地域の資源循環と共生する
― 井水を利用したNet ZEBオフィスの実現 —
サステナブルデザイン|キトー山梨本社
FEATURES01
地域の資源循環と共生するZEBオフィス
キトー山梨本社は国内トップシェアを誇るホイストメーカーの本社機能移転計画として山梨県昭和町の工場敷地内に新築された新事務棟です。
管理・事務を担う工場敷地全体の中核機能と国内外から多数の来客を受け入れるショールーム機能を持ち、多様な人が集まる場所となっています。甲府盆地の原風景である葡萄棚の下で人々が快適に過ごせる空間を目指して計画するとともに、生活や地域産業の基盤として利用している地下水の空調利用や気候特性に配慮した建築形態と再生可能エネルギーを最大活用することで環境負荷低減および省エネを図り、地域密着型のZEBオフィスを創出しました。
甲府盆地における資源循環概略図
環境計画
FEATURES02
豊富な井水を最大限利用した
設備システムの構築
空調熱源は井水熱直接利用、水冷熱回収型チラー、水熱源パッケージで構成し、いずれも井水を利用することで再生可能エネルギーを最大限活用する計画としました。
井水熱は深さ100mの井戸設備2本から井水を汲み上げてオープンループ方式にて採熱を行っています。井水を空調用に熱利用した後は水景設備に放流するとともに雑用水槽に供給することでトイレの洗浄水にカスケード利用しています。また、水景設備は自然換気利用に風上側に配置することで導入する空気の気化冷却効果も狙っています。
オフィスから見える水景設備
冷房時の設備システム
暖房時の設備システム
FEATURES03
井水を利用した設備システムの運用実績
豊富な井水は最大で時間あたり70㎥の揚水が可能で、水温は年間約15度前後で安定しています。この温度帯は、冷水としてそのまま冷房に利用可能です。熱媒としては、冷房時の外気温よりも低く、暖房時の外気温よりも高いため、一般的な空気を熱媒とした空調よりも効率的なシステムとなります。実績値は、空調システムの効率を示すCOP※1が実施値において、冷房時・暖房時共に大半の時間帯で標準的なCOPを上回っています。
井水利用実績(上段:揚水量、下段:空調利用温度差)
システムCOP(冷房、1時間毎)実績
システムCOP(暖房、1時間毎)実績
FEATURES04
地域の環境資源を活用してNet ZEBを達成
この建物は、地域の自然や資源を上手に使う建築・設備計画によって、非常に高い省エネ基準「Net ZEB」を実現しました。
「Net ZEB」は最新の省エネ技術と太陽光発電などの創エネ技術を組み合わせることでエネルギー消費量を実質ゼロ以下にする(低減率100%超)という、 地球環境に優しい究極の建築スタイルです。
年間の消費エネルギーは、基準となる通常のビルと比べて、コンセントや展示設備など全てを含めても103%削減になっています。
さらに、建物の60年間の生涯にわたる環境負荷(ホールライフカーボン※2)を計算すると、このビルは太陽光発電などで電力をまかなうため、排出するCO2は1年あたり1㎡当たり46.2kg-CO2eとなり、通常のビルと比べて約64%削減できます。
このように、それぞれの地域が持つ自然環境や資源の特性を丁寧に活かすことで、脱炭素化・資源の循環利用・自然との共生に貢献できる、新しい建築の可能性が広がっています。
https://www.takenaka.co.jp/news/2025/04/04/


ホールライフカーボン算定結果(延床・年あたり)

池田 直樹
(設備設計)