資源循環

資源循環に寄与する当社のソリューションをご紹介するとともに、資源循環の概要や企業に対応が求められている背景、具体的な取り組み内容についても解説します。

資源循環に寄与する当社のソリューション・取り組み

当社は従来のスクラップ&ビルドの手法から、サーキュラーエコノミー型の「サーキュラーデザインビルド®」にシフトしています。建築物の設計および施工段階において、リユース・リサイクル建材の活用や、将来的な解体を見据えた設計手法の検討などを推進します。

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資源循環に寄与する当社のソリューション・取り組み

資源循環とは

資源循環とは、製品や資源を「使い捨てる」のではなく、再利用や再資源化を行うことで限りある資源を有効に活用し、廃棄物の発生を最小限に抑えるという考え方・取り組みのことです。資源の節約と廃棄物の削減を同時に実現することを目的としており、持続可能な社会の実現に欠かせない概念とされています。

近年、世界的に資源の枯渇や廃棄物の増加が深刻化しており、企業においても社会的責任の一環として、資源循環を考慮した製品設計や事業運営が求められています。
資源循環とは

サーキュラーエコノミーとの違い

「サーキュラーエコノミー(循環経済)」とは、資源を効率的に循環させることで、環境への負荷を抑えながら持続可能な社会と経済成長の両立を目指す経済システムのことです。

単なる資源循環に留まらず、経済的観点も含まれた概念であり、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とした「リニア・エコノミー」や、リサイクルやリユースによって資源寿命を延ばす「リユース・エコノミー」よりも、さらに発展させたモデルといえます。

サーキュラーエコノミーでは、生産の初期段階から再利用や再資源化を前提に設計・計画を行います。そのため、新たな資源投入を最小限に抑えつつ、既存資源を効率的かつ循環的に活用することが可能です。また、環境への配慮だけでなく、製品やサービスにも付加価値をもたらすこともできます。

循環型社会との違い

「循環型社会」とは、資源の消費を可能な限り抑え、環境への負荷を最小限に留めることを目指した社会のあり方を意味します。

製品などが廃棄物として処分されることを抑制しつつ、仮に廃棄物として処分された場合も再利用・再資源化し、最終的にどうしても活用できないもののみ適切に処分するという持続可能な社会の実現を目指す考え方です。

資源循環が求められる背景

資源循環が求められる背景として、以下のような点が挙げられます。

・天然資源の枯渇リスク
・環境負荷の拡大
・SDGsへの取り組み

ここでは、それぞれの要点についてわかりやすく解説します。

天然資源の枯渇リスク

資源循環が求められる背景には、天然資源の枯渇リスクが深く関わっています。当然ながら、地球上に存在する多くの天然資源は有限であり、無限に使えるものではありません。特に鉄鉱石や銅、金といった主要な地下資源は、かつて環境省がまとめた資料によると100年以内に採掘が困難になる可能性があると示唆されています。

したがって、限られた資源を持続的に利用していくためにも、一度使用した資源を再利用・再資源化する資源循環の取り組みが重要視されているのです。

環境負荷の拡大

環境負荷の拡大も、資源循環が求められる理由の1つです。現代では、廃棄物の増加に伴って最終処分場の逼迫・有害物質の漏出などが深刻な環境問題として発生しています。

また、廃棄物を焼却する際には温室効果ガスが排出されるほか、埋め立てた場合でも有害物質が流出するリスクがあるため安全性の確保も求められています。加えて、プラスチック廃棄物の不適切な管理が海洋汚染を引き起こし、生態系へ悪影響を及ぼすリスクも資源循環の必要性を高めている一因だといえるでしょう。

SDGsへの取り組み

資源循環は、国連が提唱するSDGsへの取り組みの一環としても重要です。特に「ゴール12(持続可能な生産・消費)」では、2030年までに天然資源の持続可能な管理と効率的利用を達成することが掲げられており、資源循環の推進は当目標を実現するための重要な取り組みとして注目されています。

資源循環を実施するための「3R」について

資源循環を実施するためには、「Reduce(リデュース)」「Reuse(リユース)」「Recycle(リサイクル)」の「3R」を取り入れることが有効とされています。
資源循環が求められる背景

Reduce(リデュース)

「Reduce(リデュース)」とは、製品製造時に使用する資源量を抑えることや、廃棄物そのものの発生を最小限に留めることを指します。また、単に資源の投入量を減らすだけでなく、廃棄物を減らすために耐久性の高い製品を提供したり、製品寿命を伸ばすためのメンテナンス体制を整備したりすることなども含まれます。

Reuse(リユース)

「Reuse(リユース)」とは、使用済みの製品やその部品を繰り返し使用することで、資源の消費や廃棄物の発生を抑えることを指します。また、単にモノを再使用するだけでなく、再使用を前提に設計された製品の提供、使用済み製品の修正や状態診断を可能にする技術の開発、さらには一度使用された製品を部品まで分解・再構成して新品同様に再生する「リマニュファクチャリング(再製造)」なども、Reuseの一環とされています。

Recycle(リサイクル)

「Recycle(リサイクル)」とは、廃棄物や不要となった製品を回収し、それらを原材料やエネルギー源として再利用することで、新たな資源の消費を抑えることを指します。また、リサイクルする行為だけでなく、リサイクルのしやすさを考慮した製品の設計、効率的な使用済み製品の回収体制の構築、高度なリサイクル技術や装置の開発などの取り組みも含まれます。

企業ができる資源循環の具体的な取り組み

企業ができる資源循環の取り組みには、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは資源循環に向けた取り組みの具体例について、「3R」の観点からご紹介します。

Reduce(リデュース)の具体例

企業が取り組める「Reduce(リデュース)」の具体例としては、まず製品設計の段階から使用する資源の量を抑えるために工夫することが挙げられます。例えば、耐久性や修理のしやすさなどを考慮して設計し、製品の使用時間を延ばすことで、結果的に資源の使用を抑えることが可能です。

また、製造工程においては、使用する材料や部品を可能な限り少なくし、同時に原材料を無駄なく効率的に活用する工夫が求められます。より身近な具体例だと、ペットボトルやビンの軽量化(原材料の削減)などが挙げられるでしょう。加えて、企業自らが耐久性の高い製品や省資源化設計の製品を選定することで、資源消費の抑制と廃棄物削減につなげることもできます。

Reuse(リユース)の具体例

企業が取り組める「Reuse(リユース)」の具体例としては、まず製品の設計段階から再使用を前提にした構造や素材の選定を行い、本体や部品を分解・再使用しやすいように配慮することが挙げられます。また、使用済み製品を回収し、本体や部品を再生することで、新品同様の状態に再製造する取り組みも有効でしょう。

加えて、使用済みの製品・部品・容器などを効率的に回収、再使用するための仕組みを構築することも含まれます。例えば、アパレル業であれば店舗内に不要衣服の回収BOXを設置し、回収した衣服を緊急災害支援品として再使用したり、燃料や素材として活用したりなどの取り組みが挙げられます。

Recycle(リサイクル)の具体例

企業が取り組める「Recycle(リサイクル)」の具体例としては、まず製品設計の段階で、リサイクルがしやすくなるような工夫を施すことが挙げられます。また、製造時にリサイクルされた原材料を積極的に使用することで、新たな資源の使用量を削減する取り組みも有効です。例えば、プラスチック包装容器の製造に再生樹脂などを使用し、リサイクルしやすい容器を開発するなどが当てはまります。

加えて、使用済みとなった自社製品を回収し、リサイクルプロセスにつなげる仕組みを整備することも企業が実施できる重要な取り組みの1つです。

日本や世界での資源循環への取り組み

資源循環に関する取り組みは企業だけでなく、日本や世界でも実施されています。ここでは、日本・世界における資源循環への取り組みについて解説します。
資源循環を実施するための「3R」について

日本における資源循環への取り組み

まずは、日本における資源循環への取り組みをご紹介します。

循環型社会形成推進基本法

「循環型社会形成推進基本法」とは、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷を可能な限り低減させた循環型社会の形成を推進するための法律です。基本原則として、資源の循環的な利用・適正な処分にあたって、次のような優先順位が規定されています。

1. 循環資源・廃棄物発生の抑制(発生抑制:リデュース)
2. 循環資源を製品または部品として利用する(再使用:リユース)
3. 循環資源を原材料として使用する(再生利用:マテリアル・リサイクル)
4. 循環資源を燃焼し、その熱を利用する(熱回収:サーマル・リサイクル)
5. 環境への負荷が低減されるように適正に処分する(適正処分)

循環資源を上記の優先順位に則って処理することで、環境への負荷を可能な限り低減することを目指します。

循環経済パートナーシップ(J4CE)

「循環経済パートナーシップ(J4CE)」とは、循環経済への理解を深め、企業や団体の取り組みを促進することを目的とした官民一体の施策です。現在、200の企業、21の団体が参加しています(※2025年6月現在)。

具体的な取り組みとしては「日本の先進的な循環経済に関する取り組み事例の収集、国内外への発信・共有」「循環経済に関する情報共有やネットワークの形成」などが挙げられます。公式Webサイトでは、循環経済への理解や取り組みを促進するための事例紹介が随時発信されています。

地域循環共生圏(ローカルSDGs)

「地域循環共生圏(ローカルSDGs)」は、各地域が主体的に課題を解決し続けるとともに、得意分野を活かして互いに支え合うネットワークを形成することで、地域と国全体の持続可能性を高めていく「自立・分散型社会」を目指す取り組みです。

この概念は、2018年に国の第5次環境基本計画において提唱されました。地域が主体となって課題解決に取り組み、他地域と連携することで持続可能な社会の実現を図ります。また、地域における環境・社会・経済の課題を同時に解決する事業を創出することから「ローカルSDGs」とも呼ばれています。

資源有効利用促進法(資促法)

「資源有効利用促進法(資促法)」とは、循環型社会の形成を目指し、3R(リデュース・リユース・リサイクル)の取り組みを総合的に推進するための法律です。特に事業者に対して3Rの実施が求められる業種や製品を指定し、取り組むべき内容を定めています。

具体的には、指定された10業種・69品目に対して、以下のような規定が設けられています(※2025年6月時点)。

・製品の製造段階における3Rの対策
・設計段階における3Rの配慮
・分別回収のための識別表示
・事業者による自主回収、リサイクルシステムの構築 など

これらの規定により、大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済システムから脱却し、資源を効率的に利用する循環型社会への移行を後押ししています。

世界における資源循環への取り組み

続いては、世界における資源循環への取り組みをご紹介します。

バーゼル条約

「バーゼル条約」とは、1989年にスイスのバーゼルで採択され、1992年に発効された国際条約です。本条約では、有害廃棄物の国際的な移動を規制し、特に発展途上国への不法投棄を防止することを目的としています。

日本では1993年に本条約に加入しており、有害廃棄物の輸出入には経済産業大臣の承認や、環境大臣の確認が必要とされ、違反した場合には罰則が科されるようになりました。また、バーゼル条約は定期的な改正も行われており、近年は電子機器廃棄物やプラスチック廃棄物に関する規制も強化されています。

アジア太平洋3R推進フォーラム

「アジア太平洋3R推進フォーラム」とは、2009年に日本の提唱により設立された国際協力のための枠組みのことです。アジア太平洋地域における3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進と、循環型社会の構築を目的としています。

具体的には、3Rに関するハイレベルな政策対話の促進、各国における3Rプロジェクト実施への支援の促進、3R推進に役立つ情報の共有、関係者のネットワーク化などが進められています。

まとめ

資源循環は、限りある資源を再利用・再資源化することで、廃棄物の排出を最小限に抑え、持続的な社会を目指す大切な考え方です。その背景には、資源の枯渇や環境負荷の増大などのほかに、SDGsの達成目標などがあり、企業としても社会的責任を果たすうえで重要な取り組みと位置づけられています。

また、企業が事業活動を持続的に展開していくためにも、資源の適正な管理と循環の推進は見逃せない観点です。ぜひこの機会に、資源循環に対する理解をより一層深め、自社の事業活動において実践可能な施策や方針の策定などを検討してみてはいかがでしょうか。