魅力再生®リニューアル事例-東京タワー-
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魅力再生®
リニューアル事例
-東京タワー-
半世紀にわたる維持保全

東京タワーは、1958年に完成した高さ333mの総合電波塔です。設計は内藤多仲氏・日建設計、施工は竹中工務店が担当しました。完成後も塗装改修や耐震補強などを重ねながら、長期にわたりその役割と姿を守り続けています。この記事では、高さ333mとなった背景や建設・構造の概要、竹中工務店が携わってきた維持保全の取り組みを紹介します。

東京タワーの高さは333m|建設の基本情報

はじめに、東京タワーの高さが333mになった理由と、いつ、誰が建てたのかという基本情報を紹介します。

東京タワーの高さはなぜ333m?

東京タワーの高さは333mです。この数字は語呂合わせではなく、東京地区のテレビ局(VHF7局と将来のUHF局)の電波を、北は水戸、東は銚子、南は沼津、西は甲府まで、関東一円に届けるために必要な高さとして、専門家の検討を経て決まりました。1958年(昭和33年)の開業と333という数字が重なったのは偶然です。

竣工後より、総合電波塔として重要な使命を現在も担っていると共に、東京タワーは東京のシンボル・観光名所として親しまれています。

東京タワーは1958年に完成|施工は竹中工務店

東京タワーは、1957年(昭和32年)6月に日本電波塔株式会社の事業として着工し、1958年(昭和33年)12月に完成しました。設計は、1954年(昭和29年)完成の名古屋テレビ塔や1956年(昭和31年)完成の通天閣も手がけた「塔博士」の内藤多仲氏と日建設計、施工は竹中工務店が担当しています。

名古屋テレビ塔でも内藤氏と竹中工務店は協働しており、その経験が東京タワーにも生かされました。完成した同塔は第1回BCS賞を受賞しています。竹中工務店はその後も、塗装改修や耐震補強などを通じて維持保全に携わり続けています。

高さ333mの東京タワーを実現した建設・構造

ここでは、333mの高さをどのような構造で支え、どのように短い工期で建設したのかを紹介します。

高さ333mを支える鉄骨造の構造

東京タワーは1957年(昭和32年)6月から1958年(昭和33年)12月まで1年半の工期で、地上253mの自立鉄塔(鉄骨量3,600t)の頂部に、さらに80mのアンテナ支持塔(鉄骨量80t)を設置して、送受信用鉄塔として建設されました。

塔体は、鉄骨を三角形に組み合わせたトラス構造です。4本の脚を裾広がりに配置し、自重や風、地震の力を効率よく地盤へ伝えることで、鉄材約7,300tのエッフェル塔の半分ほどの鉄骨量で333mの高さを実現しています。電波塔として頂部にアンテナを載せるため、強風時の揺れを抑えることも設計上の重要な条件でした。

コンピューターが普及していなかった時代に設計された東京タワーですが、その都度安全性の検討を行っており、現在の設計基準に照らし合わせても、十分に頑強である事を確認しています。

約1年半の工期で完成した建設工事

工事は1957年6月に始まりました。1959年からテレビ局のチャンネル増加が予定されていたため遅れは許されず、延べ約22万人が携わり、着工から約1年半で333mの鉄塔を完成させています。

この工期で高さ333mの鉄塔を精度よく組み上げるには、鉄骨部材の加工精度と現場での建方の管理、高所作業の安全確保が欠かせませんでした。特に工場で加工した鉄骨を現場で順に組み上げていく工事は、上に行くほど風の影響を強く受けるため、工程と安全の管理が重要でした。

鉄塔建方時
鉄塔建方時

ロングライフの実践について

東京タワーが60年以上にわたって電波塔としての役割と姿を保ってきた背景には、計画的な維持保全があります。ここでは、竹中工務店が携わってきた塗装改修、耐震補強、日々の維持管理の仕組みを紹介します。

5年周期の塔体鉄骨塗装の実施

鉄骨造の東京タワーにとって、注意すべきなのがさびです。塗膜が傷むと鉄骨の腐食が進むため、定期的な塗り替えが欠かせません。

竣工後の塔体鉄骨の維持保全では、竣工後5年毎に高耐久性塗料による塗装改修工事を実施しています。電波に影響を与えないよう丸太足場を用い、34,000リットルもの塗料はハケによる手作業で塗られています。ここでは作業時の落下物の防止、塗料の飛散防止に特に注意をはらい、事故の絶無に努めています。

金属製の足場は電波に影響するおそれがあるため木の丸太で足場を組み、吹き付けではなくハケで塗るのは、塗料の飛散を防ぎ、営業中のタワーと周辺への影響を抑えるためです。この作業の積み重ねが鉄骨の劣化を防ぎ、長寿命化につながっています。

塔体塗装工事
塔体塗装工事

耐震レトロフィット(外観を損ねることのない耐震補強)

耐震レトロフィットとは、既存の建物を使い続けながら、現在の基準に合うように耐震性能を高める改修のことです。東京タワーでは、地上デジタル放送への対応がそのきっかけになりました。

2003年に、地上波デジタル放送の導入に対応するための諸工事を実施しました。24時間工事体制の中、安全性に十分配慮を行い、営業をしながらでの工事を実現しました。諸工事による荷重増加に伴い、塔体には制振ダンパーの新設、塔体鋼板補強、杭増設工事を実施し、現行の構造基準に合致した耐震レトロフィットを行いました。

補強で特に難しかったのは、地震時にタワー頂部のアンテナ支持塔が大きく揺れる「鞭振り現象」への対策です。放送を止められないため支持塔そのものには手を加えず、支持塔の脚部を塔体につなぐ固定材を制振ダンパーに置き換えることで、揺れを抑えながら地震のエネルギーを吸収する方法が採られました。

制振効果は2011年の東日本大震災でも発揮され、アナログ放送終了後の第2期改修では、頂部アンテナ柱の交換や支持塔の外郭補強、ダンパーの更新・追加によって耐震性能をさらに高めています。

杭増設工事
杭増設工事
塔体鋼板補強
塔体鋼板補強
制振ダンパー
制振ダンパー

維持管理を支える仕組み

塗装や補強といった工事だけでなく、日々の点検と記録の積み重ねが、東京タワーを長く使い続けるための土台になっています。

建物及び設備の維持管理業務は、一般管理業務・運転監視業務・日常点検業務等についての要領・基準等が整備されています。また施設運営支援システム(CAFM)の導入により、履歴管理・エネルギー管理・設備機器管理を進め、運営の高度化・効率化を図っています。

CAFMとは、建物や設備の情報をデータベースで一元管理し、点検や修繕の履歴、エネルギーの使用量などを把握する仕組みです。いつ、どこを、どのように手入れしたかが記録として残ることで、次の改修の判断や不具合の早期発見につながります。

東京タワーは、2008年に50周年を迎えました。開業以来、自立鉄塔として世界一の高さを誇り、東京の風景にはなくてはならない存在です。今後も公共電波の発信を担い続けると共に、東京のランドマークとしてあり続けるために適切な維持保全を実施していきます。

【協力:日本電波塔(株)】

フットタウン
フットタウン

建築概要

用途
送信施設および観光施設
所在地
東京都港区
竣工
1958年12月
建築面積
4,120.34㎡
延床面積
24,088.39㎡
構造/規模
鉄骨造、鉄筋コンクリート造(フットタウン)/地下2階、地上13階
建築主
日本電波塔(株)
設計
内藤多仲
施工
竹中工務店
維持管理
日本電波塔