ブックタイトル竹中技術研究報告書No70

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概要

竹中技術研究報告書No70

竹中技術研究報告No.70 2014TAKENAKA TECHNICAL RESEARCH REPORT No.70 20142.4防火区画壁の取り合い部の開発Development of Fire Resisting Partition Walls(1)はじめに万一火災が発生した場合に,延焼拡大を防止し,階段等の避難経路を防護するために,建物内に防火区画が設けられる。防火区画は耐火造の柱・梁・床・壁と,防火設備(防火扉,防火シャッター,防火ダンパー)等によって形成される。特に,壁としては施工の容易さとコスト,仕上がりを考慮して,軽量鉄骨下地(LGS)と石膏ボードで構成された乾式耐火壁を採用することが多い。乾式耐火壁の周囲を木現し耐火木造の柱や梁とした場合,柱や梁の燃え代層と乾式耐火壁が取り合うことになり,防火区画された一方の区画が火災になった際に柱や梁の燃え代層7)が燃え抜けて,非火災区画に延焼が及ぶことが懸念される。そこで加熱実験を実施して遮炎性能を確認することとした。(2)実験内容Fig. 26に示すように,3700×3600mmの構成フレームに,2.1節に記述した耐火木造の柱と梁をT字型に設置し,その柱の左右に2体の試験体を設置した。試験体は,乾式耐火壁(吉野石膏S12目透かし:強化石膏ボード(以下GB-F)両面2枚張りの1時間耐火の性能を有する仕様)とし,乾式耐火壁と耐火木造の柱および梁との取り合い部の補強方法を,Table 3,Fig. 27に示すように,異なる仕様とした。試験体AではLGSを留め付けるコースレッドの長さを長くした以外は通常の乾式耐火壁と同様の納まりとし,試験体BではLGSと耐火木造の柱・梁との間にGB-Fを挿入し,さらに梁以外に柱にもLGSをコースレッドで留め付け,梁のコースレッドに関しては千鳥で留め付けるといった補強を行った。Table 3取り合い部の補強方法Reinforcement of connections between beam/colum and fire resisting partition walls試験体柱梁A補強なし・コースレッド(L51,中心)Bなお,耐火木造の柱・梁は全断面を再現しておらず,2.2節で示した仕様で接合することができないため,非加熱側をC型鋼で固定し,柱と梁の間の隙間をロックウールと耐火シールで塞いだ。Photo 4に試験前の試験体加熱面の状況を示す。2体の試験体を同時に,ISO834標準加熱温度曲線で1時間加熱し,その後,炉内で23時間放置した。なお,試験体Aは加熱終了後放置中に非加熱面へ燃え抜けた(1時間52分)ため,水をかけて消火し,Photo 5に示すように耐火材にて養生を行った。試験体の非加熱面温度(K型ディスク熱電対φ0.64),耐火木造部材の内部温度・荷重支持部表面温度・耐火木造部材と壁の取り合い部の温度・各部の非加熱面シール材温度(K型熱電対φ0.64)を測定した。また,適宜,写真およびビデオ撮影を行った。耐火性能は加熱時間中および放置時間中の試験体非加熱面の温度上昇(最高180K,平均140K),燃え抜けの有無で判定した。なお,実験は公益財団法人日本住宅・木材技術センターの壁炉で実施した。(3)実験結果Table 4に実験結果を,Photo 6~8に実験後の柱・梁の断面を示す。また,Fig. 28~29に梁と耐火壁の取り合い部Table 4実験結果Test results判定基準試験体A試験体B裏面温度火炎噴出非加熱側へ燃え抜けNG火炎の噴出なしOK発炎非加熱側へ燃え抜けNG発炎なしOK亀裂・損傷非加熱側へ燃え抜けNG亀裂等の損傷なしOK耐火性能なしあり13