ブックタイトル竹中技術研究報告書No70

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概要

竹中技術研究報告書No70

竹中技術研究報告No.70 2014TAKENAKA TECHNICAL RESEARCH REPORT No.70 20143藻類の培養施設および利活用施設の検討3.1藻類培養施設藻類の培養施設については,海面養殖技術,タンク培養技術およびリアクター培養技術について文献調査,視察・ヒアリングを行っておよその生産性とともに,経済性,環境性,工業性ならびに事業化実績についてまとめた。結果をTable 7に示す。大型藻類の培養実績を重視すると生産性の高いタンク培養技術が有望である。ただし,タンク培養では施肥効果を期待してCO 2を培養液に溶解させた場合,容易に大気中に放出されるこFig. 6藻類培養施設のシステムフロー(参考文献2)をもとに作成)System flow of a facility for seaweeds cultivationとが予想されるため,リアクター培養技術を一部取り入れる必要があると考えられる。本調査で検討する培養施設はこの調査結果を参考に,タンク養殖技術に一部リアクター培養技術を加味した方式を検討し,培養水製造工程,幼体培養工程,藻類培養工程,藻類回収工程で構成した。検討した藻類培養施設のシステムフローをFig. 6に,本施設の中核部分の藻類培養工程の概要図をFig. 7に示す。後述の3.3で示すプラットフォーム上では,Fig. 7の藻類培養プロセスを32基配置する。本培養施設で収穫できる藻類の量は,ミナミアオノリを培養密度0.5%で培養した場合で128t(dry)/日,ワカメを培養密度0.1%で培養した場合で16.8r(dry)/日である。1)Table 7藻類培養技術の比較Comparison of cultivation techniques for seaweeds and micro algae海面養殖技術タンク培養技術リアクター培養技術培養の規模100ha~200ha500m 2-生産性0.004~0.6kg/m 2・年1~10kg/m 2・年20~78kg/m 2・年生産費用2,400万円/年程度数億円/年程度CO 2固定量0.4~6t-CO 2 /ha10t-CO 2~100t-CO 2 /ha200~780t-CO 2 /ha(年間)*1特徴・海面を利用した自然成長に任せた培養方式・単位面積当たりの生産性は低い経済性環境性○ロープ網に種苗を付着させる方式で設備コスト・運用コストとも低い×海域の環境に影響されやすく通年稼働は不可能×海洋に自然に吸収されたCO 2の吸収のみ可能で排気ガス等,高濃度CO 2の固定化には不適工業性×工業技術の導入は養殖地域の監視,藻体を着床させたロープ等の牽引,藻体の回収となる・タンク内の水質や藻体などを人為的な管理が可能・単位面積当たりの生産性は海面養殖の10倍以上△設備・運用コスト面で今一歩の研究開発が必要○生育環境の管理が可能で通年培養が可能△海洋と隔離した環境のため,排気ガス等の高濃度CO 2の固定化が可能。完全な閉鎖系ではないため水面からCO 2拡散の課題がある△培養水の管理,藻体の管理面で,工業技術の導入が可能。タンクであるためバッチ生産であり連続プロセス化に課題あり・リアクター内の水質や藻体を人為的な管理が可能・単位面積当たりの生産性は海面養殖の100倍以上×大規模な環境を想定した場合,設備コスト,運用コストに課題あり○完全閉鎖系であるため,CO 2の拡散はない○タンク培養と概ね同じ,人工光等を利用した光量子量の管理面で工業技術の利用が可能事業化実績○食用,化学原料等あり○食用としてあり×大型藻類では見られない66