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1999年11月29日

中間階の柱を柔と剛の組み合わせで耐震補強
「居ながらできる中間階免制震改修工法」を姫路信用金庫本店に適用

(株)竹中工務店

当社では既存建物の中間階の柱を、積層ゴム(免震装置)を組み込んだ柔らかい柱と鋼板を巻いて粘り強さを付加した固い(剛性を持った)柱の2種類に分けて改修し、その組み合わせで建物全体の耐震性能を向上させる「居ながらできる中間階免制震改修工法」を開発し、姫路信用金庫本店(姫路市)の耐震補強工事に適用しました。
同じ階の柱を、柔らかい柱と固い柱の2種類を組み合わせて耐震補強する方法は国内では初めてであり、また既存建物の中間階の柱を切断して積層ゴムを取り付けるのは関西では初めてのケースです。

「耐震改修促進法」(1995年)の施行や低成長下で既存建物を改修して長期間利用しようとのニーズから建設業界では耐震改修工事が増加しています。
特に最近では、コンピュータオフィス、銀行、病院、集合住宅などで、通常業務や居住環境に影響を及ぼすことなく、建物を普段と同じように使いながら耐震補強を行う"居ながらできる改修工事"が増加する傾向にあります。

1972年(昭47年)に建てられた姫路信用金庫本店(地下1階、地上8階、鉄骨鉄筋コンクリート造)の耐震補強に対する建築主の要望は、以下の通りでした。

  • 営業階の2階以上は耐震補強を行わず、工事中も平常通り営業ができること。
  • 震度6~7クラスの大地震でも建物が崩壊しないこと。
  • できるだけ工事費を抑えること。
こうした要望に対し、当初は地盤から建物に伝わる地震力を小さくする「免震工法」の採用を検討しました。免震工法には積層ゴムを組み込む場所によって、「杭頭免震」「基礎免震」「中間階免震」があります。今回の場合、前2者は地下外壁と敷地境界との間隔が狭く、免震装置の設置が困難なため中間階免震を採用することにし、主に駐車場になっている1階を免震化して地震時の変形を集中させるように計画しました。
しかし、従来型の中間階免震改修工法は次のような技術的課題がありました。
特定の中間階(今回の場合は1階)のすべての柱や壁を水平方向に切断し、切断した柱に積層ゴムを設置すると、その階が非常に柔らかくなり最大級地震時に建物は40~50cmという大きな揺れ幅で水平に揺れます。このため、仕上げ材、配管類、既存エレベータが変形に追随できずに破損したり、建物が敷地外にはみ出す恐れが出てきます。

姫路信用金庫本店では、積層ゴムを組み込んで柔軟に動くようにした柱と鋼板を巻いて粘り強さを付加した固い(剛性を持った)柱を効果的に配置して水平変形を抑えつつ、建物全体の耐震性能を向上させることにしました。
具体的には、まず1階の柱44本のうち28本を柱の途中で厚さ50cmほど切り取り、その間に積層ゴムを組み込みます。残りの16本の柱は厚さ9~22mm(9 mm 13本、22 mm 3本 )の鋼板を巻いて本来の剛性に粘り強さを付加しました。また、エネルギー吸収性能の高い粘性体を組込んだ制震壁6基を配置してダンパーの役目を持たせ、建物の揺れ幅を小さくしました。



これらの措置により改修後の大地震時の耐震性能は、阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)の地震動を想定した場合、以下のようになります。
  • 2階以上に発生する加速度は、改修前の40%程度まで低減される。
  • 2階以上の柱の被害はひび割れ程度で、コンクリートのはく落や鉄筋の露出には至らない。
  • 1階の最大水平変形はエレベータが追随可能な13cm程度におさまり、鋼板巻き柱と積層ゴム設置柱で建物を安全に支持できる。
当社はこれまでも、普段と同じように建物を使いながら耐震補強工事のできる「居ながらできる耐震補強工法」の実績を重ねてきていますが、今回の「居ながらできる中間階免制震改修工法」も新たにメニューに加え、全国的に展開していく方針です。

居ながらできる改修工事のイメージ図(1階で改修工事、2階以上は通常営業)
居ながら改修工事のイメージ図

◆「姫路信用金庫本店」の建物概要

建築地 兵庫県姫路市十二所前町105
建築主 姫路信用金庫
構 造 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)、一部鉄骨造
規 模 地下1階・地上8階・塔屋3階
用 途 事務所(銀行)
延床面積 12,601.20m2
建築面積 1,806.03m2
竣 工 1972年(昭47)11月
設 計 (株)山下設計
施 工 (株)竹中工務店


◆「姫路信用金庫本店」耐震補強・リニューアル工事

改修設計 (株)竹中工務店
施 工 (株)竹中工務店
工 期 1999年5月~2000年4月



姫路信用金庫本店外観図(1階で改修工事中)
姫路信用金庫本店外観図


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