リュースと地産地消建材の活用
北海道種鶏農場6次化複合施設新築工事
2019年度3R推進功労者等表彰_国土交通大臣賞受賞概要
都市部とは異なりリサイクル業者が少ない北海道では、作業所で分別の努力をしてもリサイクル率が上がらない現状がある。
そこで受賞者は、まずはリデュース、 リュースを徹底的に行って廃棄物の排出量を低減し、それでも発生した廃棄物はリサイクル可能な処理会社を選定してリサイクル処理することとした。その結果、優先度が高く、建設業界では取り組みが遅れているリデュース、リュースに重点を置いた3R活動ができた。また、3R(資源循環)以外にもサステナブル社会の実現に重要なCO2削減活動(低炭素)、木材利用等(自然共生)に関する取り組みにも積極的に取り組むべく以下のとおりプロジェクト目標を策定し、設計、作業所(建設現場)、発注者、協力会社が一丸となって取り組んだ。
新築時は3Rのうち特に優先度の高いリデュース、リユースを徹底的に実施
建物の骨組みや外壁、屋根を木構造とし、Building Information Modeling(ビルディングインフォメ ーション モデリング;BIM)を駆使することでミリ単位の検討が可能となり、 廃棄物となるカット端材が一切発生しないよう建物の基本寸法を構造用合板などの使用部材と既製品寸法とを同じにする設計や、製品メーカー工場でのプレカットにより作業所内でのカット端材廃棄物の発生量をゼロにした。また、敷地内にあった砕石や掘削上、残りコンクリート等を可能な限りリュースした。
新築時のリサイクル率目標95%以上の達成
全ての分別カゴにリサイクル方法を表示した分別標示を行い、分別を行う作業員に対して分別教育や、同社の社員と作業員のリーダーによる分別状況確認巡回時の注意喚起、及び巡回結果を打合せや朝礼などで周知を繰り返すことで分別ミスの低減を図った。また、 近年処理困難物と言われている廃プラ(床仕上面養生や掘削士養生のビニルシート類)は、RPF固形燃料にリサイクルできる処理会社を見つけて処理を委託した。その結果、リサイクル率は目標を超える97%を達成した。
解体時は廃棄物の徹底的削減のため解体材のリュース・リサイクル率100%を目指す計画
通常は解体時に解体材がリユースやリサイクルできるような検討はほとんどされないが、本プロジェクトでは、主要部材である木材の解体時リユース率80%以上、解体時にリユースできない部材のリサイクル率100%を目指し、解体時の廃棄物ゼロを計画し施主した。
長期間に渡って炭素を固定する木材の積極的採用
発注者が本プロジェクトに求める想いである、『自然との共生と地元への貢献』を受け、炭素貯蔵効果、省エネ・CO2削減効果、化石燃料代替効果、人主林(木材)資源の効率的な利用を勘案し、長期間に渡って炭素を固定する木材を積極的に採用した。
リデュース・リュースによるCO2の削減
既存駐車場に使用していた砕石は、鋤取り後場内に一時保管し、 本設外構の路盤材への転用(リユース)により、砕石購入量と搬出入による連搬に係るCO2発生量を60%削減(リデュース)した。また、既存駐車場の路盤士や建物掘削士は、埋戻し士等としてすべて再利用(リュース)することで、購入予定の埋戻し上量と運搬によるCO2発生量を100%削減できた。
木材等地元産建材の積極的活用(地産地消への取り組み)
本プロジェクトにおける発注者の想いや計画主旨を木構造材の製造メーカーに説明・調整して、北海道胆振地方産カラマツの間伐材を採用して木骨部材等を製作した。 また、コンクリートを構成する粗骨材と細骨材、建物外周に使用する石材は、地元白老産のものを使用した。
3R活動を確実に実施するための啓発・教育活動、情報発信の実施
新規入場者教育時に分別方法を工事の進捗に合わせ入れ替わるすべての作業員に周知し、同社の社員と作業員リーダーによる分別状況確認巡回を行い、作業員に自覚を促し、巡回結果を朝礼などで発表・注意喚起することで繰り返し教育を行なった。また、本建物を活用した木構造見学会や木構造の専門家による講演会を開催し、北海道や都市部を含めた全国規模での木造化の動きを共有するきっかけづくりを行った。