にも寄与しています。この「新空調システム」で新社屋全体の約8割以上をカバーしています。

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■ 開発と実証のショールーム その他の実験的空調システム

<要素技術①:バージョンアップした「VCS」と「躯体蓄熱」>
「VCS」は、特定の温度によって液体から気体、気体から液体へ変化する冷媒ガスを、自然の循環の原理(液体になると落下し、気体になると上昇する)を用いて熱搬送に利用するものです。従来は氷を用いて1℃に冷却して自然循環を行なうものでしたが、今回採用した「VCS」は3.5℃の低温水で対応出来ます。
また、「躯体蓄熱」は、低温送風の11℃の吹き出し風で、夜間に天井部分の躯体を冷やして蓄熱するものです。従来は5℃~8℃で躯体に吹き付けるのが一般的でしたが、11℃で蓄熱することが出来ます。

<要素技術②:搬送動力を3分の1に削減する「水和物スラリ」>
「水和物スラリ」は、水と比べ2~3倍の熱密度を持つスラリ状の特殊な溶液で、JFEエンジニアリング(株)と(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構が開発したものです。これを冷熱媒体として建物の中を循環させる空調システムは、JFEエンジニアリングと当社が共同開発し、実証を重ねてきました。「水和物スラリ」は水と同じように搬送できるので、同じ熱量の冷水を搬送するのに比べ約3分の1の搬送動力で賄うことができます。今回は、CLISと組み合わせて用いており、蓄熱された冷熱を「水和物スラリ」で一部の空調機に直接搬送しています。

<要素技術③:ペリメータゾーン空調の新たな取り組み>
ペリメータゾーンの空調は、冬季を対象に建物全体で採用している「高温暖房」の他、北側の一部に2つの新しい方式を採用しました。「蓄熱ペリメータヒーター」は、ペリメータに設置する蓄熱ヒーターに、薄いパネル状にした高分子蓄熱剤を用いるものです。蓄熱性能に優れた素材を用いることによって、特に負荷がかかる窓際の立ち上がりの軽減と、夕方以降の窓環境の改善を図ります。
「ペリメータ簡易エアフローシステム」は、ペリメータ付近の室内温熱環境の改善を図るために、OAフロア内に床吸い込みファンを設置して、窓際の冷気の影響を低減します。また、室内の空調気流を誘引し、窓際の温熱環境を向上させます。

<要素技術④:自然エネルギーの太陽光を利用した「集熱ダクト換気システム」>
太陽光を利用して換気や外気の加熱を行うもので、多目的ホール棟に採用しています(屋上に設置)。夏期及び中間期は、温かい方に空気が流れるという原理を利用して、太陽光によって温められた屋上の集熱ダクトに向かって、室内の空気が自動的に流れ出す仕組みの換気装置です。冬期は、外気を取り入れる部位の加熱装置として働きます。「集熱ダクト換気システム」は、ローコストで太陽光を換気装置及び加熱装置として利用するユニークな試みです。

<要素技術⑤:大空間の局所空調として床から冷暖房を行う「ふく射式居住域空調」>
大空間では、万遍なく冷暖房の空気を到達させることが困難です。そのため、気流の届きにくいエリアに限って、床から冷暖房を行う「ふく射式居住域空調」を、多目的ホール棟の一部に採用しています。床から輻射式冷房を行うのはあまり例がありません。

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