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「竹中環境シンポジウム2013」を開催しました

イベント

2013年11月7日
竹中工務店

竹中工務店(社長:宮下正裕)は、10月31日(木)、当社東京本店で環境への取組みを推進する活動の一環として、“2025年のスマートシティを想像し建築のあるべき姿・関わり方を提案する”をテーマとした「竹中環境シンポジウム2013」を開催しました。
全従業員を対象に本テーマに則したプランを募集し、応募された66件の提案の中から「従来からあるスマートシティの概念を拡張する」あるいは「スマートシティの新しい方向性を示す」など、際立った視点の7点が審査委員会で選定されました。当日は選考に残った7点の入選提案をプレゼンテーションし社外有識者を含む社内外パネラーとの討議を通じて内容を深めました。
2009年より「竹中環境コンセプトモデル建築コンペ」を実施し、その公開審査を行う環境シンポジウムを2009年~2012年の4年連続で開催し、今回で5回目となります。東日本大震災後、日本の今までの建築・都市の環境に対する考え方や取り組みが大きく再構築されていく中で、このシンポジウム開催を通じて「近未来である12年後の都市とその中にある建築」について考え、社会に発信していきます。

竹中環境シンポジウム2013のポスター

竹中環境シンポジウム2013のポスター

【当日の実施状況】

シンポジウムは、お客様を含む社外有識者の方々約50名を招き、東京本店2階ホールを主会場とし、7本支店とTV会議システムで結び200人以上の従業員が参加しました。今回、当社社長も参加し開催の挨拶を行いました。第一部では、建築家・東京大学名誉教授 内藤 廣氏に「3.11以降の建築・都市のあるべき姿への模索」と題し基調講演を行って頂きました。

開会時の会場

開会時の会場

「3.11以降の建築・都市のあるべき姿への模索」
内藤廣氏 基調講演主旨

これまでとは違うビジョンを持たないといけない時代になっている。1960年代以降やってきた社会システム・行政システムの賞味期限が来ていたことに、3.11東日本大震災で皆が気づき、そして大震災以降ごまかせなくなった。2025年~30年は、超高齢化、人間の脳のシナプスを超える情報革命の時代。そういう中で、我々の想像力がしぼんできているのが問題である。こうした状況から立ち直っていくには、文化の力が必要である。暮らしのそばにいる我々(建築関係者)にこそ都市のビジョンが作れると思う。街とのインタラクティブな関係が必要。いくつかの事例をヒントに新しいビジネスモデルを考えるべき(以降、事例の紹介があった)。人々の生活、技術的進化をキャッチアップできた企業・街だけが生き残る。

講演中の内藤 廣氏

講演中の内藤 廣氏

第二部では、7つの提案発表(プレゼンテーション)で選ばれた4つの優秀作品の発表者と、パネリストの小玉祐一郎氏(神戸芸術工科大学 教授)、内藤 廣氏(前述)、当社設計担当役員の門川清行、生産担当役員の岡田正德と共に積極的な意見交換を行ってもらい、更に良い提案となるよう内容を深めるなど充実した討議が行われました。

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

7つの入選提案(内 最優秀賞1、優秀賞3:表題に記載)の概略は次の通りです。(※敬称略)

(最優秀賞)丘と谷のつながり 垣田淳/東京本店

18世紀初頭には100万人を超え、世界一の都市とも言われた江戸の町は、丘と谷の地形に形成された循環型の田園都市であった。明治以降の近代化により東京は急速な成長と拡大を遂げ、便利な生活を享受出来るようになった代償に、江戸に見られた自然と共生する都市の姿を失いました。3.11以降、改めて自然の驚異を認識すると共に20世紀型の都市システムの限界を知りました。今後人口が縮小してなかで、近代化の都市遺産を継承した都市の未来像を描くことが必要です。丘(山の手台地)と谷(低地・窪地・川)の微地形に形成された江戸の町の骨格に着目し、その骨格を下敷きとした現代におけるコミュニティの拠点づくりと人と自然のネットワークの繋がりを提案します。

共同提案者: 吉岡有美、北原祥三、土屋徹、大橋明子、
落合洋介、廣田聡史

<パネリストのコメント>
東京の地形を生かすことによって、スマートシティ計画が陥りがちな「都市の均質化」を排除している。自然や歴史の地域性を生かした、メリハリのある提案になっている。(小玉)

(優秀賞)スマートチイキコウケン 石塚辰郎/開発計画本部

市民の想いをスマートに直接街に届けて面白い街に変えていく仕組みを提案します。
想いを届ける仕組み<my容積システム>として、全ての市民は毎年一定の“my容積”を託す権利を有する。市民は自分がほしい施設、残したい空間等にmy容積を託し、託されたmy容積は共有・リスト化される。事業者はこの市民のmy容積(想い)を地域貢献施設として実現し、貢献の結果として自らが事業に使える容積を確保する。このような市民の想いをスマートに直接街に届けて面白い街に変えていく仕組みを提案します。

共同提案者: 太田裕之、宮野英里子、高橋輝一、梶村健、
本村英人、伊藤宏樹、津田奈々子、佐藤、
大西陽子、古賀茉季、平田文広

<パネリストのコメント>
仕組みが成り立つには土地の価値が上がることが前提となるが、その価値そのものを決めるのが市民であるというところが面白い。定性的なものを定量的な価値に置き換える考え方についてどういう議論があったのか。(内藤)
(具体的な場所は東京という発表者の発言を受けて)地方の中小都市や生活圏の規模で考えると面白いのでは。(岡田)

(優秀賞)Smart Shared Street 原田慧/開発計画本部

スマートシティの基本理念は、都市の様々な資源やエネルギーを「賢く使う」、つまり「必要な時に、必要な人が、必要なだけ使う(シェアする)」ことだと考えます。私たちはこの考え方を「道路」に当てはめ、車の最大容量を考慮して設計されてきた道路に生じる「余剰車線」を新たな公共空間として捉え直すことを試みました。具体的には「Shared Space」の概念(歩道と車道を分けるゾーンをなくし、車と歩行者が互いに通行を配慮し合うよう促すことで共存化を図る)を発展させ、ICTによる制御が介在した新たな活用・管理の仕組みを構築することで、道路を多様な都市活動の場として利用していく「Smart Shared Street」を提案します。

共同提案者: 黒川賢一、小谷一文、木村祐太

<パネリストのコメント>
現状の道路利用のパラダイムをそのままにして、ビッグデータの活用による効率化と言いう考え方だけでは、単純に過ぎるのでは。(小玉)
例えば、防災的に有利になるなどの裏筋(行政説得のストーリー)があるとより現実的になるのでは。(内藤)

(優秀)循環自律型「里まちホリスティックシティ」 -川崎河原町団地の再生 松岡俊之/東京本店

メガシステム志向=ユークリッド的「直進する時間」のパラダイムから、 オートポイエーシス志向=いくつもの「循環する時間」のパラダイムへ転換する実験のモデルとして、高齢化が進む既存の都市型・高層ニュータウンを、循環自立型の「里まちホリスティックシティ」に再生するプランを提案します。
いくつもの「循環する時間」のサイクルを、既存の団地にゆっくりと時間を掛けながら重ねていく、都市と里のコラージュ。大地のリズム、生命の自律的循環と共に暮らす「里まち」を、周辺地域の住民と一緒になって、継続的に作り上げ、持続させていく。又、日本の農(=食)を都市の問題として、アーバンデザインから捉え直しています。

共同提案者: 伊村達矢、和田安史、横山洋子、子田裕、
朝川真理、小出晋

<パネリストのコメント>
周囲との関係・つながりが無いと生きていけないのでは。(内藤)
リタイヤした人が農業をする=勝ち組のイメージでは無いと思った。いかに勝ち組の理論に仕立て上げられるかがポイント。(内藤)
「オートポイエーシス」+「循環する時間」の概念の重ね合わせに面白みを感じた。(門川)

SMART SELECTION 平野晋一/九州支店

都市の将来予測と照らし合わせつつスマートな選択を繰り返し行いながら少しずつ形づくられていく未来のスマートな街のあり方を提案します。
未利用の屋上スペースや歩行者専用空間となった街路空間に集水、貯水、配水機能を持たせ、コンパクトな浄水拠点を介して街中に水を循環させながらコミュニティ単位で水を管理することで、地区の中に様々な機能がコンプレックスされていながらも、水というインフラに対してメンバーシップ意識を持つことによって、地区のコミュニティが強められていく街の未来像を描いています。

共同提案者: 山根信太郎、森山悟、川建康、藤戸崇、
古賀洋子、安河内小織

<パネリストのコメント>
水の活用による都市気候の改善や水資源の有効利用にとどまらず、水を媒体としたエネルギー依存の軽減、コミュニティの活性化を図るなど、水を媒体にした緻密なシナリオが組まれている。(小玉)

都市のツリーシェアハウス 梅野圭介 鈴晃樹/東京本店

人口減を、都市に自然を呼び戻す契機と捉え、「自然とのつながり」を取り戻すと同時に、「緩やかな人とのつながり」を構築する、シェア型の都市構造の提案です。
エネルギーの面的相互利用、人的資源の相互利用、自然環境と都市の融合を推進し このツリーシェアハウスの構造が分散配置され、「人」「地域」「自然」のつながりを実現し、知的生産性の向上に寄与するスマートシティモデルを提案しました。

共同提案者: 藤本健太郎、花井厚周、和田一樹

<パネリストのコメント>
すぐにでも実現できそうな提案である。超高層でも戸建でもなく、中層で、空が開けた開放的な形態は魅力的である。個の集合だけでなくもっと多様な展開が次に可能なのでは。(門川)

既存建物群におけるスマートエネルギーネットワークの構築 宮﨑貴士/名古屋支店

既存都市のスマートコミュニティ化にあたり、既存建物を如何にしてスマートグリッドのエネルギーマネジメント下に組み入れるか、重要な課題です。
そこで既存建物をできる限り現状のまま生かし、都市の未利用エネルギーを有効利用した効率的なスマートエネルギーネットワークの構築を提案します。
街区ごとにエネルギーマネジメント拠点(EMU:Energy Management Unit)を構築し、スマートビルに必要な蓄エネルギー機能等を集約設置。さらにデータセンターの未利用エネルギーとICTの活用を図り、データセンターから発生する大量の排熱をEMUへ供給し、周辺建物の空調・給湯熱源に利用します。

共同提案者: 水馬一暢、堀田博司、辺見佳祐、浅野哲史、
木村太一、安藤寿孝、金本薫希、鈴木伸幸、
松村武志、田島秀樹

<パネリストのコメント>
現実的でよくできた提案であるが、将来のライフスタイルの変化を見越したビジョンも提案も必要では。(小玉)
将来のデータセンター、セキュリティが情報技術の劇的な変化の中でどうなると思うか。(内藤)
インフラの可視化という重要かつ難しいテーマに対し、真摯に答えている。データの裏付けがあり、実現可能な提案である。(コーディネーター)