竹中技術研究報告
TAKENAKA
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ご挨拶
株式会社竹中工務店 技術研究所長
櫛部 淳道
 竹中技術研究報告№81の発行にあたり,ご挨拶をさせていただきます。

 2025年の世界情勢は,ウクライナ情勢の長期化,中東地域の不安定化など地政学的リスクが依然として高い状況で推移し,エネルギー・資源および資材価格の高止まりが常態化するなど,我が国の経済に少なからぬ影響を与えました。その一方で,大阪・関西万博,世界陸上など,国際的なビッグイベントが盛況のうちに閉幕し,いずれも数々の明るい話題とともに,我が国の魅力を世界に発信する良い機会に恵まれた年でもありました。
 竹中技術研究所は,建設技術はもちろんのこと,最先端のデジタル技術や環境技術を深耕し,建物からまちづくりまで「つくる・まもる・いかす」のライフサイクル視点から,革新的な技術開発による新価値創造と脱炭素・資源循環・自然共生による社会課題解決を進めています。なかでも国土強靭化に資する災害レジリエンスの向上は極めて重要な課題の1つであり,持続可能で災害に強い社会基盤の構築に向けて,私たちはこの重要な役割を果たしていく所存です。
 以上をふまえ,今回お届けしました竹中技術研究報告の特集は,「多様化する災害へのレジリエンス」といたしました。本年は1995年に発生した兵庫県南部地震から30年目にあたります。この間にも日本社会は様々な災害に見舞われています。予測を超えるスピードで変化を続ける気候変動の進行が関与する津波,洪水,土砂災害など複数の災害に対しても,社会インフラが総合的に対応できるマルチハザードレジリエンスが求められており,被害を最小限にとどめるのはもちろんのこと,災害が発生した際に迅速に復旧・復興できる技術・能力の重要性がますます高まっています。本特集では,様々な災害に対する「事前評価技術」と「対策技術」を取り上げております。
 書き下ろし論文といたしましては,全3編を掲載しております。1つ目が,軟弱地盤上の建物の鉛直変位モニタリングにおける時系列干渉SAR解析の有用性を実証した「Evaluation of Long-term Settlement of a Large Building on a Piled Raft in Soft Ground Using SAR Remote Sensing」,2つ目が,コンサートホールにおけるオーケストラ音楽に好ましい残響時間を検討した「3D合成音場で測定したコンサートホールの最適残響時間」,3つ目が,災害に対する事業継続計画の策定状況のアンケート調査結果を基に,各災害による事業へのリスク認識の傾向を分析し考察した「事業継続計画のアンケート分析に基づく自然災害リスク認識の違い」です。
 本誌の内容が少しでも皆様のお役に立つことを願っております。本誌に関しまして,ご意見やご助言などがございましたらお申し付けください。今後とも,ご指導ご鞭撻のほど,よろしくお願い申し上げます。
  2025年12月  
TAKENAKA TECHNICAL RESERCH REPORT No.81 2025