プロジェクト・ストーリーPROJECT

AXIA サウス チカラン Tower 1

国境を超えていく“グローバル・タケナカ”の未来像を描き出す
- AXIA サウス チカラン Tower 1。インドネシアと日本が融合した日-

経済発展が続くインドネシア。日本から訪れるビジネスパーソンも増加の一途をたどっている。そこで、来訪者の安らぎの場となるべくして計画されたのがAXIA サウス チカランTower 1。施主は日系企業。主な滞在者は日本人を想定し、「インドネシアにいながら、日本を感じてほっとできる場所」として建築が進められた。そこには、インドネシアと日本の融合に挑んだ技術者、さらには、グローバル展開を加速させる竹中工務店の未来に道を示そうとした技術者の挑戦があった。

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コンセプトは「インドネシ和」。現地の材料と技術で日本を表現する

もっと予算と時間があればいい仕事ができるのに——。建設に限らず、多くの業種・職種で聞かれる言葉だ。しかし現実には、限りある費用と時間のなかで、より高い品質を実現することが求められる。技術者に突き付けられた課題も、まさにそれだった。

「期待されるのは“日本品質”。だからといって家具や職人を日本から送りこんでいる余裕はない。おのずと結論は、インドネシア国内でモノも人も確保するというものになりました。」

「有力な現地メーカーがある」と聞けば積極的にインドネシアを訪問。直接顔を合わせ、求める品質を説いて歩いた。そして、試作品を手にとっては改善点を議論し、あるいは、据え付け工事の指揮を執った。それは、デザインコンセプトである「インドネシ和」、すなわちインドネシアと日本の人とモノ、さらに知恵が融合し、新たな価値を生み出すプロセスだった。

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5ミリ単位で図面の変更を指示。同時に、施工現場にとことん足を運ぶ

建築技術の中村浩和は、自らの役割を「日本人とローカルスタッフの潤滑油」と表現する。しかしこの潤滑油は、決して甘くはない。

「円滑に工事を進めるためには、正確でわかりやすい図面が、工事に合わせてタイムリーに用意されることが大切です。この点は厳しく指導しました。」

ときとして中村は、5ミリ単位の精度で図面の修正を指示することもあった。逆に、一見すると正確に思えるが、現実にはあり得ないゼロタッチの図面、すなわち “遊び”をまったく持たない図面にも修正を求め続けた。

「オフィスで図面を眺め、指示を出しているだけでは相手は納得してくれません。施工現場に足を運び、現物を見ながらより良い方法を議論する。もちろん、相手の意見にはしっかりと耳を傾ける。やっていることは日本国内と変わりません。その積み重ねが、作品と呼ぶにふさわしい品質につながるのです。」

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大切なのは日本人としてのこだわりでなく、“建築のプロ”としてのこだわり

彼らのチャレンジを、作業所長の北山広典は目を細める思いで眺めていたかもしれない。なぜなら、北山がプロジェクトにあたって掲げていた目標のひとつが、ローカルスタッフの育成だからだ。竹中工務店が日本で確立してきたノウハウを現地スタッフに伝え、日本人スタッフに頼ることなく高品質な仕事をできるようになることは、今後のグローバル展開において不可欠な要素になる。北山はそう考えていた。だから若い2人の挑戦を積極的にバックアップした。

しかし同時に北山は、現地の文化や風習を尊重し、“異邦人”である自分たちが現地へと溶け込んでいく努力を忘れなかった。

「どんなに忙しくても、昼休みと夕食の時間はしっかりと設けました。現地スタッフの9割をしめるイスラム教徒の文化に配慮したからです。そもそも、インドネシアで仕事をするにあたっては、私はコーランをすべて読みました。」

北山の行動が意味するもの、それは、品質にこだわり抜くのは“日本人だから”ではなく、“建築のプロだから”ということだ。そこには国籍や文化の壁はない。ただ、「より良い作品を生み出したい」という、建築に携わる者なら誰もが共有できる想いがあるだけだ。担当者は振り返って言う。

「日本国内で日本人と仕事をしていても、『うまく伝わらなかったな』という経験はします。今回はそれとはまったく逆で、苦労こそしましたが、想いはしっかりと共有できました。そのことが、プロジェクト成功の最大の要因です。」
“インドネシ和”の名のもと、赤道直下の島国で行われた、現地とのより一層の融和に向けた取り組み。ここで得られた経験は、今後、世界へと伝えられていくだろう。そして、竹中工務店を単なる外資系ゼネコンではない特別な存在へと高めるはずだ。そのけん引役を、このプロジェクトメンバーが果たす日は遠くないかもしれない。

PROJECT MEMBER

これまでとは違った世界を見せてくれるのが海外での仕事

海外でのプロジェクトは少人数で動かしていきます。それは、1人ひとりの役割と責任の幅が広いという意味。担当者レベルから作業所所長レベルにステップアップするような感覚です。大変ではありましたが、これまでとはまったく違った世界が見えてきたように思います。そういった大きな仕事を早い段階から任せてくれるのは、竹中工務店の大きな魅力です。

建築技術 中村 浩和

問題点を率直に議論でき、サポートし合える環境が支えに

プロジェクトの期間中、たくさんの人がメールや電話でアドバイスを送ってくれました。参考になる資料を用意してくれたり、業者を紹介してくれた人もいます。そのなかには、直接顔を会わせたことのない人もいます。にもかかわらず、気軽に助け合うことができる。問題点の改善に向けた議論が全社的に行われ、情報共有が図られている竹中工務店の強みを改めて感じました。

作業所長 北山 広典