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1998年1月29日


簡易型3次元構造解析システム
「HYPER-STATICS(ハイパースタティクス)」を開発



(株)竹中工務店


このたび当社は、中小規模の建物の地震時の状況を、容易に、かつ短時間で3次元解析・図示できる構造解析システム「HYPER-STATICS(ハイパー スタティクス)」を開発しました。

当社はこれまで、構造計算及び構造図作成を一貫処理する「AUSTIN(オースチン)」を1977年に開発、構造設計に活用してきました。更に1994年には、地震時の建物全体の応答性状に加えて、個々の構造部材の弾塑性応答 (注1)を把握し、耐震安全性を確認するシステム「HYPER-DYNAMICS(ハイパー ダイナミックス)」を開発、特に超高層建物や免震建物を中心に活用してきました。

この「HYPER-DYNAMICS」は、実際の地震波を用いて建物が地震を受けた時の各部の状況を時々刻々に追求できるため、阪神大震災で被害を受けた建物の被害要因調査に大いに威力を発揮しました。

阪神大震災以降、中小規模の建物においても、耐震設計に対する関心は高まりました。当社では耐震性能基準を整備し、提案活動を進めていますが、その解析に当たっては、大型コンピュータの利用、計算時間あるいはコスト等により、即座には対応しにくいところがありました。

今回開発した「HYPER-STATICS」は「HYPER-DYNAMICS」をベースにしながら、静的弾塑性解析(注2)部分について中小規模の建物への汎用性を高めることを目的としたもので、パソコンでの使用も可能です。

また、最新の解析モデルを組み込むと共に、「先読み塑性化法」 (注3) という解析手法を開発することで計算時間の短縮を図り、簡易型の3次元構造解析システムとして完成させました。

なお解析に当たっては、静的荷重を徐々に加えて、地震を受けた時、構造主部材がどこから、どのように地震の影響を受けるか、また外壁をはじめ間仕切り壁といった構造の副次的部材が構造主部材の柱、梁にどの様な影響を及ぼすか、といった点についても詳細なデータが得られるようになっています。

「HYPER-STATICS」は、今後の多様な設計法が求められる性能設計時代に向けた新しく使い易い構造解析ツールとして、その効果が期待されます。



◆「HYPER-STATICS」の特長

1.構造種別、骨組み形態を問わない。
2.鉄筋コンクリートの壁、間仕切り壁を含めて複雑な建物を忠実に再現できる。
3.構造部材の耐力を軸力、曲げモーメントの相乗効果を考慮し、
  かつ立体的に検討できる。
4.当社独自の「先読み塑性化法」で大幅な計算時間の短縮が図れる。
5.建物の部材が破壊に至るまで追跡できる。
6.結果を分かり易い図に表現できる。
以上



(注1)弾塑性応答解析

建物が大きな地震を受けた時の様子を知るため、コンピュータ内の仮想空間に構造物を造る。この仮想構造物の足元を地震の記録通りに動かし、仮想構造物の様子を探るのが「応答解析」である。建物が大きく揺れてある限度を超えると、建物自体の性質が(墓石が豆腐になるように)急に柔らかくなる。このような性質をコンピュータ内の仮想構造物に持たせ、実際の地震時の建物の様子をより正確に再現する方法を特に「弾塑性応答解析」と呼ぶ。



(注2)静的弾塑性解析

上記のコンピュータ内に再現する仮想建物は、計算時間を短縮するため、実際の建物をできるだけ簡単な姿に置き換えて再現する。実際の建物の構造物は柱や梁があり、例えばジャングルジムのような姿をしているが、これを一本の杖のような姿に簡単化する。この杖に持たせる性質を決めるため「静的弾塑性解析」を行う。

「静的弾塑性解析」では、ジャングルジムとしての仮想構造物の柱、梁の全てに、それぞれの持つ性質を持たせる。そして、地震にあたる水平方向の力を仮想構造物に少しずつ加え、どの位の力が加わった時、仮想構造物がどのような状態になるかということを計算する。



(注3)先読み塑性化法

上記の「静的弾塑性解析」は、仮想構造物がジャングルジムのような複雑な姿をしている。そのため、多くの計算時間がかかると同時に、少しずつ加える力の加減をうまく制御しないと、目的とする答が得られないこととなる。

「先読み塑性化法」はこの欠点を補う方法で、少しずつ加える力の加減を、その時の仮想構造物の状態をながめ、この先どうなるかを予測(先読み)しながら自動的に制御する方法である。この方法により、全体の計算量を必要最小限におさえながら確実に必要な答を得ることができる。




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