透光性と断熱性を兼ね備えるエアロゲルガラスパネルを開発・適用~空調・照明エネルギーを削減して脱炭素の推進に貢献~

2022年4月25日
株式会社竹中工務店

竹中工務店(社長:佐々木正人)は新光硝子工業(代表取締役社長:新海伸治)と、光を通し断熱性の高い半透明のエアロゲル素材を窓部分に適用することで、空調・照明エネルギーを削減する、エアロゲルガラスパネルを開発しました(特許出願済)。
このパネルは、日射制御と室内環境の最適化を図りつつ、建物の省エネルギー化を可能にしました。
このたび竹中工務店の北海道地区FMセンター※1に初適用し、ブラインド付き高性能ガラスを採用した場合のオフィスゾーンと比較して10~20%のエネルギー削減を確認しました。
また、半透明の本パネルは、日中には柔らかな光を取り込み夜間は室内照明の光が外にもれ出す効果を利用した意匠を実現します。
今後は、2023年までに、従来の既製品サッシに設置できる厚みのガラスパネルを開発する予定です。本パネルは、通常のガラスと同様の方法で取り付けることが可能なことから、パネルの厚さを一般流通材と合わせることで、市場への訴求を目指します。
オフィス、商業、病院等の多様な建物の省エネルギー化を実現することで脱炭素の推進に貢献していきます。

  • ※1北海道地区FMセンターお客様の事業展開・施設運用などFM(ファシリティマネジメント)の視点で企画からアフターサービスに至る支援業務をおこなう当社北海道支店の中核拠点
北海道地区FMセンターでのエアロゲルガラスパネルの設置例(点線内)
(両端の一般的な透明ガラス部と同等の昼光を取り込んでいる状況)

エアロゲルガラスパネルの概要

エアロゲルは透光性と優れた断熱性を持つ非常に軽量な素材です。国外でも窓への利用例がみられますが、長期に渡って性能を維持することが困難でした。例えば、ガラス板でエアロゲルを挟んで密封すると、温度が上がったときに膨張した空気により、ガラス板がふくらんだスペースにエアロゲルが移動し、ゲル層が沈降してしまいます。
今回開発したエアロゲルガラスパネルは、ガラス内部の空気圧を一定にすることで、透光板のふくらみによるゲル層の沈降を防止し、長期に面状のエアロゲル層を維持することが可能となりました。
さらに、エアロゲルの表面に白色粒子を付着させて、その量を変えることで透光性にバリエーションをもたせました。建物内の用途あるいは方位に合わせて日射を抑制し、まぶしさや温度環境を最適に制御できる透光性を選択できます。北海道地区FMセンターでは、5通りの透光性のバリエーションを採用しています。

断面図(透光板の間にゲルを充填し、ガラスで挟んで密封する。)
全体厚み 約45㎜
断熱性 熱貫流率1) 0.6 W/m2K
透光性2) 可視光透過率
日射熱取得率
9~35%
15~40%
  • 1)パネル中央の概略値。一般のガラス製品で 1.7~5.9 W/m2K。
  • 2)透光性のバリエーションに応じて異なる。

開発の背景

脱炭素社会の実現に向けて、ZEB化の推進や、建物のライフサイクルを通じた省エネルギー化を支える環境配慮型の技術が求められている中、窓の高断熱化や自然光利用のニーズが高まりをみせています。
従来、窓ではブラインド等の日よけを併用して日射遮蔽を行うことで、冷暖房の省エネ化を図っていました。今回のエアロゲル素材を用いたパネルの開発により、通常のガラスと同様の取り付けができ、日よけを不要としつつ透光性と断熱性に優れた外装を実現しました。



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