「ツインSC梁」を開発し初適用~生産性向上および生産設備機器による床振動対策のための新工法~
2021年02月04日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:佐々木正人)は、生産性向上および生産設備機器による床振動対策のための新工法「ツインSC梁」(特許出願済)を開発し、日亜化学工業鳴門N2棟のプロジェクトに初適用しました。
今回、開発した「ツインSC梁」は、大断面の鉄骨梁の代わりに2本の鉄骨梁の間にコンクリートを充填する工法です。「ツインSC梁」の適用により、工期の短縮を実現し、これまで振動対策として多く採用されている鉄骨鉄筋コンクリート梁と比較して生産性を向上することができました。
施工にあたっては設計と作業所が協業し合理的な仮設計画となるよう検討を行いました。2本の鉄骨梁の間にボルトで固定するふさぎプレート設置用の仮設床(ハイステージ)は、取付を建方前に地上で行い、撤去は下階のスラブ打設完了後に施工ができるため、安全かつ高い生産性を実現しました。


生産施設においては生産設備機器から発生する床振動により、周辺機器やそこで働く人々の環境に影響を与える可能性があります。そのため振動に対しては、躯体や制振デバイスなどによる対策が必要でした。一般的な躯体での床振動の対策としては剛性を高めるために大断面の鉄骨梁を使用することや、剛性・重量の大きい鉄骨鉄筋コンクリート梁とする方法がありますが、生産性が低下することが課題とされていました。
「ツインSC梁」の施工完了後に躯体のみの状態で振動性状を確認しました。タイヤによる加振時においてSC梁部分の床応答加速度は、一般の鉄骨梁部分と比較して約1/5にまで低減でき、振動対策とともに生産性の向上を実現しました。


日亜化学工業鳴門N2棟 工事概要

建物名称 | 日亜化学工業鳴門N2棟 |
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建築地 | 徳島県鳴門市 |
構造種別 | 鉄骨造(柱CFT造) |
階数 | 地上8階 |
建築面積 | 7,810.76m2 |
延床面積 | 45,915.21m2 |
設計施工 | 竹中工務店 |
工期 | 2018年8月 ~ 2020年7月 |
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