1998年5月27日
観覧車のゴンドラに制振装置を設置
HEP FIVEの観覧車ゴンドラで揺れの強さを1/2に低減
(株)竹中工務店
大阪・梅田で工事の進む「阪急ファイブ新築工事」は、今秋「HEP FIVE(ヘップ ファイブ)」としてオープンします。「HEP」とは阪急エンターテイメント・パークの略で、7月よりリニューアル工事の始まる「ナビオ阪急(HEP NAVIO)」と一体となった都市型ショピングセンターを目指しています。
HEP FIVE は、地下3階、地上10階建て、延床面積52,755m2の店舗・アミューズメント施設等の入った複合施設ですが、建物の中に直径75m、最大定員208名(4名×52台)、最頂高さ約106mの観覧車が組み込まれています。
高層建物に、これほど大規模な観覧車が設置されることは世界でも例がありません。
従来、観覧車は遊戯メーカーの工事範囲ですが、今回は通常の観覧車としてだけではなく、建物との一体化による相互作用を考慮しなければならず、建物と同等の耐震・耐風安全性の実現のため、当社として設計面からも積極的に取り組んだものです。
建物上に建つ観覧車は、法規上は屋上工作物の適用を受けるため、地上に建つ場合の約3倍の地震力に対して設計する必要があります。また、この観覧車は建物との相互作用を考慮する必要性から、観覧車と建物を一体化した立体架構モデルを用いた地震応答解析を実施して、地震時の建物と観覧車の挙動を適切に把握し、安全に設計しています。
部材・接合部設計においても建築の耐震設計基準を適用して耐震安全性を確保していますが、こうした構造的な対応に加え、更に乗客の安全性向上のため、52台のゴンドラそれぞれに制振装置を設置しています。
 完成予想写真 |
◆ゴンドラ用のコンパクトな制振装置を開発
観覧車の乗客は、幼児からお年寄りまでを対象にすることから、万一の安全対策として、当社および(株)特許機器、(株)サノヤス・ヒシノ明昌の3社の共同開発による制振装置を各ゴンドラに設置しました。
この制振装置はパッシブ型(注)で、ゴンドラが揺れると重量36kg×2個の付加マスといわれる重りが動き、その動きの力を粘性体シリコンオイルダンパーで吸収して揺れを低減させる仕組みになっていますが、コンパクト化を図るためにバネと付加マス等を一体化させると共に、短いバネでも付加マスの大きな動きが可能となる工夫がなされています。
制振装置の大きさは、高さ15cm、幅27cm長さ107cmで、コンドラの天井裏に2台、吊り軸を挟んで設置されます。
シミュレーション解析による制振効果では、揺れの強さを1/2に低減することが可能で、実大モデル実験の結果でも目標通りの効果を得ることができました。
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(注) | 建物の振動を機械的に制御する方法には、パッシブ(受動的)型とアクティブ(能動的)型に大別されます。パッシブ制振は、制振装置の慣性力によって揺れを低減させ、アクティブ制振は建物の揺れを認知し、コンピュータで振動抑止力を計算して重りを能動的に動かして揺れを低減させます。 |
 ゴンドラ実大モデル実験状況 |
 ゴンドラ天井に設置された制振装置(実大実験時) |
◆乗客の安全性、快適性を向上させるその他の工夫
乗客のより高い安全性や快適性をより図るために、大地震時にも観覧車の駆動タイヤが駆動レールから外れないようにし、乗客の避難が安全に行える工夫や強風時にゴンドラの揺れを防止する工夫も施しています。
またゴンドラは4人乗りで、外径2.25m、幅1.2mとゆったりとした空間を確保すると同時に、常設の観覧車としては初めて冷暖房を完備しています。
冷房は座席の下に1台ずつ計2台の冷房用エアコンを設置し、暖房は座席と床面にヒーターを組み込んでそれぞれ対応しています。
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建築概要
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建築地 |
大阪市北区角田町3-1他 |
| 建築主 |
阪急不動産(株)、(株)阪急ファイブ |
| 設 計 |
(株)竹中工務店 |
| 施 工 |
(株)竹中工務店 他2社JV |
| 延面積 |
52,755m2 |
| 構 造 |
S,RC,SRC/B3,F10,P1. |
| 工 期 |
'96.6~'98.11 |
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観覧車概要
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直 径 |
75m |
| 高 さ |
GL+105.7m(頂部) |
| ゴンドラ |
52台(定員4名) |
| 総重量 |
606.4t(中心軸重量56t) |
| 乗り場 |
7階 |
| 周回所要時間 |
約15分 |
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