成長戦略

グループ成長戦略

まちの機能と価値を高めていく

世界に共通する喫緊の課題の一つとして、急速な気候変動を伴う地球環境の変化が挙げられます。それは激甚化する自然災害の増加や生物多様性に迫る危機、エネルギー問題など輻輳したかたちとなって人類に解決を迫っています。
当社はサステナブル社会の実現に向けた取り組みとして環境コンセプト「人の感性や創造性を高め、自然を活かし、ライフサイクルCO2ゼロからカーボンニュートラルな社会の実現を目指す」ことを掲げ、人と自然をつなぐ活動を進めています。自然災害への備えやインフラの整備などのハード面だけではなく、未来社会のありたい姿を描いて、まちの機能を高めていくことこそが、当社が目指す姿です。今後もグループの事業領域をまちのライフサイクル全体に重ね合わせ、まちの価値を高めていきます。

重点的に進めている取り組み

持続可能な建築・まちづくり

当社が目指す「まちづくり総合エンジニアリング企業」の中核的な役割を担う「まちづくり推進室」を中心に多様なステークホルダーとの協業や「まち」の課題への取り組みを通じて持続性のある社会への変革に貢献していきます。
また、国産木材の活用による木造建築・木質建築の推進、カーボンニュートラルに貢献するZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の拡大、周辺環境を取り込み利用者や地域の方々の感性を刺激して交流を促すウエルネス建築の推進などにも積極的に取り組んでいます。



環境との調和

当社は、2023年にサステナブル社会の先を見据えた「竹中グループ環境戦略2050」を策定しました。これまでの環境建築を中心とした活動をブラッシュアップし、「ホールライフカーボン『マイナス』建築」、「サーキュラーデザインビルド®」、「生物多様性が向上するプロジェクト」をそれぞれ標準化することで環境に貢献することを、2050年におけるゴールと定めました。
これからも事業を通じて、健康・快適で豊かに暮らせる社会、脱炭素社会、資源循環社会、自然共生社会の実現に貢献するため、ステークホルダーとの対話を通じてまちの課題を共有・解決していきます。
また、TCFD提言への賛同やSBT認定取得などを通じて、気候変動が当社グループの事業に及ぼすリスクや機会を分析・把握するとともに、それらの対応について、情報開示に努めています。
TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)についても2023年9月の最終提言としての枠組みが公表され、竹中グループにおいても、取り組みを開始しています。情報開示の高まりは、ESRS(欧州サステナビリティ報告基準)が公表されるなど、地球環境への取り組みに加え、ESG全般にかかわる範囲へと拡大しています。
環境戦略を着実に推進しながら情報開示への迅速な対応を図るため、新たにサステナビリティ推進部を設置するなど体制の整備も進めながら、積極的に対応していきます。



森林グランドサイクル


働き方・生産性改革

改正労働基準法による時間外労働上限規制の適用を2024年4月に控え、同規制を前提とした事業計画の策定、適正なプロジェクト工期の確保、柔軟な働き方を可能にする人事制度の制定と展開などの活動を行っています。
一方で、今後とも一層のワークライフバランスの向上を図り「未来につづく魅力ある建設業」を実現するため、BIM(Building Information Modeling)の活用はもちろんのこと、データ駆動型の業務プロセス(D3B:Data Driven Design Build)への転換や事業全体のデジタル変革による抜本的な生産性改革を推進しています。また、減少傾向が続いている建設技能者の確保に向けた支援を継続するとともに、建設機械の高度化やロボット技術による労働環境改善にも取り組んでいます。

BIMを活用した作業所での生産性改革の取り組み
BIMを活用した作業所での生産性改革の取り組み


着実な生産プロセス

高品質な建築作品を、設計施工のプロセスを含め安全・安心を確保しながらお客様に提供するとともに、地域社会の一員として工事施工を進めていくことが当社の責務です。
2009年に改訂した「個別工事品質保証体系」に基づき、お客様・協力会社と一体となった品質のつくり込みをプロジェクトの川上段階から徹底するとともに、竣工時及び竣工2年後にはお客様を訪ねてフィードバックをいただくことで、業務プロセスの改善につなげています。
また、作業所における公衆災害・労働災害の発生を未然に防止するための安全衛生管理や、持続可能なサプライチェーンを実現するためのCSR調達などの取り組みも進めています。



BIM重ね合せ会の様子
BIM重ね合せ会の様子


人権の尊重

当社は、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築しており、具体的に5つのリスク課題を特定するとともに、課題ごとに決められた担当部門がこれらにまつわるリスクを防止・軽減する活動を定期的なレビューによる改善を重ねながら継続しています。
また、定期的な社内調査や各種教育啓蒙の実施などにより、差別やハラスメントなどがない心理的安全性が確保された職場環境を実現できるよう努めています。

人権デュー・ディリジェンスで特定された「5つの人権リスク」

ありたい姿の概念

当社では、グループの力でまちのライフサイクルに沿った総合エンジニアリング力を発揮していくために、建設技術とサービスが融合したソリューションを生み出していくことを目指しています。時代とともに様々に変化していく社会課題に対して、求められる価値は一様ではありません。グループ全体で、多岐にわたる専門性と技術力、マネジメント力を発揮できるよう、経営資源の強化・拡充と人材・技術・ICTなどへの投資を進め、社会とお客様にとって最良のパートナーを目指します。

新たな価値を創る

変わらぬ基本姿勢

「建築を業とするものは建築の職人であって、営利のみを追求する商人であってはならない」という「棟梁精神」、「建築は社会の資産としてその時代の文化を後世に伝え継ぐものである」という「作品主義」、作品の質・サービスの質・業務のレベルアップを図ることにより経営の質の向上を目指す「品質経営」、新たな価値を創り出し社会とお客様にとって最良のパートナーを目指す中にあっても、400年を超える当社の歴史の中で守り続けてきたこれらの基本姿勢はこれからも不変です。
一つひとつの仕事に「匠の心」をしっかりと息づかせ丹精込めて取り組んでまいります。

山口県防府天満宮所蔵[松崎天神縁起絵巻]、BIMと3Dプリンターで製作した模型を活用、BIMデータと仕上がり状況を現地で確認

2030年・2050年に向けて

グループの事業領域を「まち」として捉え、サステナブル社会の実現を目指す「まちづくり総合エンジニアリング企業」としての取り組みにより、「社会とお客様の最良のパートナー」になることを目指した成長戦略が2025年に最終年度を迎えようとしている中、その先を見据えた「2030年マイルストン」を設定しています。
このマイルストンは、コア事業としての国内建設事業を中心とした持続的な安定経営を基盤としつつ、増加が予想されるストックニーズへの対応体制強化、海外建設事業、開発事業、サービス事業の拡大に取り組む方向性に基づく事業目標を示しています。現行の成長戦略の最終ステップにある現在も、ワークライフバランス、人的資本、技術、デジタルといった2030年以降につながる事業基盤の強化に取り組んでいます。
また、今後脱炭素、資源循環、自然共生は統合的に推進することが重要であるという認識から、グループをあげてこれらの取り組みを加速させるために、2050年をゴールとして「竹中グループ環境戦略2050」を策定したことは前述のとおりです。
足元の事業環境は、物価高や建設技能者の減少に伴う労務費の増加等の影響を受け厳しい状況にありますが、引き続き建設事業の高度化に取り組むとともに、当社グループが「まちづくり」にかかわるうえで必要となるソリューション力を拡大・深化させ、社会とお客様からの建設業に対する期待に応えていきます。