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2002年1月21日

鉄筋コンクリート造で国内最高の56階建て集合住宅を施工

~100ニュ-トン/mm2の高耐火・超高強度コンクリート技術を開発し適用~

株式会社 竹中工務店

竹中工務店(本社:大阪市、社長:竹中統一)では、都市基盤整備公団により計画・基本設計された、鉄筋コンクリート造の建物としては日本で最も高い56階建ての集合住宅「汐留H街区超高層棟」に、優れた耐火性能を持つ超高強度コンクリート(圧縮強度100N/mm2、AFRコンクリート)技術を採用し、現在建築中です。

鉄筋コンクリート造(以下RC造)は鉄骨造に比べて剛性が高いため、揺れが少なく、居住性に優れ、かつ建設コストが低い等のメリットがあり超高層集合住宅に適した構造です。RC造の建物では高層化につれて重い荷重に耐えられるコンクリート強度を確保することが求められ、当社ではこれまで具体的プロジェクトに先駆けて100N/mm2(*)レベルの超高強度コンクリートの他、火災時の剥離や飛散の防止性能を付与した高耐火コンクリート(AFRコンクリート)を開発、実用化しました。
「汐留H街区超高層棟」では、圧縮強度100N/mm2のコンクリートに加え、さらに新開発したAFRコンクリートの採用によって、柱の径を細くでき、有効面積の増加や、耐火被覆コストの削減などのメリットがある、塔状比(建物の見付幅に対する高さの比)が5~6程度と縦長のスリムなRC造の高層建築物を実現しました。


(*)100N/mm2
1cm2当たり1000㎏の荷重に耐えられる圧縮強度




■ 56階建ての超高層RC造を支える超高強度コンクリートの技術

コンクリート強度を高めるためには水セメント比を低減することが必要ですが、流動性が低下し施工が困難になります。このため超高強度コンクリートの実用化には強度の向上と同時に流動性向上の技術開発が必要となります。さらに圧縮強度80N/mm2以上の高強度コンクリートになると火災時の熱が原因となる剥離や飛散の防止対策が必要となります。



1.超高強度と流動性を両立させるコンクリート
通常のコンクリート材料では、高強度化と構造物の型枠、配筋中に密実に充填するための流動性の確保を両立することが困難でした。当社では、強度と流動性を向上させる超微粒子混和材シリカフューム(*)を混入した超高強度コンクリート用セメントや、極めて低い水セメント比(20%以下)でコンクリートの流動性を飛躍的に向上させる超高性能減水剤の開発などにより、超高強度と流動性を両立させる超高強度コンクリートを実現し、構造物に適用してきました。

2.高耐火コンクリート (AFRコンクリート Advanced Fire Resistant)の採用
80N/mm2以上の超高強度コンクリートになると、火災時に剥離、飛散する現象が起きやすくなる(高熱によるコンクリート表層の膨張、内部の水分の熱による膨張が主原因とされている)ことから、耐火被覆が必要とされていました。当社は清水建設と共同で、我国で初めて耐火被覆が不必要となる高耐火コンクリート(AFRコンクリート)を2000年に開発しました(特許出願済)。
AFRコンクリートは、コンクリート中にポリプロピレンなどの合成繊維(直径 0.012~0.2mm、長さ5~20mm)を体積比0.1~0.35%の量を均等に混入することで、火災時の剥離、飛散を防止するものです。火災時の熱で合成繊維が溶融・消失してコンクリートに微細な空洞をつくり、この空洞が表層の熱膨張力や内部で膨張した気体の圧力を緩和する役割を果たします。
AFRコンクリートは耐火被覆が不要なことから柱の径を細くでき、有効面積の増加や、耐火被覆コストの削減などのメリットがあります。
 
(*)シリカフューム: シリコンメタル等の生産時に副産物として生成する直径0.1~0.5μmのガラス質二酸化珪素の超微粒子で、コンクリートに混入すると強度と流動性の向上に大きな効果がある。


■ 汐留H街区超高層棟について

「汐留H街区超高層棟」は、都市基盤整備公団東京支社が東京・汐留の旧国鉄貨物駅跡地開発地域で進めているプロジェクトで、地上56階・地下2階、高さ183.6mの建物に約900戸の住戸が入る予定です。
超高強度コンクリート(圧縮強度100N/mm2)と、高強度鉄筋USD685(降伏強度685N/mm2)の採用によって、塔状比(建物の見付幅に対する高さの比)が 5~6程度と縦長のスリムなRC造の高層建築物でも、柱間隔を大幅に狭めたり柱を大幅に太くしたりすることなく、建物を設計することできました。
現場内の製作ヤードで鉄筋の組み立てから高強度コンクリートの打ち込みまでを行った完成品を取り付けるいわゆる柱のプレキャスト化も、100N/mm2級の超高強度コンクリートでは初めて実現しています。
工事は昨年末に26階まで完了し、一週間にワンフロアのタクトで順調に施工中で、完成は2004年2月の予定です。
また、このプロジェクトには、高層階の45~56階部分のスケルトン(躯体)約12,000m2を事業者に賃貸し、事業者がインフィル(内装)等を設置し、供給・経営する民間賃貸住宅を採用するなど、都心型の集合住宅に相応しい新しい試みが行われています。

超高強度コンクリートと高耐火性能コンクリートの開発により、RC造の超高層集合住宅の需要の伸びに対応していきますが、さらに、超高層搭状構造物、次世代免震構造物、LNG地下タンクなど超高強度コンクリートが必要とされる各種プロジェクトへの対応が期待されます。
当社では技術研究所を中心に、更に強度、耐力等の性能向上、コストダウンを目指し、材料技術、構造技術および合理的な施工技術などの開発を進めています。


■ 汐留H街区超高層棟 工事概要

建築地
東京都港区海岸1丁目各地内
建築主
都市基盤整備公団 東京支社
敷地面積
11,279.72m2
建築面積
  4,334.02m2
延床面積
87,814.01m2
構造・階数
鉄筋コンクリ-ト造、地下2階、地上56階、塔屋2階
高 さ
183.6m
主用途
共同住宅(賃貸)
総戸数
約900戸
設計者
都市基盤整備公団東京支社
竹中・三井・安藤建設工事共同企業体
施工者
竹中・三井・安藤建設工事共同企業体
工 期
2000年4月~2004年2月


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