ブックタイトル竹中技術研究報告書No70

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概要

竹中技術研究報告書No70

竹中技術研究報告No.70 2014TAKENAKA TECHNICAL RESEARCH REPORT No.70 2014等分2点載荷した。加熱はISO-834に準拠し1時間とし,その後,載荷した状態で23時間炉内に放置した。なお,梁は梁端部と耐火炉壁との取り合い部分(実験対象外)が加熱終了後に炉の影響で異常加熱しないように放水冷却した。また,実験終了後に試験体を切断し,炭化の状況を確認した。Figs. 6~13に,各試験体の内部に設置したK型熱電対φ0.32で計測した温度と,試験体の変位と変形速度(柱は軸4)方向収縮量,梁は中央部たわみ量)を示す。耐火性能の判定は指定性能評価機関の業務方法書を参考にし,変形量の基準は柱:h/100[mm],梁:L 2 /400d[mm],変形速度の基準は柱:3h/1000[mm/分],梁:L 2 /9000d[mm/分]とした。ここに,h:柱長さ[mm],L:梁の支持点間距離[mm],d:梁せい[mm]である。また,業務方法書には明記されていないが,耐火木造に対してはこれまでの認定試験に際して「荷重支持部の温度が260℃以下」,かつ,「荷重支持部が炭化しないこと」,「試験終了時に赤熱や発煙がないこと」との判定基準が付加されており,今回の試験もこれに準じた。なお,本章の以降のすべての耐火試験に同様の判定基準とした。Figs. 7,9,11,13の変位計測結果において,変位量および変形速度ともに許容値を十分に下回った。ただし,梁小については,端部(試験対象外)の燃え込みにより支持点が移動したため,正しいたわみ量を計測できず,中央たわみの計測を約9時間で中止した。Figs. 6,8,10,12に荷重支持部表面の温度を示すが,いずれも許容温度260℃を下回った。また,いずれの試験体も脱炉時において試験体に火や煙は無く,試験後の解体調査において荷重支持部に炭化は無かった。したがって,各大きさの柱,梁ともに1時間の耐火性能を有していると判断される。なお,耐火木造の耐火試験では変位と変形速度の基準に比べて荷重支持部表面温度260℃以下または非炭化の基準が厳しく,実際にはこれらが試験の合否を分けている。(4)大臣認定前途の試験とほぼ同様の仕様で,指定性能評価機関において1時間耐火の性能評価試験を受け,国土交通大臣認定を取得した。一般的に柱と梁の耐火認定試験では,想定される最小断面寸法の試験体で試験を受け,それ以上の寸法については大臣認定条件に含まれることが多い。しかし,木現し耐火木造については知見が不足しており,部材の断面寸法と耐火性能の優劣関係が不明であるため,最小寸法で認定試験を実施すべきか最大寸法で試験を実施すべきかの協議を重ね,最小断面の試験体2体と最大断面の試験体1体の試験を実施することになった。具体的には,柱は部材断面470~670mm×470~1220mm(荷重支持部断面は各辺170mm減の300~500mm×300~1050mm),梁は320~670mm×515~1135mm(荷重支持部断面は左右辺170mm減・下辺85mm減の150~500mm×450~1050mm)の範囲で2011年に1時間耐火認定を取得し,「カラマツとモルタルバー」の柱・梁(Fig. 1)でスパン9mの実現に目途をつけた。Fig. 1燃え止まり層にモルタルとカラマツを用いた柱・梁部材のイメージIllustration of column and beam elementsFig. 2耐火木造の断面構成の考え方Concept of cross-sectional division5