ブックタイトル竹中技術研究報告書No70

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概要

竹中技術研究報告書No70

竹中技術研究報告No.70 2014TAKENAKA TECHNICAL RESEARCH REPORT No.70 2014Fig. 1講堂の形式(左から3,000席講堂形式,1,000席コンサート形式,講堂+階段教室形式,1,800席コンサート形式。赤線は可動部を示す)Various modes of Siiki Hall(from the left: 3,000 seats w/o stage enclosure, 1,000 seats with stage enc., divided for 1,000 seats hall w/ostage enc. and five lecture rooms, 1,800 seats with stage enc.)Photo 1内観(左:3,000席講堂形式,右:1,000席コンサート形式)Inside of Siiki Hall(left: 3,000 seats w/o stage enc., right: 1,000 seats with stage enc.)概略について以下に報告する。2室内音響Fig. 2は着工後の検討に基づく修正変更の概要であり,以下にそのポイントについて述べる。本講堂においては,音楽演奏を主用途とする1,000席コンサート形式(976席+車椅子利用者用4席),即ち移動間仕切壁より前方のホール部分に最も多く課題が集中していたため,以下ではこれを中心に紹介する。移動間仕切壁よりも後方にあたる階段教室部分においては,主として教室内の遮音が課題であり,これについては後述する。Table 1プロジェクト概要Project outline of Siiki Hall建築地福岡市西区大字元岡744建築主(国)九州大学設計・工事監理(株)内藤廣建築設計事務所建築工事施工(株)竹中工務店建築面積8,013m 2延床面積12,758m 2構造RC, S階数地上4階工期2012.10~2014.2Table 2ホール諸元(1000席コンサート形式/3000席講堂形式)Acoustical data of Siiki Hall(1000 seats withstage enc. / 3000 seats w/o stage enc.)2.1二次元音線作図による初期反射音検討容積(V)10,300m 3 / 14,100m 3まず二次元音線作図により,音響品質に重要な要素となる初期表面積3,670m 2 / 6,050m 2反射音の到達エリアについて検討した。その結果,門型の平坦面で計画されていたプロセニアムまわりからの初期反射音は客席のごく一部にしか到達せず(Fig. 3),多くの客席で初期反射音が不足することが予想された。これに対し,大臣柱を円筒曲面に変更プロセニアムV/N幅23m×高さ9m10.5m 3 /席/ 4.7m 3 /席し,舞台天井反射面を付加することでほぼ全ての客席に初期反射音が供給される(Fig. 4)ことがわかった。この変更案は側壁近傍客席からの舞台視認性の改善にも寄与している。2.2三次元CAD等によるエコー検討次に三次元CADモデルを用いて,鏡像法による幾何シミュレーションを行った。舞台上や前方客席等において,同心円曲面をなす天井面及び後壁からのエコー障害を生じることが確認された。結果の一例をFig. 5に示すが,後部天井曲面(Fig. 2の天井A)から舞台上へ,長い遅れ時間をもつ反射音(ロングパスエコー)がほぼ同時に集中している。これに対する改善策の一つとして,平坦面であった舞台正面の音響反射板に凹凸を設け拡散性を持たせた。52