歴史的建築を文化資源として読み解き、
豊かなもの・まちづくりに貢献する

山野 敬史|伝統・レガシー建築(大学院工学系研究科建築学修了)

2006

入社・新社員研修

2007

東京本店
作業所配属

2007 - 2009

迎賓館本館・和風別館

先人の仕事を知り、現代に生かすことの魅力を体感しました。

  • ・学生時代から歴史的建築に興味があり、いろいろな建物を建設する経験を積んだ上で、歴史的建築の保存・再生に携わりたいと考えていました。幸いなことに入社2年目から迎賓館赤坂離宮本館の総合改修に携わることになりました。
  • ・最初は仮設足場の計画を担当しました。建具や内装の改修、構造補強などの主要工事のためのもので、工事を担当する職人さんから仕事の内容を教わり、安全かつ快適に、良い仕事をしてもらうことを目指しました。
  • ・改修工事を円滑に進めるためには、試験施工を含む事前の調査が重要です。資料・現地調査はもちろんのこと、仕上がり具合のお客様・設計者との目線合わせ、ならびに実作業で検証することが大切だと先輩方の指導を頂き、実践の中で学ぶことができました。

迎賓館本館

朝日の間

2009 - 2010

国際仏教学大学院大学

ものづくりの基本を経験することができました。

  • ・当社が施工した国際仏教大学院大学の作業所で、鉄骨造、RC造とRC壁式構造の建物を杭工事から仕上工事まで、作業所長をはじめ経験豊富な先輩方から施工管理のノウハウを徹底して学びました。
  • ・施工図や製作図の作成・確認では、バランスのとれたQCDSE管理が重要です。複雑な形状のRC柱では配筋図を作成し、本当に組めるかどうか検証したり、スギ板本実型枠打放仕上の壁をいかに美しく仕上げるかコンクリートの打設方法を検討したり、良いものをつくるために必死で仕事をしました。
  • ・良い作品をつくりあげるという作業所長の大方針のもと、チームの仕事力を最大化するために個として全うすべき役割を理解し、多種多様な職人達と一丸となる感覚は、大きな魅力だと思います。

国際仏教学大学院大学

2013

ヨーロッパ竹中
チェコ支店配属

2016

Yankee Candleチェコ⼯場

日本で培った経験を生かし、海外でプロジェクトマネジメントに挑戦しました。

  • ・2013年から国際ビジネス研究生として、ヨーロッパ竹中のチェコ支店での研修を受けました。2014年からプロジェクトマネージャーとしてチェコの西側半分を、2016年からは全体を任されました。
  • ・チェコ支店では、複数の工場、レジデンス、オフィス等の新築、改修工事をローカルスタッフと共にQCDSEのバランスをとりながら竣工させました。
  • ・総括作業所長という立場で33,000㎡の新工場を、諸先輩方が築いた高い意識や技術力を継承したローカルスタッフや協力会社と8カ月という短工期で実現できたことは、貴重な経験になりました。
  • ・工場の仕事が多い中で、とくに勉強になったのが設備工事の重要性でした。
  • ・海外におけるプロジェクトマネジメントの魅力は、営業段階から竣工そして維持管理まで広く関われることです。その中で価値観や考え方が異なる国の多くの関係者や仲間と歩み寄り、調整しながらプロジェクトを推進でき、達成感を得ました。
  • ・チェコの歴史のある街並みの中で生活することで、建築の文化資源としての役割に深く感動共感しました。

Yankee Candle社チェコ新工場

新工場建設時のローカルスタッフ

チェコの街並み

2019

設計本部
ADD部 伝統建築G配属

建築史の学術性を生かした新領域にチャレンジしています。

  • ・最初は社内各本支店の支援が主でしたが、数年前から主にリサーチ系の仕事とマネジメント系の仕事を中心に取り組んでおり、近年は重要文化財の保存活用計画の監修・作成なども実施しています。

2019 - 2024

国指定史跡
荻外荘復原整備事業

  • ・東京都杉並区にある近衞文麿の住居(旧入澤達吉邸。1927年竣工。設計:伊東忠太、施工:当社)を復原整備するプロジェクトです。
  • ・豊島区に移築されていた玄関・客間棟を2019年に杉並区が入手し、2022年に当初の敷地に残されていた居住棟と合わせて近衞時代の姿に戻す工事が着工し、2024年の12月から区立公園として公開されています。
  • ・私の役割は、意匠・技術アドバイザーとして、設計監理者や施工者を支援することでした。創建時の設計者である伊東忠太の住宅観を調査し、平面計画やディテールの歴史的価値を読み解き、創建当初の内装材の意匠や色の組み合わせなどを検証しました。

竣工後外観

2022 - 2026

横浜市旧市庁舎街区活用事業
(BASEGATE横浜関内)

  • ・解体する建物を含めた記録保存の監修や、歴史的観点から再利⽤すべき部材の選定、戦後建築初となる「横浜市認定歴史的建造物」の認定⽀援、アーカイブ調査などに携わりました。階数表⽰や扉の取っ⼿といった細部に至るまで、村野藤吾の図⾯やスケッチとの整合性を確認しながら、再利⽤すべき部材を慎重に選び出しています。
  • ・解体中に発⾒されたレンガ壁については、⽂献調査を重ねた結果、創建時の外壁であり、屋外空間としてデザインされた部分であることが明らかになりました。こうした発見一つひとつについて、丁寧な価値評価を行い、関係者間で共有することが、歴史的価値を活かしたデザインの実現に必要だと感じています。

竣工後外観

解体中に発見された創建時の外壁

2026

博士(工学)取得

「生きた遺産」を未来につむぎます。

  • ・2019年から設計本部配属となり、⼊社してから培った施⼯管理やマネジメントの経験を活かしつつ、2026年に博⼠(工学)の学位を取得し「建築史」という⾃⾝の専⾨性を掛け合わせ、既存業務の改善と新たな職務領域の開拓に挑んでいます。
  • ・歴史的建築の保存・再生プロジェクトの成功には、その継承すべき価値を企画段階よりお客様と共有し、設計、施工、維持管理とプロジェクトの進展に合わせて育てあげていく、総合的マネジメント力が必要だと感じています。
  • ・歴史的建築の所有者や事業者が抱える課題を解決し、愛着を持って建物を使い続けるためのレガシーデザインを通じて、これからも豊かなもの・まちづくりに貢献していきます。