1998年6月2日 28階建、最高高さ93.1mは免震構造として国内最高 (株)竹中工務店
竹中工務店(社長:竹中統一、本社:大阪市、資本金:500億円)は、免震マンションとして世界最高の高さを持つ免震超高層マンション「(仮称)杉並和田計画」を当社設計施工で着工します。「(仮称)杉並和田計画」は、鉄筋コンクリート造で地上28階・塔屋2階・最高高さ93.1mの超高層棟(202戸)と3〜5階建ての低層棟3棟のすべてに免震構造を適用した分譲マンションで、総戸数は241戸です。 ◆免震構造と建物の高さについて 阪神大震災以降、免震建物の件数が増えていますが、免震装置は積層ゴムを使ったものがほとんどです。一般的に従来の積層ゴムは圧縮力(建物を支持する力)には十分抵抗しますが、引抜き力(柱を上へ引張ろうとする力)には抵抗できないと見なされています。そのため、柱脚部に引抜き力が作用する「細長く高い建物」には適用できませんでした。 今回の超高層マンションの高さ93.1mは、免震構造のマンションとして世界最高の高さで、また免震建物としても国内最高の高さです。 建物の塔状比(右図参照)も3.5〜4.5と上下に細長い塔状のため引抜き力にも抵抗できる積層ゴムを新しく開発し、これを使用します。 ちなみに世界で最も高い免震建物は、既存の建物に免震装置を後付けしたいわゆるレトロフィット免震構造のオークランド市庁舎(米国、カリフォルニア州)で、最高高さが99mです。ただし、この高さは建物上部の時計台(高さ約34m)を含んでいます。
◆超高層(100m前後)も免震構造が有効 一般的に超高層ビルは、構造的に柔らかくしなやかな強さを持ち、振動の周期が長い(ゆっくり揺れる)ので地震に対してもともと有利です。さらに超高層(100m前後)に対しても免震構造にすると建物の揺れの低減に一層有効です。「(仮称)杉並和田計画」では、引抜き力にも抵抗できる新開発の高強度積層ゴム「HSR」を適用し世界初の「免震超高層マンション」を実現いたします。◆今回採用の「高強度積層ゴム」とその免震効果 今回の免震システムは、当社と(株)ブリヂストンが1996年に共同開発した高強度積層ゴム「HSR(High Strength Rubber Bearing)」を採用しています。高強度積層ゴムはゴムに炭素などを混ぜて圧縮・引張り強度を高めたものです。これにより地震時に建物の柱脚部に作用する「引抜き力」に抵抗することができ、免震構造の超高層(高さ100m前後)が可能になりました。 「(仮称)杉並和田計画」では建物の1階床下と基礎の間に免震層を設け、引抜き力が発生する建物外周部に直径110〜150cmの5種類の高強度積層ゴム「HSR」を16基、建物中央部に通常の天然ゴム系積層ゴムを14基、合計30基の積層ゴムを設置しています。また、揺れを速やかに減衰させるために「U型鉛ダンパー(三菱マテリアル製)」を99基併設しています。 超高層へ免震を採用することによって、建物には補修を要するような被害や家財・設備の転倒・破損はほとんど発生せず、また地震の最中でも揺れによるパニックを防ぐことができ、地震に対してより高いレベルの安全性と安心感の得られる超高層マンションが実現します。 ◆高強度積層ゴムで免震構造の適用範囲が拡大 従来の積層ゴムを用いた当社の免震構造は、これまで高さが60m以下の、重心が低く引抜き力が発生しない中低層の建物に限られていました。塔状比の大きな建物では、地震で建物が左右に揺れた時、最下階の一部の柱脚に柱を上へ引張ろうとする引抜き力が一般的に作用します。この「引抜き力」が作用する場合、これに抵抗できる高強度積層ゴムを使えば、免震構造の適用範囲が大幅に広がり、ペンシルビル、超高層、メガストラクチャー(巨大架構物)など様々な建物の耐震性・居住性を大きく向上させることができます。
◆「(仮称)杉並和田計画」の完成予想図
◆高強度積層ゴム「HSR」 積層ゴムは鉄板とゴムを交互に何層も重ねたもので、大きな荷重支持力とともに、水平方向に柔らかい特性により建物に伝わる地震の横揺れを大幅に低減します。高強度積層ゴムは、ゴムに炭素などを混ぜて硬さや強度を増強したもので、引抜きに対しても十分な抵抗力を発揮します。
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