有明アリーナ
訪れる多様なすべての人が楽しめるアリーナ
-車いす利用者も自由に座席選択ができ、安全な観覧と避難に配慮した東京都の新たなスポーツ・文化の拠点-
- ・東京都による設計施工一括方式による発注です(基本設計:久米設計)
- ・都初のアリーナとして、大会後の利用も見据え、誰もが使いやすい施設を目指しました。
- ・東京オリンピック・パラリンピック2020の最前線となる施設の一つであり、パラリンピックも含めた多様な来場者への対応が強く意識されました。
- ・東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会より発行されたアクセシビリティに関する指針である「Tokyo 2020 アクセシビリティ・ガイドライン」への準拠が求められました。
- ・周辺環境や都市との積極的なつながりをもたせるため、アリーナ隣の運河に面した公園との境界をなくし、一体的な緑のオープンスペースである親水公園となるように外構を計画しました。
設計担当者のコメント
これからの時代に求められる公共空間のあり方を、アクシビリティ・ガイドラインの内容を含めて建築主や関係者と深く議論し、施設計画に結びつけていきました。

車いす利用者が自由に選べ、火災時の避難もスムーズにできるアリーナ席
竹中工務店の独自技術により火災時の避難安全性を向上させることで、車いす利用者席の配置の制約を克服しました。

車いす利用者の観覧場所の選択の自由をより多く持たせるため、全フロアに車いす利用者用の客席と、通常席の利用が難しい方のための付加アメニティ席を計269席設置。とくに2階はフロアのほぼ全周にわたって設置し、席選択の自由度を確保しました。

非常用エレベーターおよび同等の認可を受けたエレベーターをアリーナ四隅に客席最上階まで配置。災害時には、車いす利用者など避難困難者は自衛消防隊員の誘導により、これらのエレベーターで避難が可能です。
観覧エリアごとに避難経路を設定したうえで、避難時の一時待機スペースを設けることにより、車いす利用者を含めすべての人が人の錯綜を避けスムーズに避難可能です。
アリーナ特有のアクセシビリティの課題を解決したトイレとサイン計画
アクセシビリティ・ガイドラインに準拠するだけでなく、観客やオリンピック・パラリンピック選手などの利用者の用途や機能に対するニーズをさらに掘り下げ、15,000人にのぼる多様な人々が利用しやすいデザインを提案し、実装しました。

2017年3月に東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会より発行された「Tokyo 2020 アクセシビリティ・ガイドライン」に準拠しつつも、全8回のアクセシビリティWSで得られる学識経験者、障がい者団体、障がい者スポーツ団体の意見や要望を踏まえ、トイレやサインを中心に新たな提案を行いました。

1種類の多目的トイレを1か所に集中して配置するのでなく、乳幼児やオストメイト対応など数種類の機能別トイレを用意し、それらをアリーナ四隅に一般トイレとは距離を取って配置することで、他の大勢の観客と動線が交わらず、その機能を必要とする方が利用しやすいトイレとしました。

機能別トイレはピクトサインを使用し、海外からの観客を含め誰にも機能が分かりやすいよう配慮しました。

障がい者のみならず海外からの観客や選手を含む多数の人々を直感的でスムーズに誘導できるよう、サインは遠くからでもわかるフォント、文字サイズと文字間隔とし、20mおきに設置しました。
所在地:東京都江東区
竣工年:2019年
延床面積:47,253m2
建築主:東京都
設計:(基本)久米設計(実施)竹中工務店
施工:竹中・東光・朝日・高砂異業種特定建設共同企業体