超高層ビルで自然換気を組込んだ高性能外皮を実現-自然換気一体型コンパクトダブルスキン-
Solution
超高層ビルで自然換気を組込んだ高性能外皮を実現
-自然換気一体型コンパクトダブルスキン-
コンパクトなサイズの自然換気一体型外装システム

「自然換気一体型コンパクトダブルスキン」は、厚さ約300mmというスリムな空間に自然換気機構と電動ブラインドを一体化させた高性能な外装システムです。

ブラインドをガラスの間に内蔵することで、効率よく日射を遮りつつ断熱性を高めます。室内への熱の流入を抑えるとともに、外気を自然に取り込んで換気を行うしくみも備えています。さらに、放射空調と組み合わせることで省エネ性と快適性の両立が可能です。

自然換気一体型ダブルスキン
自然換気一体型ダブルスキン
執務室から見た外装
執務室から見た外装

手動開閉の自然換気システムで執務者自ら環境整備

「自然換気一体型コンパクトダブルスキン」は窓のフレーム(カーテンウォール)に、手動で開閉できる自然換気パネルを組み込んでいます。外気の取り込みに適したタイミングになると、室内の「自然換気ランプ」が点灯して知らせてくれるしくみです。

自身の判断で換気を操作できることで、快適な空間をつくれる実感が生まれ、満足感や安心感にもつながります。

自然換気パネル
自然換気パネル
自然換気ランプ
自然換気ランプ

一般的なダブルスキンのしくみ

ダブルスキンとは、2枚のガラスの間に空気層(キャビティ)を設けた外装システム構造で、断熱性や遮音性を高める緩衝空間として機能します。夏はキャビティ内にこもった熱を外へ逃がして冷房の負荷を軽減し、冬は逆に熱を閉じ込めることで暖房効率を高めます。

外気との間にワンクッションをつくることで、年間を通じて快適な室内環境を保てるのが特長です。当社ではこの構造に自然換気のしくみを組み込むことで、より省エネで快適性の高いダブルスキンを実現しています。

ダブルスキンの特徴や効果

1. 断熱性と遮熱性が高く、冷暖房の負荷を軽減できる

ガラスの間に空気層を設けることで外気温の影響を和らげ、室内の温度を安定化します。夏は外からの熱を遮り、冬は室内の暖かさを逃がしにくいため、冷暖房の効率が向上します。

2. 太陽の日差しを遮る

中間層に設けたブラインドや反射素材が太陽光をやわらかく拡散しながら遮ります。直射日光の眩しさや室内の温度上昇を防ぎ、自然光を心地よく取り入れられます。

3. 防音効果がある

二重のガラスと空気層が音の伝達を抑えることで騒音を軽減します。外の交通音や周囲の雑音が入りにくくなるため、静かな環境が求められるオフィスなどに最適です。

4. ガラス越しに外を見渡せるため、開放感がある

全面ガラスを通して外の景色が広がるため、閉塞感を与えません。自然光と眺望を活かした明るく開放的な空間づくりが可能になります。

5. 自然換気で快適性が向上する

ダブルスキンの構造に自然換気のしくみを加えることで外の空気を取り入れながら室内の温度・湿度を調整できます。空調だけに頼らず快適な環境を保てるのが特長です。

ダブルスキンで夏も冬も過ごしやすく【横浜市役所の事例】

横浜市役所では、建物の向きごとに最適な外装システムを採用し、夏の暑さや冬の寒さといった外の影響を最小限に抑える工夫をしています。外気の乱れをシャットアウトすることで、空調には直接風を当てずに温度を調整する「放射空調」が可能になりました。

さらに、湿度と温度を別々に制御できる「デシカント空調機」と組み合わせ、省エネと快適性を高いレベルで両立させています。

こうした省エネ技術の導入と丁寧な運用によって環境性能評価「ZEB Ready」の認証を取得しました。実際の運用においては、基準値と比べて56%のエネルギー消費削減を達成しています。

基準階オフィスの環境・設備計画
基準階オフィスの環境・設備計画
エネルギー消費量
エネルギー消費量
ZEB Ready認証
ZEB Ready認証

まとめ

自然換気と高断熱性を兼ね備えたダブルスキンは、省エネ性と快適性を両立する、これからの時代に求められる外装技術です。

当社は、持続可能な建築を実現するため、技術革新と環境配慮を両立させた外装システムの開発に今後も取り組んでいきます。

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