無害化・リサイクル処理の推進
竹中工務店東京本店直轄作業所
2018年度3R推進功労者等表彰_国土交通大臣賞受賞概要
廃石綿の無害化・リサイクル処理ルートの構築
通常排出される産業廃棄物のほとんどはリサイクル処理できるようになってきたが、人体に有害な石綿(アスベスト)が含有された建材は、そのほとんどが、そのまま埋立処分されていた。石綿含有建材は、吹付石綿(レベル1建材)、石綿含有断熱材・保温材等(レベル2建材)、石綿含有成形板(レベル3建材)の3種類に分類され、この内、レベル1及びレベル2建材は飛散性が高い。単に埋め立てただけでは、有害なものが残り続けることから無害化処理が有効だと考えた。
そこで、レベル1及びレベル2建材を無害化し、さらに建設用資材にリサイクルするためのリサイクル処理ルートを探し出して処理を委託し、作業所(建設現場)から排出される石綿含有建材(レベル1及びレベル2)の全排出量のうち68%を無害化・リサイクル処理した。
無害化・リサイクル処理後は、石綿はスラグとして路盤材に、石綿が付着した金属(配管、ダクト等)は鉄筋に再生し、受賞者の作業所も含め多くの建設現場で使用されている。
取り組みのポイント、特長
石綿含有建材のリサイクル施設は、全て関東からは遠方にあるため運搬費が高額となる。特に多くの改修工事では、石綿含有建材の除去量が1~2m³と少ないため、1m³しか搬出しない場合でも1台十数万円と、処分量に対して高額な運搬費を払うことになる。そこで、石綿含有建材を積替保管できる収集運搬会社と連携することで、作業所から発生した少量の石綿含有廃棄物を低料金で回収し、積替保管場所で他作業所から発生した石綿含有廃棄物をまとめ、1台分になったところでリサイクル施設に搬出するという回収ルートをつくった。また東京本店が管轄する関東圏をカバーできるように、北関東方面、東関東方面、西関東方面のそれぞれにより近いリサイクル施設と、積替保管可能な収集運搬会社とを組み合わせて処理委託契約を締結し、東京本店管轄のどのエリアからも、少量であっても搬出可能な体制づくりを行った。これにより石綿含有建材(レベル1及びレベル2)のリサイクル率は直近3年では常に50%を超え、2016年には68%を達成した。
無害化・リサイクル処理ルートを確実に使用するための工夫ポイント
各作業所が計画した産廃処理場に対して安全環境部が全数チェックし、リサイクル処理可能な場合で最終処分場に搬出する計画になっている場合には、リサイクル処理場に計画変更するようにその都度指導し、特殊な理由(休日出荷で対応ができない等)が無い場合は全て無害化・リサイクル処理ルートに変更した。
今後の目標として、現時点では処理が難しい、あるいは処分費が埋立処分よりも高額になってしまう「石綿含有成形板(レベル3建材)」について、同様に無害化・リサイクル処理できる処理ルートを構築しようとしている。