地域・社会貢献活動

竹中工務店はサステナブル社会を実現するため、設計や施工のみならず、建築を通じた幅広い活動を「企業行動規範」に準拠し行っています。とくに、芸術や文化を支援するメセナ活動における、建築文化発信の取り組みは特徴的で、季刊誌「approach」の発行や重要文化財「聴竹居」の運営をはじめ、企業財団の活動と連携することで、社会と良好な関係を築き、地域との共生を図っています。

Ⅰ.当社のCSR、SDGs、メセナの意義・考え方

建物は人々の生命や財産を守る器であるだけでなく、時代を超えて文化に影響を与えるものです。当社は、古くから受け継がれてきた「建築文化」を後世に伝えるため、積極的に情報発信を行い、次世代を担う人材の育成や地域の発展にも貢献しています。このようなメセナ活動は、建築を専業とする当社の企業風土や当社CSRビジョンにより実践され、SDGsにも合致している取り組みと考えています。

当社グループのCSR,SDGs,メセナの意義・考え方

1. 企業行動規範

当社は企業行動規範で事業・企業財団・従業員の社会貢献活動を定めています。

第7条 事業活動を通じ培った「ものづくりの精神や知識、技術」を活かした活動をはじめとし、良き企業市民として積極的に地域社会に参画し、その発展に貢献する。
7-1 学会や教育機関等への人的貢献、当社作品や技術の公開を通じ、知識・技術の普及・発展に努める。
7-2 事業所における活動を通じて、地域社会とのコミュニケーションに努め、良好な関係を維持し、発展させる。
7-3 NPO、NGOとの連携・協働に努める。
7-4 企業財団を通して、建築文化の発信・普及、人材育成・研究助成を行う。
7-5 従業員が実施する社会貢献活動を支援する。

Ⅱ.社会貢献

当社は重要文化財「聴竹居」の保存・公開・活用、季刊誌「approach」の発刊を行うとともに、3つの企業財団「公益財団法人竹中育英会」「公益財団法人竹中大工道具館」「公益財団法人ギャラリーエークワッド」と連携して、建築文化の発信をはじめとするメセナ活動を推進しています。

1. 「聴竹居」

「聴竹居(ちょうちくきょ)」(所在地:京都府乙訓郡大山崎町)は、竹中工務店に在籍していた藤井厚二の第5回目の自邸として1928(昭和3)年に建設された名作住宅です。当社は2016年末に「聴竹居」を取得し、2017年に国の重要文化財に指定されました。
「聴竹居」が所在する大山崎町や地元住民との連携・協力のもと、地域と一体となった建築文化の醸成と発信に努めています。
2018年からは文化庁・京都府・大山崎町のご指導と国庫補助を受けながら、当社は事業主として、災害復旧、保存修理、防災施設、さらに外構庭園等の整備事業を進めてきました。2023年春に一連の整備事業を完了させ、ほぼ竣工当時の姿に甦らせることができまし た。同年9月「本屋(ほんや)」に加え「閑室(かんしつ)」も公開することとしました。また、新たに「茶室(ちゃしつ、下閑室)」の特別公開も行い、3つの建物と庭園の全館を見学できることになりました。

「聴竹居」

2. 季刊誌「approach」

季刊誌「approach」は、建築文化全般にかかわる情報発信を目的として1964年に創刊されました。「approach」という名前には、「当社と建築、都市、社会とが相互にアプローチし、交流することを願う」という、建築史家の村松貞次郎氏の思いが込められています。また、先見性のある特集テーマの選定、創刊当時には故・田中一光氏がアートディレクターを務められるなど、そのデザインクオリティーには高い矜持が受け継がれています。ちなみに現在、巻頭のエッセイは阿川佐和子さんに執筆していただいています。
毎号11,000部を印刷し、当社事業の直接のお客様だけでなく国立国会図書館、国の研究機関、建築・美術の学部がある大学などにも配布し、一般の方へは当社HPにてWEB版を公開しています。
また、海外では2018年にアメリカ議会図書館に、WEB公開以前に発刊された冊子が収蔵 されました。

[ approach ]2023 夏号

3. 企業財団活動

当社はより広範に社会貢献活動を展開するために、以下の3つの公益財団法人を設立し、それぞれの特徴を生かした多彩な文化活動を行っています。
・文化国家に貢献できる人材育成を目的とした「竹中育英会」(1961年設立)
・大工道具の保存や技術の保存継承を目的とした「竹中大工道具館」(1984年設立)
・愉しみながら建築文化に触れることを提案する「ギャラリーエークワッド」(2005年設立)

4. 公益財団法人 竹中育英会

竹中育英会は、1961年に設立されて以来60年以上の永きにわたり、3,600名を超える奨学生を支え、社会に送り出してきました。創立者である竹中藤右衛門の“世のため人のために利益を還元したい”という「感恩報謝」の精神が時代を超えて受け継がれ、多くの卒業生が任意団体である「竹門会」に加入し、社会の様々な分野の第一線で活躍しています。
事業は、学部・大学院と海外留学支援や博士課程特別支援からなる奨学金給付をはじめとして、学生寮運営、文化・芸術振興及び研究助成と多岐にわたっています。奨学金給付は、返済不要で学部や卒業後の進路を問わず、学部から修士課程、博士課程まで支援を継続するユニークな仕組みに基づく運営を設立当初より維持、運営しています。

公益財団法人 竹中育英会

5. 公益財団法人 竹中大工道具館

竹中大工道具館は消えてゆく大工道具を民族遺産として収集・保存し、さらに研究・展示を通じて後世に伝えていくことを目的に、1984年に神戸市中山手に設立された日本で唯一の大工道具の博物館です。2014年に新神戸駅近くに移転し、都市の中の森に佇む木の香りにあふれた建築を訪れる来館は年間5万人を数え、日本の伝統文化に関心がある外国人の姿も少なくありません。
古い時代の優れた道具の保存に始まり、「道具」を使いこなす「人」の技と知恵や心、そこから生まれる「建築」とそれを取り巻く木の文化の素晴らしさを発信するため、様々な企画展や講演会、セミナー、ワークショップなどのイベントを定期的に開催しています。教育支援や建築文化の普及にも力を入れており、地域の子供たちの体験学習、大学からの実習生の受け入れを行っています。
また海外での展示には多数の来場者を迎え大きな反響を呼んでおり、国内では2003年から継続して公開講座「技と心セミナー」を開催し、2023年末で104回、延べ受講者は2,000人を超えました。これからも新しい気づきに満ちた道具との出会いの場となり、伝統のものづくりに新たな刺激を与える存在であることを目指して活動しています。

公益財団法人 竹中大工道具館

2005年、当社東京本店に開設したギャラリーエークワッド(Gallery A4)の名前は、空間あるいは建築を意味する「A3(Aの3乗)」に、時間あるいはAtmosphere(雰囲気)やAmusement(愉しみ)のファクターを取り入れたものです。「建築・愉しむ」を活動の基本とし、年間5~6件の展覧会を開催しています。有識者の講演、対談、ワークショップのほか、街歩き撮影会などの参加型企画、江東区と連携した地域イベント、裏磐梯高原ホテルを中心としたアウトリーチ活動も行っています。来場者は、例年約1万人、オープン以来延べ13万人を超えています。
海外を含む外部機関と連携した企画も増えています。アアルト財団の協力のもと2019年に日本とフィンランドの外交関係樹立100周年を記念して「アイノとアルヴァ二人のアアルト展」を開催し、2021年には公立美術館でも内容を拡大し巡回展を実施しています。この活動が評価され2022年に「西洋美術振興財団」から文化振興賞を授与されました。建築文化をデザインや技術、自然や環境、暮らしや生き方、教育、科学、歴史、街づくりなど、より広い視点で捉えることで、人々の身近な課題と建築との親和性を深め、未来への視座をもって、より豊かな社会形成に寄与することを目指しています。

公益財団法人 ギャラリーエークワッド

7. メセナ活動の社会的評価

文化芸術支援などの企業のメセナ活動は、CSR(企業の社会的責任)の一環として以前にもまして積極的に取り組まれるようになり、社会課題の解決に向けてその活動領域が広がっています。それを受けて、企業の優れたメセナ活動を表彰することで、活動の奨励と発展を図る取り組みが広がっており、公益財団法人の企業メセナ協議会が主催する「メセナアワード」もその一つです。
「竹中大工道具館」が2008年にメセナ大賞部門 伝統技能継承賞、「ギャラリーエークワッド」が2014年にメセナ大賞、2022年にメ セナ優秀賞、「approach」が2016年に建築文化接近賞、「聴竹居」が2019年にメセナ大賞をそれぞれ受賞するなど、建築文化発信に対する当社の取り組みは高く評価されています。
「聴竹居」がメセナ大賞を受賞した際には審査員から「私が注目した点は、活動が企業自体を豊かにしていけるという認識に立って進められていることです。竹中工務店さんの社風あるいは会社の企業文化がにじみ出て、こういう活動を通して自分たちが何者なのか、どのような企業であるのかということを確認されていっているのではないかと思います。これからのメセナ活動は、自分たちの会社をも元気にしていく、自分たちの会社の文化を育てていくという視点がないと成り立っていかないだろうなと思います」とのコメントをいただいています。また、メセナ活動認定制度「This is MECENAT]も積極的に取組んでいます。

メセナ活動の社会的評価
2019年 「聴竹居」メセナ大賞受賞
2019年 「聴竹居」メセナ大賞受賞
これまでの受賞一覧

Ⅲ.地域貢献

竹中工務店では、地域の自治体、学校、NPOなどのステークホルダーの方々とコミュニケーションをとることで、地域の課題やニーズを知り、事業で培った「ものづくりの精神や知識・技術」を活かし、次世代を担う人材の育成と地域の発展に貢献することを目的として、地域貢献活動を推進しています。
具体的には、学会や教育機関への人的貢献、社内教育施設の提供による知識・技術の普及と発展、各事業所における地域社会交流、企業財団との連携といった活動を展開しています。

1. 環境・地域・社会への貢献に対する社内表彰

毎年6月を「竹中グループ環境月間」として、「生物多様性シンポジウム」の開催や啓蒙ポスターの掲示など、様々な活動を行っています。その一環として、「環境・社会貢献賞表彰」があり、「環境貢献賞」とあわせて、地域社会に多大な貢献をした活動に対して「社会貢献賞」を表彰しています。
応募された地域・社会貢献活動の中から、竹中工務店およびグループ会社役員による厳正な審査を経て選ばれた優秀な活動には、竹中工務店社長から「社会貢献活動優秀賞」を授与しています。
表彰式では、賞状と副賞の授与ののち、受賞者から受賞に至った活動内容を紹介していただいています。この様子はwebでリアルタイムに全従業員に対して配信しており、地域・社会貢献へのさらなる啓蒙に努めています。
応募・受賞対象は、グループ会社全体です。

2026年度社会貢献賞表彰竹中工務店社長による社会貢献賞優秀賞の授与(2026/6/2)
2026年度社会貢献賞表彰   竹中工務店社長による社会貢献賞優秀賞の授与(2026/6/2)
受賞者による活動内容のプレゼンテーション(2026/6/2)
受賞者による活動内容のプレゼンテーション(2026/6/2)

2. 地域貢献活動事例の蓄積

社員、グループ会社の地域貢献への関心を増強するため、気軽に活動事例を登録し、他の人の活動内容を見ることができるシステムを作成し、竹中工務店(今は限定)で運用しています。
また、全社員に向けて4半期に一回の頻度で、地域貢献活動事例の登録を促す文書を発行しています。
毎年約300件前後の事例が登録されています。

地域貢献活動事例の登録システム
地域貢献活動事例の登録システム

3. 地域貢献活動事例の紹介

以下は当社の社内広報として掲載された地域貢献活動の一部です。掲載されることで、地域貢献活動の社内共有を図っています。

3年ぶりの「さっぽろ雪まつり」に参加

札幌の冬の風物詩である「さっぽろ雪まつり」が2月4日から大通公園で開催されました。北海道支店は支店関係者が主体的に参加した市民雪像製作に、社会貢献活動の一環として有志を募り支援参加しました。同まつりは新型コロナウィルス感染症の影響で、2年間オンラインでの開催でしたが、今年は会場を設けて実施されました。
「スノーバンブー2023」と題して、子どもたちから高い人気を誇るポケットモンスターのキャラクター3体を3日間かけて製作しました。開催期間中はスノーバンブーの雪像の前で数社のメディアに取材されるなど、注目を集めていました。当支店から参加した有志は子ども連れで参加するなど思い出に残る活動ができたと感想を語りました。
また大通西3丁目と9丁目の2つに設置された市民雪像の会場には、約60基の雪像が並び、世界各国からの観光客が写真撮影するなど大盛況でした。
3年ぶりににぎわいを見せたさっぽろ雪まつりに、支店として貢献できたことをうれしく思います。

支店で製作した「スノーバンブー2023」
支店で製作した「スノーバンブー2023」

「名古屋城天守閣整備事業」作業所で教員・学生に見学会を実施

2022年12月2日、「名古屋城天守閣整備事業」作業所で、名古屋大学・名古屋工業大学・広島大学の教員・学生計17人を対象に見学会を実施しました。名古屋城天守木造復元での木材調達において、名古屋大学の佐々木康寿名誉教授と山崎真理子教授に木材の構造性能試験を委託している関係で見学依頼があったもので、当社営業部の河崎泰了さんと河崎さんが参加している「都市の木質化プロジェクト」に所属する先生と学生も参加されました。 当日は作業所長の久世尚之さんの挨拶のあと、工事担当の上角充広さんと井上実沙子さんが、天守木造復元の概要と木材検品保管における電子管理とBIM連動の取り組みを紹介しました。続いて、3Dプリンターで製作した模型を実際に手に取ってもらい、建て方手順を説明しました。
終了後に山崎教授は「伝統技術を未来につなぐために、御社のメッセージと取り組みに非常に感銘を受けました」と感想を述べられました。

教員・学生に説明する様子
教員・学生に説明する様子

第19回 江東区環境フェアに参加しました

2026年6月7日、東京都江東区の環境学習情報館「えこっくる江東」で開催された「第19回江東区環境フェア」に協賛・参加しました。本イベントは「ゼロカーボンシティ江東区」の実現を目指し、多様な主体が環境への取り組みを発信する場です。
当社は、木材の活用が森林の活性化やCO₂削減につながるという考えのもと、木曽ヒノキを用いた「組子コースターづくり」のワークショップを実施しました。日本の伝統技術である「組子」を通じて、来場者一人ひとりに環境とものづくりの価値を体感いただく機会を提供しました。
当日は130名を超える方々にご参加いただき、用意したキットが終了時刻前にすべてなくなる盛況となりました。リピーターの方や初めて体験される方からは、「ものづくりの楽しさ」や「木の魅力」を実感する声が多く寄せられ、地域の皆さまとのつながりを深める機会となりました。あわせて、「サーキュラーデザインビルド®」や高層木造建築に関する取り組みも紹介し、当社の環境配慮型の建築や循環型社会への貢献に対する関心を高めることができました。
なお、本ワークショップの収益は「緑の募金」に寄付する予定です。
竹中グループは今後も地域社会と連携しながら、環境負荷低減と持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります。

説明書を見ながら確実に組み立てます
説明書を見ながら確実に組み立てます
親子で楽しく
親子で楽しく

子どもたちが考えた「未来のまち」の模型を当社東北支店に展示

2022年7月13日から8月5日までの約3週間、東北支店が入居する仙台定禅寺ビルの1階にある定禅寺ギャラリーで「Dreams come true~未来のまちづくり~七郷小の子どもたちが考えた未来のまち」展を開催しています。
当社は、山形大学と協働で被災地の子どもたちの成長支援を通じた復興カリキュラム「子どもと築く復興まちづくり」を実施しており、プログラムの一つである「復興・まちづくり学習」として、宮城県仙台市立七郷小学校の6年生が総合的な学習の時間で実施している「未来の七郷まちづくり」を2012年より継続して支援しています。
今年は、これまで9年間取り組んできた「未来のまちづくり」の第2期として、津波で被災した旧荒浜小学校周辺に範囲を設定し、荒浜の未来のまちの姿を模型で提案しました。震災から11年が経過し被災地は復興の総仕上げに入るとともに、震災を経験していない子どもたちへの伝承が課題となっています。これからもまちづくりを通した、次世代を担う人材の育成と地域の発展に取り組んでまいります。

定禅寺ギャラリーでの展示の様子
定禅寺ギャラリーでの展示の様子
子どもたちが考えた未来のまち
子どもたちが考えた未来のまち

「小田原市新病院」作業所でTAKANAKAキッズプログラムを開催

2025年11月2日、小田原市新病院作業所でTAKENAKAキッズプログラム「たてもの探検隊2025 小田原市新病院のヒミツをさぐれ!!」を開催しました。日頃入ることのできない建設中の現場で、地域の小学生と保護者計66人が建物の特長を見て触れて感じる体験型イベントです。当社からは作業所、横浜支店、エンジニアリング本部、設計部などがスタッフとして参加しました。今回は大きな建物を地震から守る「免震技術」に着目し、子どもたちが理解しやすい座学を実施。クイズや模型、免震体験車を使って免震の仕組みを体験してもらいました。また場内では、AR技術を利用した手術室探検や、BIMを触って壁の中を探検するプログラムも行いました。参加した小学生からは「免震ゴムを使うと地震の揺れを軽減できることがすごいと思った」「完成したらまた行きたい」「ヘリポートや手術室など普段見ることができない場所が見られてよかった」などの感想があり、地域の医療拠点となる建物を通じて建築に施されている免震技術に興味を持ってもらうことができました。
これからも、子どもたちを含めた地域の皆様に建築の魅力を伝え、次世代を担う人材の育成と地域社会の発展に貢献してまいります。

ヘリポートでの記念撮影の様子
ヘリポートでの記念撮影の様子
免震装置を間近で見学している様子
免震装置を間近で見学している様子
BIMデータを活用したAR体験の様子
BIMデータを活用したAR体験の様子