ポストコロナを見据えた集住モデルの創出
建築設計|TUS グローバルレジデンス
FEATURES01
経路をデザインする
第⼀⽣命保険と東京理科⼤学の包括連携協定に基づき、東京理科⼤学野⽥キャンパスに計画された、5階建て300⼾の学⽣寮です。
パンデミックを経て「集まって住むこと」を再考し、次の時代を見据えた集住モデルの創出を目指しました。4住戸1ユニットの分棟を外部経路によって繋ぎ、各棟1か所の外部階段から中庭経由のアクセスとすることで、外気下で物理的距離を保ちながら寮生の交流を促す計画としています。
1階平面図
FEATURES02
環境をデザインする
環境シミュレーションを行い計画に反映することで、外部空間の快適性を高めています。卓越風を夏期は最大限取り込み、冬は遮るように棟高さ、棟配置を決定、バルコニーの一部に反射パネルを設置することで中庭の光環境の改善を図りました。
寮室環境については洗面台の手前配置、直天による気積確保、フルハイトの引き戸開口+バルコニー設置で自然換気を最大限取り込む等、コロナ禍を経た日常生活のQOL向上を目指しています。
快適性を高めた中庭、バルコニーに取り付けた目隠しを兼ねる反射パネル
FEATURES03
つかわれ方をデザインする
経路の起点となる中庭は、イベントや日常利用に際し、学生自らが能動的に様々な人数単位に合わせた活動の場を生み出せるよう配慮しました。コンクリート平板で手掛かりとなるスケールの場を緩やかに規定し、工業製品を転用したベンチや移動可能な単管パイプ、天幕を配置しました。
工業製品を配置した中庭を外部階段から見る
FEATURES04
つくり方をデザインする
住戸ユニットは5.9mの妻壁と2層分の開口部を設けた7mの壁・壁梁によるPC壁式構造を採用しました。各ユニット間はハーフPC床板とプレストレス床板により接続しています。PC壁・壁梁は隣接大学敷地をヤードとしたオンサイト製作とすることで、運搬限界を超える大型化(約5.9m×3.2m)を可能としました。楊重半径と重機解体経路を考慮した配置計画、揚重範囲内への効率的な縦置き架台の設置、PC形状や重量に対応した専用吊り上げ治具の開発により、施工効率を上げ取付精度を高めた躯体PCは、少人数の多能工による施工が可能となり、在来工法比で労務効率は約20%向上、工期は35%削減する効果を上げました。併せてオンサイト化により在来工法比で約27tのCO2削減を達成しました。
クレーン回転軌跡を考慮した配置計画、隣接する大学敷地7,000㎡を活用したPCヤード

効率的な立て置き架台

ヤードからの楊重

多能工による取付

プレストレスPCブリッジの取付

金井 謙介

福田 久展

樫村 圭亮