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ソリューション

新柏クリニック

 

 

 

新柏クリニック

千葉県柏市の新柏クリニックは120の人工透析ベッドを持つクリニックです。
「私たちは、最善の医療を、最良の環境で提供することにより、患者様に貢献します」という運営理念のもと、①患者を癒す、②職員に愛される、③地域を潤す、という3つの視点を大切にし、患者さんがゆったり安心して過ごせるように、緊張不安の低減、スタッフの満足、自然環境への貢献などを課題としていました。
他にないクリニックを作りたいと考えていく中で、身体の浄化だけでなく心の浄化もできる「森林浴のできるクリニック」というコンセプトが浮かび上がり、地域の豊かな自然と調和する耐火集成木材の燃エンウッド®を活用した初の医療施設として2016年にオープンしました。

①患者を癒す

開放感がある燃エンウッド®の透析室

燃エンウッド®の柱と梁で構成し、南面に大きな窓を配した8m×56mの柱のない大空間は、医師や看護師にとっては患者さんを見守りやすく、患者さんには開放感をもたらします。

燃エンウッド®について(新しいウィンドウでページを開く)

 

 

 

 

 

木の肌触りを感じられ、プライバシーを確保したベッド配置

ベッド間隔は2メートルを取り、車いすやカートの出入りにも十分で、患者同士の見合いがない適度な距離を確保したプライバシーの高い環境となっています。
木の香りや肌触りを感じながら透析ベッドに横になれば、燃エンウッドの梁や天井からウッドデッキ、窓の外の樹木へとつながる眺めがまるで森の中でハンモックに横になっているようなくつろぎを与えています。

 

 

 

看護しやすく患者にも優しい照明計画の追及

ベッド上の処置灯やベース照明は、看護に十分な照度を確保する一方で、寝ている患者さんにまぶしくない最適な照明計画とするため、スタッフと設計者、施工担当者が原寸モックアップを使って照らす位置やアクリルの透過度などを検討しました。

 

 

 

アート・サインで彩った楽しみのある治療空間

木以外にも自然の要素をデザインモチーフに加えました。森林の中の「たゆむ水」「ふりそそぐ光」「湧き出る水」など、水や光をモチーフとしたアートワークやサインを各所に設置し、エントランスから透析室に至る道のりに彩りと変化を与えています。

②職員に愛される

多職種が共に利用し、リフレッシュできるスタッフゾーン

スタッフが働きやすい環境を整えることこそが、より良い医療サービスの提供につながる、という思いから、スタッフゾーンも窓に面した快適な環境を整備しました。 スタッフは患者さんや家族の視線からも解放されリフレッシュしたり、多職種で共用することで、スタッフのコミュニケーションを活性化しています。

3D疑似体験が可能な「VRuno®」による意思疎通

バーチャル・リアリティで建物の様子を容易に疑似体験できる「VRuno®(ブルーノ)」を使用し、設計・施工段階でのスタッフとの合意形成をスムーズにしました。3Dによる確認を経ることで、スタッフのニーズをより多く汲み上げ、スタッフが納得した上で計画を進めることができました。ものづくりのプロセスに積極的に参画した経験は、竣工後のクリニックへの愛着へとつながっています。

③地域を潤す

フィットネスガーデン「めぐりの庭」

クリニックの南側に整備したフィットネスガーデン「めぐりの庭」では、豊かな緑の中に階段やいろいろな傾斜のスロープを配置し、透析患者さんのリハビリや糖尿病患者さんの運動療法の場であると同時に、患者さんのご家族も一緒に楽しく散歩ができます。

 

 

 

軒の深い縁側を持つ木造建屋を休憩ポイントとして、5mごとに水紋サインと小鳥の足跡サインがあり、歩こうという意欲を増す仕掛けになっています。散策路は転倒に配慮してゴムチップ舗装としました。
統一感のあるまちづくりの一貫として、近隣住民も利用可能な語らいベンチを設置しており、たくさんの方が緑を楽しみながらクリニックやめぐりの庭の周辺を散策しています。

 

 

 

環境改善が患者さんに与える影響の検証

新しいクリニックと旧クリニックとで、環境の変化が患者さんにどのような影響を与えたのか、アンケート調査を行いました。
結果、移転前の建物よりも緊張や不安が低いことがわかりました。
直接的な記述でも、木のぬくもりを体で感じる。心がなごむ、香りが良く、病院にいる感じがしない。木造の温かさで、長時間の苦痛がやわらぐ。などのコメントが寄せられ、「森林浴のできるクリニック」のコンセプトが実現していることが確認できました。

 

 

 

新柏クリニックが燃エンウッドにたどり着いたわけ

透析医療を主にした診療所(透析患者数約300名)を、漠然とそろそろリニューアル、建て替えの時期かなと考え、見学や設計を始めていましたが、当初は今までのクリニックとあまり変わり映えのしない計画となっていました。
もっと患者さんがゆったり安心して過ごせる空間があるのではないか、インパクトがあって他施設と差別化できる仕掛けはないものかと迷いに迷っていた時、ある日の午後7時30分、あるテレビ番組の中で燃エンウッドが紹介されていました。その木の柱や梁の圧倒的、開放的なスケール感、これしかないとひらめいたのが燃エンウッドとの出会いでした。
それまでの計画を白紙に戻し、圧倒的な木の空間に浸れる透析空間(森林浴のできる透析室)、癒される待合室や当院なりの個室感のある空間を追求していきました。
その結果できあがった木質系の医療施設は、患者さんの通院・治療に対する陰性気分が低いという効果をもたらしました。他施設との差別化・アピール度向上にもつながり、求人広告も不要なほど看護師の応募も増え、患者さんにもスタッフにも、魅力を感じてもらえるクリニックが実現できました。

医療法人社団 中郷会 新柏クリニック
元理事長 木村 靖夫様

 

新柏クリニック

建築地 千葉県柏市
建築主 医療法人社団 中郷会
用途 診療所(人工透析・120ベッド)
構造 RC、S、W(燃エンウッド®
階数 地上3階,棟屋1階
延床面積 3,131㎡
工期 2015年1月~2016年1月
設計施工 竹中工務店
受賞 医療福祉建築賞2018、
グッドデザイン賞2017他