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1998年9月28日

演技者を自動追尾し臨場感溢れる音響空間を実現
「音方向自動制御拡声システム」の開発

(株)竹中工務店

当社は、この度、ステージ上を移動する複数の音源(演技者等の話者)を識別・自動追尾して、拡声音をその動きに一致させて聞かせることのできる「音方向自動制御拡声システム」を開発しました。
これは、ステージ上の演技者の台詞や歌などが客席のどの位置にいても演技者の方向から聞こえ、自然で臨場感あふれる音響空間を実現できるシステムとして96年に開発した当社の音方向制御拡声システム「OZ-T100」の新バージョンで、従来オペレーターが手動操作していた移動音源の識別、位置確認・追尾を最新の位置センサー技術を応用したシステムによって、自動化したものです。

◆「OZ-T100」とは

人間の聴覚は、耳に到達する最初の音で、音の方向と大きさをイメージし、「音像」とし て捉えます。
従来の拡声システムでは、音が最初に到来する自分に一番 近いスピーカーの方向に「音像」ができるため、ステージ上の話者の「実像」と拡声スピーカの音で形成される「音像」は、必ずしも一致していませんでした。
「OZ-T100」は、ステージの上手、中央、下手にあるスピーカのうち話者に一番近いスピーカーからの拡声音を最初に観客に到達させることで、話者の「実像」に「音像」を定位させ(音の方向制御)、あたかもその人の口から声や歌が発せられているように観客全体わたって拡声する音方向制御拡声システムです。
システムは、本体の先行音効果回路(高精度・実時間デジタル信号処理回路)、ビジュアル・コントローラー(パソコン画面を見ながら移動する話者の動きに合わせて音像の方向を舞台の上手、中央、下手および中央と上・下手間の5方向にトレースするもの)、ビデオカメラ、そしてパソコンから成っています。
オペレーターがビジュアル・コントローラーを用いて、パソコン画面上の話者の映像に合わせて音像の位置を指定すると、話者が携帯するマイクで集音された音が先行音効果回路で処理され、その話者に最も近いスピーカーからの音が客席全体にわたって拡声されます。これにより、視覚と音の方向感の一致が得られ、自然で、かつ臨場感あふれる音声が実現します。
既に「OZ-T100」は、ノートルダム女子大学「ユニソン会館」(京都)、文京学園「仁愛記念講堂」(東京)、聖心女子大学「聖堂」(東京)、妙智会館「講堂」(東京)などで採用されています。

◆「音方向自動制御拡声システム」概要

「OZ-T100」は、1セットで移動音源(話者)3人の音像を制御できます。移動音源数が多くなると、先行音効果回路をn台接続することで3×n人に対応できますが、その場合さらにオペレーターが必要になり、人件費の増大が問題となります。これらの問題を解決し、制御を自動化したのが今回の「音方向自動制御拡声システム」です。
ステージ上の移動音源の識別、位置確認・追尾と言ったオペレーターの作業を自動化するに当たって、最も課題となったのが移動音源の位置の検出方法でした。当社では最新の非接触IDカード技術その他を応用して「音方向自動制御拡声システム」を開発、複雑な動きをする多く話者をオペレーターなしで自動追尾することを可能としました。

今回開発したシステムは「舞台床下アンテナ配置方式(非接触タグ方式)」と「赤外線送信方式(赤外線マイク方式)」の2つです。

1. 舞台床下アンテナ配置方式

この方式は、本格的な専用劇場(ステージ上に大道具など があり、常に多くの話者達を正確に自動追尾する)用として開発しました。なお、話者の位置確認には英国アイデンテック社製の「クリップタグ受信機」と「非接触タグ」を用います。
ステージの床下に2m×2mサイズのアンテナをステージ分割のゾーン(上手、中央、下手など)数に対応して配置して、移動音源(話者)が携帯する「非接触タグ」からの信号コードを「タグ受信機」で読み取り、その位置情報を移動信号として「先行音効果回路」に転送します。この処理はコンピュータが行います。
広いステージやアリーナなどの巨大空間に対しても、このアンテナ(ゾーン)数を増やしていくことで対応でき、数十人もの移動音源にも対応可能です。


2. 赤外線送信方式

この方式は、学校の講堂や小ホールといった小数の移動音源(話者)用に開発した簡便で低コストな自動追尾システムです。
話者が携帯する「赤外線マイクロホン」から出る音声信号用赤外線をステージ分割のゾーンに対応して配置 した赤外線集光器で受信し、移動音源の位置を 「先行音効果回路」に転送ます。
ただ赤外線は直進性が強く大道具などの障害物に遮蔽されるため、舞台設定はシンプルなものに限られます。また、音声信号を変調する赤外線周波数が4種類と制約されていることから、追尾可能な話者は4人となっています。


すでに「OZ-T100」を採用しているホール、講堂などでは、ステージ床にアンテナを配置、もしくは赤外線集光器を配置するなど、新システム構成を採り入れることで、簡単に「音方向自動制御拡声システム」とすることができます。ステージ上の話者の動きに合わせて音が聞こえるこのシステムの採用により、観客は自然な音空間の舞台を満喫することができます。
今後、学校の講堂・劇場・多目的ホールなどのリニューアルや新築に合わせて、臨場感あふれる音環境を低コストで簡易に実現できる「OZ-T100」の採用を積極的に進めていきたいと思います。



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