緑や街を繋ぐ環境配慮超高層オフィス

飯野ビルディング

霞が関に立地する旧飯野ビルの建て替えで、高いオフィス性能の実現と記憶の継承を図っている。日比谷公園の緑に繋げていく地域植生に配慮した「イイノの森」を配し、地下鉄と隣接街区を結ぶ商業施設、開放的なエントランスでのイベントや低層部の象徴的なイイノホールが、街への賑わいと文化の発信に繋げている。基準階のオフィスには自然換気やデシカント空調の汎用化等のさまざまな省エネ技術を開発採用することで、消費エネルギーを50%以上削減し、ZEB-Readyを達成している。

通風パネル内の定風量機構

日射負荷が大きい基準階オフィス外装には自然換気が可能なダブルスキンを開発した。二重の外壁内に空気層を設け電動ブラインドをダブルスキン内に設けることで、熱負荷を制御している。夏場はダブルスキン内の熱を排出して室内への負荷を低減し、冬場は熱を蓄え冷気侵入を防ぐ。気候がよい中間期は直接外気を取り入れ空調運転の低減を図ることができる。

自然通風貫通型のダブルスキン

断面図

ホールの段床断面を活かしたダイナミックな曲面で構成したピロティの軒天井が、皇居から日比谷公園さらに敷地内のイイノの森に連続した"樹海"に漕ぎ出す船をイメージさせる。低層部の主要な空問は、このイメージを軸に事業主のビジネスアイデンティティを生かした、波、船、帆、海底遺跡などのデザインモチーフを展開している。
旧ビルの空間構成を継承発展させると共に、事業主の想い入れある石材やレリーフなど、永く愛されてきた貴重な素材やアートワークを再生利用し、廃棄物を抑制して環境へ配慮しながら、新しい中に懐かしさや愛着を感じさせる建物としている。

波形を天井のモチーフとしたオフィスロビー

木造帆船をモチーフとしたイイノホール内部

Information

所在地
東京都千代田区内幸町2-1-1
建築主
飯野海運
主要用途
事務所・ホール・店舗
工期
2009年3月~2011年6月(Ⅰ期)
2013年9月~2014年10月(Ⅱ期)
敷地面積
8,027.24㎡
建築面積
4,642.56㎡
延床面積
103,826.88㎡
階数
地下5階、地上27階、塔屋2階
主構造
鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造、
鉄筋コンクリート造
工事監理
日建設計
受賞
第57回(2016年度)BCS賞
平成23年度 省エネ・照明デザインアワード グランプリ 
平成23年 照明普及賞 優秀施設賞
第11回・第13回環境・設備デザイン賞 入賞
第52回 空気調和・衛生工学会 第52回学会賞技術賞建築設備部門
第5回 サステナブル建築賞
第5回(平成28年) カーボンニュートラル賞 建築環境・省エネルギー機構理事長賞(事務所建築部門) 
第6回 JABMEE優秀賞 環境設備優秀賞
第42回 東京建築賞 一般部門二類/優秀賞
雑誌掲載
新建築 2011.11
ja 2012.12
ディテール No.192

菅順二

本村英人

宮地克彰

伊藤宏樹

左勝旭

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