プロジェクト・ストーリー

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PROJECT4 飯野ビルディング IINO BUILDING

枠を超えていく

人々に快適性や利便性をもたらし、街の賑わいの中核となる建築は社会の財産だ。近年「環境性能」は、この建築へ求められる最も重要なテーマの一つとなった。社会をリードし、次の時代の規範となり得る建築をつくる―。1つの建物を通した、社会全体への提言が行われた。

  • 「今はまだ存在しないもの」を模索し、かたちにしていく

    東京都千代田区で2011年に開業した飯野ビル。高さ147m、延床面積104,000㎡におよぶこの巨大ビルには、最先端の環境配慮型設備が惜しみなく投入されている。
    計画段階でテーマとなったのが、「今あるベストではなく、次の時代をリードできる性能を」という考え方。これはつまり、計画段階ではこの世に存在しないものを見つけ出し、ビルに取り入れることで次世代の建物のあり方を提言していくことを意味する。そこで、設備設計を担当し、新機能の開拓を行った左勝旭は、さまざまなメーカーと検討に取り組んだ。その代表例が、空調機により冷却と除湿を分離して行い、高めの室温設定でも快適に過ごすことができるという「デシカント空調機」だ。

    開発のカギを握っていたのは、化学繊維メーカーと空調機メーカー。まったく未知の領域である。しかも要求した性能は、メーカーの想定していなかった活用方法だった。飯野ビルの存在意義とその中でのデシカント空調の大切さを粘り強く説いた。その熱意は開発陣の意欲をかき立てた。結果、高めの室温設定でも快適に過ごせ、空調エネルギーを10%削減できるクールビズに最適なシステムが誕生した。

  • 「今はまだ存在しないもの」を模索し、かたちにしていく
  • 機能とデザインの高次元での融合を実現した満開のLED照明

    飯野ビルに用いられた環境性能はデシカント空調だけにとどまらない。外光を取り込みながらも熱だけを遮断する「ダブルスキン」。高層ビルながら外の風を取り入れることができる「自然通風」。これらの効果により、ビル全体での空調エネルギー消費量を46%も節減することが可能になった。

    の中でもこだわったのが、LED照明だ。省エネの担い手として、LED照明はすでに広く知られていた。しかし電球の開発はまず多く先行してきたが、オフィスビルにフィットする、性能の確立した「照明器具」としての製品は、まだまだの感があった。これでは、「次世代をリードする」ことにはならない。また、建物の顔にもなり得る照明としては、デザイン性に欠ける。そこで、オリジナルの照明器具やそれを用いた照明計画を提案する。

    当初はコスト面の問題で計画が見送られたもののその後も提案を重ね、また、助成金の活用など課題の解決策を提示することで、プランは実現されることになった。用いられた照明器具は、その数なんと14,500台。点灯の瞬間、「桜のようにきれいですね」と言った建築主のつぶやきが、今も鮮明に左の耳に残っている。

  • 機能とデザインの高次元での融合を実現した満開のLED照明
  • 苦しくてもためらわずに挑む。竹中が受け継ぐ先取りの精神

    建築物は何十年、ときには何百年と世の中に存在し続ける。だからといって、時代の変化と無縁ではいられない。社会のあらゆる分野がそうであるように、変化のスピードは増し、新技術が次々に生まれている。建築の世界も同様に、この変化に対応できたものだけが、「作品」として次の時代へ受け継がれていく。左は言う。

    「変化の先を見つめ、まだ存在していないものを生み出していくことは苦しみの連続です。しかし、その苦しみをいとわず、挑戦し続けるのが竹中工務店だと思います。飯野ビルではそのことを実体験することができました」

    竹中工務店は「研鑽進歩を計り斯道に貢献すべし」という社是を掲げている。技術を磨くこと、次の時代へと歩み出していくことこそ、竹中工務店のあるべき姿なのだ。その積み重ねとして生まれるのが、「最良の作品」に他ならない。飯野ビルが実現した環境性能は、竹中工務店の想いを雄弁に物語っている。

  • 苦しくてもためらわずに挑む。竹中が受け継ぐ先取りの精神

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