04InterviewCIC Tokyo ベンチャーカフェ写真:小堀哲夫建築設計事務所小堀 そうです。イタリアでは設計者が非常食堂もありましたよね。おそらくそれぞれの場所をファミレスみたいに使っていると思うのですが、あのような場所がオフィスの中にあるというのが今は主流になってきて、オフィスがコミュニケーション型にシフトしてきているので、ワークデスク以外にどういうふうに働けるのか、コミュニケーションの場をどう考えるかということにチャレンジしたいと思っています。オフィスに重要なのは3つの点です。ひとつめは、動き。動き回れる動線です。回遊式庭園のようにぐるぐる回れるオフィスですね。ふたつめに、食。最後は、アーキペラゴっていう群島形式です。例えば瀬戸内海みたいに島がいっぱいあって、その島ごとにコミュニティとキッチンがあって、そこを船のようなもので移動していく、そういうオフィスを提案しようとしています。これらは結局コミュニケーションなのですが、たとえば交通ネットワークとか、海運ネットワークとか、回遊式庭園とか、そういうところから発想を得ることに可能性があると考えています。ゆらぎのある空間が、建築のファサードや建築の空間ではできるようになってきたので、次はオフィスのあり方が重要になってくると思っています。どのオフィスも四角なので、唯一の手掛かりはオフィスの中身の状態がどうあるべきなのかということなのだと思います。 建築の器としてゆらぎをつくりこむのではなくて、四角いオフィスの中にどのように方ゆらぎをつくるのかということでしょうか。にリスペクトされていて、オフィスレイアウトとか家具などあらゆるものをディレクションし、その人の個性でこじ開けるというところに価値が求められています。照明のデザインなど、あらゆることをやってることにビックリしました。日本は分業になっていて、ここは設計者に合わせるべきとか、そういう考え方がありますが、やはり建築を設計するコンダクターは、できるかできないは別として、そこまできっちり考えることが重要で、やらないと本当の設計者とは言えない。やはり絶対に核までデザインしないとだめなものがあって、そこから落とし込むことが必要なので、設計者にはパワーが求められるんだと思います。特にオフィスはデスクとかレイアウトが働き方に強く影響しているので、結局どこまで切り込めるかということが非常に重要で、凄くエネルギーのいる部分ですが、設計者がどこまで粘って関与するのかを考えなければいけないとイタリアで改めて思いました。アルド・ロッシとかマンジャロッティとか、特にイタリアでは技術と構造とエンジニアリングとシステムなどを設計者が全て管理していて、日本の3倍ぐらいの時間をかけてやっています。さらに言うと、投資コストが全然違います。むこうは一回つくるということは100年持たせると考えているので、そういう土壌の違いは当然あるのですが、それでもやれることはもっとあると今回思いました。本当に豊かな生活を我々はつくれるっていう、理想を見て提案するっていうのが凄く重要で、イタリアの建築家はそれをあらゆる角度から見ていく、総合的に判断できる人とみなされています。日本では、設計者がどこまで関与していくのか、ちょっと遠慮がちなところがありますよね。ここまで踏み込んでいいのだろうかとか、これは企業の問題でしょうとか。ただ、今回、イタリア、ドイツに行って、さまざまな設計者を見て思ったのが、自信を持って踏み込んでいるということが凄いことだし、さらにそういうことを求められているんじゃないかなって思いました。設計者だからこそ言えることっていっぱいあって、相手ありきの解答の方法を多角的に提案できていることが建築の可能性を広げているような気がします。また、むこうではそれをちゃんとビジネスにしているんです。それをアトリエ設計事務所が全てできるかというと難しいかもしれないですが、ゼネコン設計施工でやったとしたら、いろんな切り込み方があるから、それは実現できると思います。設計者は、自信を持って踏み込み建築の可能性を広げていくべきです。プロジェクトプレイスワーキング PPW 先生は大学でも教えておられますが、オフィスと教育の場との関係についてはどのように考えておられますか?小堀 建築学科は講義形式よりも、スタジオ形式が多いような気がします。スタジオ形式ってプロジェクトベースで行うのですが、それが場所としてついてきてない気がします。アクティブベースドワーキング(ABW)、アクティブベースドラーニング(ABL)ってありますよね。学校のなかでプロジェクトベースラーニング(PBL)っていうものをやりました。プレゼンテーションが基本の、まあスタジオ形式ですよね、課題を与えてそれに対して
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