ヒューマンファクターが生み出す生産性向上

設備設計|竹中技術研究所リニューアル

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知的生産性向上は、
選択可能な多様な環境づくりから

「ヒューマンファクター」が注目されはじめています。私たち設備設計領域では空間の構成や、テクスチャー、緑化、什器配置などの建築的要素以外で生産性に強い影響力を持つ、光・熱・空気・風・音などの環境要素=ヒューマンファクターをデザインします。ヒューマンファクターは常に人の五感に働きかけ、知覚や心理現象に大きな影響を与えて、行動の傾向やパターン、思考への集中力に大きく関わります。

これまでは均質な空間環境を維持することを目的とした設備計画が主流でした。これからの設備設計は、快適性・健康性・知的生産性を向上させる環境づくりを目指し、研究者や執務者が業務に最適な場を選択できる、「ヒューマンファクター」に着眼した多様な環境要素をもつ場を提供します。

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心と身体を安定させる光環境制御

生産性を向上させる執務空間を目指して、人間のサーカディアンリズムと空間全体の明るさ感(輝度)に配慮した新しい観点から光環境計画を行いました。人間は午前中の早い時刻に明るく強い光を浴びることで幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌を増やし、活動を始めるための準備を行うことが大切であると言われています。心と身体を安定させる光環境制御を行うと同時に、まぶしさによる不快感を和らげる新たな技術を開発して導入しています。
健康性向上のため、日中にセロトニンを増やすことで夜間のメラトニン分泌を増やすことにつなげ、睡眠の充実も図っています。

昼光を積極的に取り入れながらも研究者にとって不快なグレアをカットするため、トップライトからの直達光を 0~240度まで回転する自動制御の回転ルーバーにより、やわらかな間接光に変換して室内に取り入れています。

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知覚への順応・刺激を与える温熱・
気流環境の提供

作業の高効率化と知的生産性向上のため、働く場の自己選択実現度を高めます。時間経過や作業内容、身体の状態により自分の好みに応じて働く場所を自由に選択でき、高い満足度を与える多様な温熱・気流環境を創出しています。
温度感や気流感の異なる場を選択できるよう、放射空調、微気流空調など従来の一般的な天井吹出し空調方式にはない4つのパターンの空調システムを採用しています。

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光・温熱環境の満足度を飛躍的に
向上させるパーソナルデバイスの提供

さらなる効率性や知的生産性向上のため、自己効力感が満たされることで満足性が向上するよう、働く場の選択に加え、研究者それぞれが光・温熱・気流感を調節することができる様々なパーソナル設備デバイスをワークスペースに配置しています。これらのパーソナルデバイスは、机上のNFCタグにスマートフォンをかざして「なんでもリモコンⓇ」を起動させることにより、自由にコントロールすることができます。

田中宏治

畑中健

技術研究所

和田一樹