ブックタイトル竹中技術研究報告書No70
- ページ
- 81/86
このページは 竹中技術研究報告書No70 の電子ブックに掲載されている81ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 竹中技術研究報告書No70 の電子ブックに掲載されている81ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
竹中技術研究報告書No70
竹中技術研究報告No.70 2014TAKENAKA TECHNICAL RESEARCH REPORT No.70 20142)Table 18事業収支の検討条件Examination condition of the business income and expenditure借入金利の考え方資本金の考え方個別システム人件費販管費製品取引価格法人税等借入期間を20年とする。当初,売上げが安定するまでの5年間については,金利負担をゼロとして,6年目から20年目までの金利負担については,20年間で負担すべき金利分を15年で均等割りとする。5年間に売上げが無くとも,元本のみの返済が可能なよう,金利負担のない5年分の返済額(表では負担額)の合計を資本金とする。1km四方の湾内型でポンツーン浮体プラットフォームを構築する条件とし,以下の3ケースを検討プラットフォームケース1:公的資金により建設費を100%賄うケース2:公的資金により建設費を50%賄うケース3:公的資金投入ゼロユーティリティプラットフォーム上の給排水,蒸気の供給等を想定風力(5MW×6基),太陽光発電(4MW),蓄電池,非常用の系統電力受電設備を組み合再生可能エネルギーわせることを想定藻類培養Fig.3のシステムで培養。培養密度はミナミアオノリの場合で0.5%,ワカメの場合で0.1%藻類利活用有用成分抽出後にエタノール転換,残差を肥料・飼料化(Fig. 8)雇用に要する費用全て込みで時給2,500円とし,有給労働時間8.5時間(内1時間休憩),1日3交代,1シフト50人,年間365日稼働として計算ランニングコスト,人件費の合計金額の10%と設定各製品(成分)の市場価格を参考とし,各種藻類の生産量に応じて売上見込み額を算出想定しない事業性の検討結果をTable 19に示す。ミナミアオノリを培養する場合,ワカメを培養する場合のいずれも,1km四方の規模の洋上プラットフォーム上で藻類培養・利活用を事業化した場合の収益は数千億円以上の規模の収益性の高い事業となる見込みとなった。プラットフォームの建設費に公的資金の補助を受けることによる年間支出及び年間利益の変化はそれほど大きくなかった。これは,建設投資の額は大きいものの,長期にわたる事業期間を設定したことにより年間経費ベースではプラットフォーム建設費への公的資金の有無の影響が小さくなったものと考えられる。なお,ワカメをこの規模で培養してフコイダンを抽出すると年間300tもの生産量となり,国内需要の10倍に相当する。具体的に適地を選定して事業計画を立案する段階では,需要量に応じた設備規模を検討したうえで事業化・投資判断を行うことになる。また,Table 17の有用成分の価格は,現在の取引価格をもとにしたものであり,価格の経年的な変動や大量供給時の価格低下についても詳細検討が必要である。Table 19事業性の検討結果(参考文献1)および2)より作成)Results of the business income and expenditure on seaweeds cultivation and utilization businessケース1ケース2ケース3ケース項目ワカメミナミアオノリ年間売上高280,069百万円849,426百万円プラットフォームを公的資金により100%賄う年間支出31,975百万円39,268百万円年間利益※248,094百万円810,158百万円年間売上高280,069百万円849,426百万円プラットフォームを公的資金により50%賄う年間支出33,328百万円40,621百万円年間利益※246,741百万円808,805百万円年間売上高280,069百万円849,426百万円プラットフォームの公的資金投入をゼロとする年間支出34,681百万円41,974百万円年間利益※245,388百万円807,452百万円4.2 CO 2収支の検討藻類培養により,藻体には光合成による炭素が固定化される。ここでは,成長速度が速いミナミアオノリ(藻体中の炭素含有量29%)を対象としてその収支を示す。藻類の培養には施設に要する電力と従事者が洋上施設で生活するためのエネルギー消費があるが,これらは再生可能エネルギーで賄うために藻体固定量がすなわち上記で検討してきた施設におけるCO 2固定量となる。藻類培養に要するエネルギーを含めた検討結果をTable 19に示す。本調査で検討した条件,すなわち1km四方の規模の洋上施設においてミナミアオノリを培養密度0.5%の条件で培養し,その培養に必要なエネルギーを再生可能エネルギーで賄った場合は,年間約5tのCO 2を固定できることがわかった。73