Interview05米田 明 (よねだ あきら)/関西学院大学建築学部 教授1959年1984年兵庫県生まれ東京大学大学院工学系研究科修士課程修了1984-89年竹中工務店設計部1991年ハーバード大学デザイン大学院修士課程修了1991年建築設計事務所アーキテクトン設立2004-13年京都工芸繊維大学工芸科学部 准教授2014-20年京都工芸繊維大学工芸科学部 教授2021年-関西学院大学建築学部 教授主な作品「ambi-flux」「BLOC」「HP」「Δ」「White Base」「K Clinic」「HOJO」ほか多数 の高い駅前の土地を普通に開発すればこういう緑地にはならないですが、ここに緑地をつくってアメニティ性を高めたほうがいいと、見識のある人がイニシアティブを持って決断したからできているのだと思います。短期的に見ればもっと収益を上げられたのかもしれませんが、中長期的な視野で見ることが大切ですね。 最後に竹中工務店へのメッセージをお願いします。米田 私自身は、大学院を卒業したあと竹中工務店設計部でキャリアを開始したので、自分の建築家としての原点と言えます。更に言えば、設計施工という建設業の成り立ちをみれば、近代日本の建築は竹中工務店とともにあったと思います。これまでも建築とまちづくりを通して社会的文化的基盤をつくってきた会社ですから、これからも日本を支えていってほしいと思います。 本日はどうもありがとうございました。(聞き手:米正太郎・関谷和則・鈴晃樹・浮田長志・奥村崇芳) シュルツは「建築的空間は、環境に関するシェマあるいはイメージの、人間の普遍的定位に必要な部分をなす」と述べています。インテリア化された公園をシェマ(ものさし)として、はじめて外側の都市や自然を把握できる、ということでしょうか。米田 場所と空間の関係は、特異点として、あるいは個体性でもいいのですが、質的な特徴を持った個別具体的な領域と対極的に自由に動ける、あるいは多様な行動を許容する普遍性を持つ広がりの関係と言えるかと思います。さかのぼると前者は、言うまでもなくアリストテレスのトポスであり、後者は原子論者が想定したアトムの自由な運動を可能とする、空虚(ケノン)です。そして建築と都市の関係は、そうした場所と空間の関係を出発点に考えることができると思います。そこでアリストテレスではものの隣接関係のみの定義だったトポスを、シュルツが空間の包含関係に置き換えたことは、都市の一部が建築であり、建築は都市と空間的に連続すると言う観点をもたらしたと言えます。今日の話に出た、「連続性」とか「内包」と言ったタームは、こうした考えに基づいています。その際、建築的空間は「人間の普遍的定位にとって、環境に関するシェマあるいはイメージの必要な部分」=「場所」となるわけです。もちろんこれは極端に概念化した話ですが、建築空間とは、単純に囲われているという抽象的な意味での空間のことではなく、物理的な要素に囲われた中にある質的なものが発生し、そこで人がポジティブな意味を見出して認識できるものです。ですから建築空間をつくるうえでは、一義的にこうすればこうなるといったことではなく、多様な解釈やシチュエーションがある中で多様な方法があり、素材を含めてどのように構築してゆけばいかに愛着や記憶といった人間的感覚を喚起し、そこに働きかけることができるかということを考えることが、何より大切です。つくり手とユーザーをつなぐ まちづくりのソフト面での取り組みとして計画段階で市民やユーザーが参画するワークショップを行い、愛着や記憶といった感覚を共有する試みも増えているようです。米田 建築やまちは出来上がって終わりというものではなく、持続的な環境として存在し続けます。その意味では計画段階で構想された目標や理念といったものだけではなく、使い手のプリミティブな愛着というものは持続性を支える原動力になります。村興しなどでも同じですが、自分でつくったものは自分で大切にします。技術的には素人である人たちでも「自分たちがつくった」と思えるような参画の仕方が必要です。設計者は、人々が自覚していないけれど潜在的に感じていたことを探り当て形をつくるということを含めてロジックが実感として受け入れられるようなことを先回りして考え、それが琴線に触れるとようやくいろいろな物事が進んでゆくし、そのあともずっと大事にされる。もちろん少人数で決めるよりも多様性を考慮せざるを得なくなるので時間はこれまで以上に掛かるでしょうが、徐々に日本人の時間感覚も今までとは変わってくるのではないでしょうか。今日見た事例から言っても、大阪の人たちはまちや建物をつくることに愛着を持っているように感じられて、東京とは少し様子が違います。民間事業者と竹中工務店とが手を取り合って、行政と調整をしてようやく実現したというような事例もありました。グラングリーンに関しても、収益性
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