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1998年9月04日


汚れを防ぎ、清掃コストを大幅に低減する
「汚れに強い建物」の開発に本格着手


(株)竹中工務店

竹中工務店(本社・大阪市、社長・竹中統一、資本金・ 500億円)は、21世紀の建築ストック社会に対応するとともに美しい景観確保の面から、建物の外壁に"総合的な汚れ防止対策"を施すことで汚れにくく、清掃費や補修費を大幅に低減する「汚れに強い建物」の開発に本格的に着手しました。
これは、設計、施工、維持管理の全ての段階における対策を包含した「総合的な汚れ防止システム」の構築を目指すもので、業界では初めてのことです。
これまで当社では、一つ一つの建物を「作品」と位置づけ、最良の品質のものを社会に提供するべく努力してきましたが、来る21世紀のストック社会に対応する「汚れに強い建物」の実現を目指して取り組んでいます。

◆「汚れに強い建物」開発着手の背景とその意義

昨今、経済低迷や地球環境問題などによりビルオーナーの関心は、建物のロングライフ化(長寿命化)あるいはライフサイクルコスト(生涯コスト)低減に向いています。そのため、ランニングコスト低減の一環として建築主は建物の汚れについても、清掃費や改修費の低減を強く望むようになってきています。
一方、建物の外観が汚れ、テナントに不評のため外壁の改修を実施するという事例も少なくありません。建物の汚れは美観を損なうだけでなく、建築部材を劣化させたり、時には損傷させる恐れもあります。

建物を長持ちさせるには「耐久性」と共に「汚れ」が問題となります。これまでも、「耐久性」については耐久性に優れた建材・部品の開発、あるいはそれらの補修・交換をしやすくする工夫など建物の長寿命化を図る技術開発が進められています。
しかし、「汚れ」に対しては、窓ガラス・外壁の清掃や塗り替えなどの事後処置で外壁の主要な部分に限られる場合がほとんどです。また、清掃回数は建築種別や環境によっても異なりますが、窓ガラスについては1~2か月に1回、外壁についても年に1回程度です。この維持保全にかかるコストを考えると、「汚れに強い建物」の開発の意義は大きいと考えられます。
当社では、「汚れに強い建物」を長寿命でLCC(ライフサイクルコスト)があまりかからない建物にしたいというニーズに応える有力なシステム技術の一つと位置づけて、'96年暮から研究を進め、開発全体の方針、構想をまとめるとともに要素技術の開発に着手しました。

◆「汚れに強い建物」開発の課題

(1)汚れを定量的に把握する手法の確立が重要

一口に「汚れ」といっても、気にする度合いは人によって違います。多くの人が「きれいだ」、あるいは「汚れていない」と実感する建物を実現するには、まず「物理的・心理的」の両面から「汚れ度合い・汚れ感」を定量的に把握する手法を確立する必要があります。
建物の汚れには、ほこり・油などの付着、金属の錆汁(錆が雨などでしみだしたもの)、エフロレッセンス(白華現象ともいい、石、コンクリート、モルタルなどの表面に白い結晶物がしみだす現象)、しみ等の内部から発生するもの、ならびにかび、材料の変質のように外壁表面で変化するもの等さまざまな種類があります。こうした汚れは、気候や環境条件で汚れが促進・増長し、美観を損ねたり、時には部材の劣化・損傷に至る場合もあります。
一方、銅板の緑青、木造建築など歴史を経たものには逆に風格や趣きを感じさせる場合もあり、「汚れ」と「古びること」は分けて考える必要があります。

(2)汚れ防止の効果を最大にするには「手法・技術の統合化」が重要

建物の美観を永く保ち、その維持管理の煩わしさと費用を大幅に軽減するためには、設計から施工、維持管理まで通した「汚れ防止の統合システム」を構築し、これに基づいて総合的な対策を建物に盛り込むことが極めて重要です。
従来、建物の「汚れ対策」はどちらかといえば部材や部位ごとの個々の技術・工夫を集積した状態で「統合化されたシステム」になっておらず、汚れを防ぐ上で十分な効果を発揮しにくい状況でした。
代表的な汚れは「壁」と「ガラス」の汚れですが、外壁にはシール材、庇、看板など様々な附属物、凹凸などもあり、汚れ防止を難しくしています。また、汚染を低減する個々の材料や部材も出てきていますが、外壁の清掃は建材の種類別に専門業者が分かれるため、外装全体の汚れをバランス良く防止するのは容易でありません。

◆当社の取り組み

当社では、多くの被験者を通じた実験データを蓄積し、「汚れ感を予測する手法」の開発を進めています。つまり、今まで個別かつ感覚的でしかなかった汚れに対する印象を定量的に把握し、その結果を建物設計に反映させられるよう取り組んでいます。
また、当社保有の技術、あるいは市場にある技術・製品を有効に組み合わせ、それらを総合化して汚れ防止効果を一段と高めるため、当社は設計段階から施工、そして建物の維持管理までを一貫・統合する「汚れにくい建物設計・施工の手引き」を今年の7月に作成し、新築およびリニューアルの両方に対応できる体制を整えました。
さらに、塗料等の外壁材料ならびに開口部まわりの収まり等のディテールを考慮した汚れに強い建物デザインの追求を続けるとともに、今後も新技術の開発を重ね、より長寿命・低LCCの建物の実現を目指して取り組んでまいります。



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