-メタファーム®-
食品リサイクルの重要性が高まるなか、生ごみをどう処理し、活用していくかは多くの施設にとって大きな課題です。従来は外部の処理施設に委託して処理する方法が中心でしたが、コストや環境負荷の増大といった問題が避けられません。
このような課題や問題を解決するために生まれたのが、当社の「メタファーム®」です。本記事では具体的な特徴やしくみ、導入効果についてわかりやすくご紹介します。
メタファームとは?
メタファームとは、建物内で生ごみをバイオガスに変え、電気や熱として活用する建物完結型バイオガスシステムです。建物内でエネルギー源として利用するだけでなく、生ごみを運搬・処分する際に発生していたCO₂排出やコストも削減できます。
商業施設やホテルでは、毎日大量の生ごみが発生しています。しかし、リサイクル率は食品小売業で約51%、外食産業では約35%にとどまっており(令和3年度・農林水産省調べ)、国が掲げる目標を達成するにはさらなる取り組みが必要です。現状では、リサイクルされなかった多くの生ごみが外部の処理施設に運ばれ、処理されています。
「メタファーム」を導入することで、これらの課題を解決に導き、経済的に生ごみのリサイクルと二酸化酸素の削減を図れます。当社は生ごみリサイクルを通じ、循環型経済社会への取り組みを推進するお客様へのソリューションとして、 メタファームをご提案します。
メタファームの特徴
従来は、生ごみ処理と厨房除害施設での排水処理が別々に行われていましたが、メタファームは、これらを一体化して処理することで、生ごみ・排水中有機物分を経済的にリサイクルするシステムです。
従来の処理フロー
メタファームの処理フロー
メタファームには以下の特長があります。
生ごみと厨房排水を一体的に処理
これまで、生ごみと厨房排水は別々に処理されてきました。生ごみは外部の処理施設に運ばれ、厨房排水は除害施設で浄化する、といった具合です。
メタファームは、この二つを一つのしくみでまとめて処理できるようにしました。つまり、生ごみと厨房排水の処理を組み合わせて効率的に処理し、その中に含まれる有機物を資源として活用します。
効率的なバイオガス生成
メタファームでは、生ごみや厨房排水の中にある有機物を「メタン発酵」という方法で分解し、バイオガスを作り出します。生ごみだけではなく、厨房排水中の有機物も原料にできるため、ガスの発生量が大幅に増えます。
発生したバイオガスは、電気や熱として建物内で活用でき、エネルギーを効率的に循環させることが可能です。
厨房除害施設の負荷を低減
厨房排水は固形物が多く含まれ、処理が大きな負担になります。メタファームは厨房排水中の固形物を先に回収し、バイオガスの原料として使います。除害施設に入る固形物が減り、汚泥の発生量も大幅に減少します。メタン発酵後に残る消化液も既存の施設で処理できるため、無駄なく安全に処置させることができます。
衛生的で省力化につながるシステム
生ごみは水分が多く、建物内であっても運搬時には作業員の負担が大きくなります。また、臭いや汚れといった建物内の衛生環境にも悪影響を及ぼす可能性があります。メタファームは生ごみを破砕するディスポーザーと破砕した生ごみを配管で移送します。そのため移送における衛生面の質が向上します。
また、運搬作業が不要になることで作業時間の短縮や労働環境の改善にもつながります。このように、現場の効率化と環境へのやさしさを同時に実現できるのが強みです。
メタファームの効果
大阪のあべのハルカスでは、当社の生ごみリサイクルシステム「メタファーム」が稼働しています。ここでは、1日におよそ2トンの生ごみと600㎥の厨房排水を処理し、約300〜350Nm³のバイオガスを生み出しています。
さらに、処理の過程で出る汚泥を1日あたり約170kg削減しています。生み出したバイオガスのエネルギー利用や汚泥の発生量の削減による処部処理の削減効果により年間で約270トンのCO₂排出削減につながっています。発生するエネルギーはメタファームの運転に必要な量を上回っており、システム自体が自立して動くことができます。余剰分のエネルギーは送電端末換算で10kw強の発電が可能な量となっています。つまり、建物から出る生ごみをエネルギーに変えながら環境への負担も減らす、持続可能なしくみが実現しているのです。
このようにメタファームは建物内で出た生ゴミをエネルギーに変え、環境負荷を効果的に低減する循環型の取り組みとして評価されています。
導入実績
あべのハルカス(大阪府大阪市;2014年稼働開始)
生ごみ日発生量:3トン 厨房排水量:700㎥(計画時)
セブンパーク天美(大阪府松原市;2021年稼働開始)
生ごみ日発生量:1.2トン 厨房排水量:250㎥(計画時)
まとめ
メタファームは、商業施設やホテルから出る生ごみや厨房排水中の固形分を原料に建物内でまとめてメタン発酵処理し、エネルギー源としてリサイクルするシステムです。発生したガスは電気や熱として活用でき、運搬や処分にかかっていたCO₂排出やコストを大きく減らすことができます。
衛生的で作業の負担も軽くなることから、環境に配慮した持続可能な施設運営を考えるうえで注目されているしくみです。限りある資源を無駄にせず、環境負荷を抑えながら暮らしを支えるための一つの対策といえるでしょう。
