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1998年7月30日


簡易型地盤沈下解析システムの開発
―設計者自身がパソコンと対話しながら解析―


(株)竹中工務店

このほど当社では、設計者自らがパソコンを使って地盤の沈下の状況を迅速に解析できる「簡易型地盤沈下解析システム」を開発しました。

建物の基礎工事は、杭支持基礎と杭のない直接基礎に大別され、杭支持基礎は支持力を、直接基礎は変形について安定性を検討する必要があります。
支持力については、建築基準法によって、計算方式およびその結果の数値指標が標準化されているため、要求性能への対応がし易くなっています。
一方、地盤の変形については、地盤の変形予測の難解さもあり、標準化された計算方式およびその結果の数値指標がないため、それだけに信頼性の高い地盤の沈下予測解析が必要で、地盤を専門とする構造設計担当者が大型コンピュータを使い、解析作業をしているのが実状です。
近年、建設コストの抜本的な見直しの中で、低コストである直接基礎へのニーズが高まり、迅速な対応が要請されるようになってきました。
この度の「地盤沈下解析システム」では、パソコン対応の簡易型であるため、設計担当者が直接地盤沈下解析を行うことが可能で、基礎工事計画の検討が速やかに行えます。
沈下には大きく分けて、荷重がかかった瞬間に沈下する過剰間隙水圧の排除とは関係のない即時沈下と、過剰間隙水圧が排除される過程で生じる圧密沈下があり、開発したシステムは、その沈下特性に応じた5つのプログラムからなっています。設計担当者は目的に応じて必要なプログラムを選択することになります。


1.リバウンド( Rebound)

施工中の建物の浮き上がり( リバウンド )・沈下量( セット量 )を、地下水位の変化を考慮して計算する。地下のある建物では工事中に地下水位を低下させる事が多く、既存の建物の床と増築した建物の床のレベルを合わせる場合や、高層棟と低層棟の間を打ち継ぐ時期を決める場合に有効である。

2.アツミツ(Atumitu)

沈下は粘性土層(海底のヘドロ層、沖積粘土層や洪積粘土層)の中に含まれた水が、 埋土や構造物などの荷重によって絞り出されることから起こる圧密(圧縮)が主原因であるが、本プログラムは建築学会の建築基礎構造設計指針に従い圧密沈下量を計算する方法である。過圧密沈下量を考慮する計算方法は数種類提案されており、設計者はこれらの計算方法を選択できるようになっている。

3.コスミック(Cosmic)

埋め立てや建物の載荷時期を考慮し、荷重の載荷時期を違えて、圧密沈下量を計算する。例えば関西新国際空港のような埋め立て期間が長い大規模な開発では、圧密沈下計算で埋め立て時期の違いを無視できない。この様な場合に本プログラムは効果を発揮する。

4.グリコン(Gricon)

地盤上の建物の応力解析と地盤の圧密沈下解析を一体化して、建物の剛性を考慮した圧密沈下量を計算する。本プログラムは建築学会の建築基礎構造設計指針の考えに従っていて、建物の剛性を考慮した不同沈下量を計算するのに有効である。

5.ダクサーエム(Dacsarm)

圧密沈下量の計算方法では、現在最も精密な方法といわれているDACSAR(関口・太田モデルを取り入れた弾粘塑性FEMプログラム)の簡易型である。東京工業大学・太田秀樹教授のご指導を得て開発したもので、建物の傾斜沈下を計算するのに有効である。

表1


当社では、杭のない直接基礎の取り組みでは、特に大幅な沈下が予想される埋め立て地での建築物を対象に、不同沈下修正構法を開発しています。この構法は沈下予測技術、不同沈下低減技術、不同沈下自動計測技術、不同沈下修正技術から成り立っています。不同沈下が起きた場合、ジャッキアップして建物を水平に修正する構法で、86年に神戸の六甲アイランドで竣工した甲南大学体育館で初採用以来約10件の実績を持っており、軟弱地盤でも対応が可能になっています。
沈下予測技術は、この構法を構成する重要な技術になっており、今後、不同沈下修正構法の普及も含めて簡易型地盤沈下解析システムの活用を図って行く方針です。

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