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1998年6月29日


世界初、アクティブ除振機能を持つ磁気シールドルーム完成
磁気シールドルーム全体を除振台に載せて微振動を排除


(株)竹中工務店

世界最高水準の除振性能を持った磁気シールドルームが、このほど完成した郵政省通信総合研究所脳機能研究棟(神戸市)内に設置されました。今回完成した磁気シールドルームは脳から発生する磁界を利用して脳の機能を調べる施設です。
近年、脳内部に発生する極めて微弱な磁気を測定し、脳機能の解明や病気等の診断・治療に利用しようとする研究が盛んになりつつあります。脳から発生する磁気の測定には超伝導を応用した超高感度の測定器(SQUID磁束計)を用いるため、電車の電流、自動車の走行などによって生じる都市環境磁気ノイズの影響を受けやすく、これらの磁気ノイズを遮蔽するニーズが高まっています。
本施設では脳磁気を測定し、人間の思考や行動と脳の活動部位の関係を探ります。
このため、測定に有害な磁気のレベルを通常の地磁気の1億分の1以下という極めて微小なレベルにまで下げる必要があります。このような微小レベルの測定環境では、都市環境磁気ノイズはもちろん、微振動により発生する微弱な磁界の発生も無視できません。磁気シールドルーム自体は磁気を遮蔽する構造になっていますが、磁性体のシールドルームが振動すると微弱とはいえ測定する上で有害な磁気が発生します。こうした微弱磁気の影響を無くすため、今回の磁気シールドルームは当社開発のアクティブ微振動制御システム「TACMI」を提案し採用されたもので、磁気シールドルームとして世界初の微振動防止対策が施されています。

(注) SQUID:スクィッド、Superconducting QUantum Interference Device、超伝導量子干渉素子

◆「TACMI」による微振動制御

磁気シールドルームの除振のしくみ 当社が開発したアクティブ微振動制御システム「TACMI」を使って磁気シールドルーム全体を支え、通常の微振動(ミクロン以下)を更に30分の1以下に低減します。
TACMI」は、機器などを載せる除振台の微振動を振動センサーがキャッチし、それを打ち消すようにコンピュータ制御のエアアクチュエータ(圧縮空気による駆動装置)が瞬時に作動する微振動制御装置です。
これにより、劣悪な都市振動環境下でも微弱磁界の計測が可能になります。
TACMI」は1988年の開発以来改良を重ねつつ、これまで超精密加工・検査機器などの除振台として140台近い納入実績があります。今回納入したのは「TACMI」として世界最大のもので、平面が4.5m×5.5m(通常は2m角程度)、厚さ50cmのコンクリート製除振台(通常は厚さ3 cm程度の鉄板)をエアアクチュエータで支持する方式で、コンクリート製除振台(約30トン)の上に磁気シールドルーム(約10トン)がそっくり載る形になっています。

◆その他の磁気遮蔽対策

鉄(磁性体)は磁気を帯びやすく、少しでも振動すると磁気ノイズが発生します。
このため、脳の研究室周辺でも鉄を使えません。そこで、鉄筋コンクリート造の建物に用いる鉄筋は磁気を帯びない非磁性鉄筋を、床・壁などの仕上げ材は木やステンレスを、扉や机などの建具・備品類も木製にするなどの工夫をしています。同時に詳細な実験を繰り返し、磁気ノイズの影響範囲が最小になるようにしました。
また、「TACMI」についても除振台をコンクリート製とし、アクチュエータなどノイズの原因となる部分は磁気を遮蔽するパーマロイ(鉄・ニッケル・モリブデンの合金)の板で覆うなど、「TACMI」自体の磁気遮蔽にも細心の対策を施しています。
今後、当社は先端研究施設だけでなく病院までの磁気シールドルームの微振動制御に対しても積極的に提案していきます。


建物概要
建物名称 郵政省 通信総合研究所
関西先端研究センター
「脳機能研究棟」
建築主 郵政省
建築地 兵庫県神戸市西区岩岡町588-2
建物用途 研究所
建築面積 1,462m2
設 計 エヌ・ティ・ティ・ファシリティーズ
(「TACMI」部分は当社設計施工)
磁気シールドルームとその床下に設置された「TACMI」
磁気シールドルームと
その床下に設置された「TACMI」

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