中規模改修工事での3R活動
および「オール・ゼロ」の実現

竹中工務店東関東支店ZEB化工事

2017年度3R推進功労者等表彰_国土交通大臣賞受賞概要

プロジェクトは、自社ビルである東関東支店を運用段階のエネルギー使用量をゼロとする建物(ZEB=ゼロエネルギー ビルディング)にする工事であった。受賞者自身が設計・施工し、建物運用も行うことから、受賞者がコントロールできる範囲において社会的責任を果たすため、運用段階の「エネルギー使用量=ゼロ」に留まらず、施工段階の「廃棄物埋立処分量=ゼロ」と「CO2排出量=ゼロ」も含めた、受賞者責任範囲の『オール ゼロ』を達成することを取り組みの柱にした。改修工事は新築工事と違って発生する廃棄物の多くが複合材(組み立てされた物)で、リサイクル率は通常 50~60%程度が限界であるが、今回はあえてこの壁を乗り越えるべく、真の意味でのゼロ・エミッション(埋立処分される廃棄物=ゼロ)にチャレンジした。

施工段階の「廃棄物埋立処分量=ゼロ」

発生する廃棄物を少しでも減らすため、改修予定部分で解体せずに使える部分が無いか視点を変えて見直した。これにより、既存のダクト(一部)や冷媒配管を再利用(リユース)できることが分かり、それに伴って、廃棄物を減らすことができた(リデュース)。
また、新規で取り付ける材料の内、ガラスと外部用ブラインドは、簡易梱包化を積極的に取り入れ、梱包廃棄物の削減を図った(リデュース)。
そして改修工事にとって最大の課題である撤去材のリサイクルについては、中規模改修工事の特徴を巧く使うことで解決した。具体的には次のとおりである。まず、中規模改修工事では撤去部分の全個所を比較的把握しやすい為、撤去材(廃棄物)を工事着手前に全てリスト化した。次にこのリストを基に、受賞者と解体工事会社および中間処理会社とで、それぞれの撤去材について、どのような品目ならリサイクルできる施設があるか、そのためにはどのような撤去方法や分別回収すればリサイクル施設に持ち込んでリサイクルできるか等、原点に立ち返ってリスト化した撤去材を一つひとつ協議することで、リサイクル先を確定していった。その中で、今までリサイクル先が皆無に等しかった品目(ガラス、グラスウール、掃きゴミ)については、撤去開始までの限られた期間でリサイクルルートを探し、搬出方法等を処理施設に確認した。これについては今後のリサイクルルート確立のため、処理費が今までの埋立処分よりも安価になるようにする必要があると考え、実証実験を行って搬出前処理の方法や搬出形態を、処理会社各社と連携して確定していった。

施工段階の「CO2排出量=ゼロ」

施工段階のCO2については、事務所や休憩所のこまめな消灯や省燃費運転の実施などの活動に加え、使用電力の全グリーン電力化や産廃回収車両でのバイオディーゼル燃料(B100)化といったクリーンエネルギー使用を行い、どうしても排出せざるを得なかった CO2は、カーボンクレジットを購入してオフセットすることでゼロとした。なお、今回購入したオフセットクレジットは、東日本大震災の復興と、B100燃料の普及を願い、東北地方での「化石燃料からバイオディーゼル燃料への切り替え」により発生したカーボンクレジットを選択した。

「オール・ゼロ」の達成

これらの取り組みにより、施工段階の「廃棄物処分量=ゼロ」、「CO2排出量=ゼロ」を達成し、運用段階の「エネルギー使用量=ゼロ」とあわせ、「オール・ゼロ」の建物が完成した。